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療法食をどう利用するか

この記事の目次

特別療法食と呼ばれるドッグフードを知っていますか?
子犬用や成犬用、老犬用というように年代別で栄養のバランスが異なるドッグフードや、全年齢型の総合栄養食とは違い、疾患のある犬の食事管理ができるように作られているドッグフードのことです。

当然のことながら、一口に疾患といっても調子を落とした臓器や症状は様々。
一律に同じ配合のドッグフードで対応できるものではありません。
そのため、特別療法食には消化器症状に対応するもの、皮膚疾患に対応するもの、心臓疾患に対応するもの……というように、その疾患に対して体を維持するために必要な栄養素が強化されていたり、逆に摂取しないほうがよい成分は含まれていない、という作られ方をしています。

病気をしたことのないワンちゃんは一生食べる機会がないかもしれません。
しかし、なにがしかの疾患が見つかると、たいていは動物病院で「このドッグフードを食べさせてください」と紹介されるのではないでしょうか。

そんな特別療法食のドッグフードですが、実はけっこう賛否両論があります。

特別療法食の何が気になるのか

特別療法食のドッグフードは、値段という観点からみるとけっこう割高です。
特に、動物病院で購入する場合は割引されていないことが多いため、定価で購入するしかありません。
ドライフード1kg袋で2000円前後はするでしょうか。

まあ、ネット販売を利用すれば、もう少し安く購入することはできます。
しかし、いずれにしても安いフードではありません。

ところが、特別療法食のドッグフードを製造しているのは、どちらかといえば中程度の大量生産型フードを作っているメーカーなんですよね。
そのため、普段品質を追い求めたプレミアムフードを愛犬に食べさせている飼い主にとっては、特別療法食の品質に不安を感じてしまうことがあるのです。

そして、気になる点はまだ他にも。
いつもはトウモロコシなどの安価な穀物が使われていないフードを選んでいるのに、特別療法食の多くにトウモロコシが使われていることも気になります。
腸の調子を整えるタイプの療法食などは、高食物繊維にするためにトウモロコシとビートパルプがものすごくたくさん使われているんですよね。
さらには、メーカーによっては特別療法食のラインナップであってもBHAなどの発がん性が指摘されている酸化防止剤が使われています。
病気うんぬんの前に、食べさせても大丈夫な品質なのだろうか?と不安になってしまうことも。

賛否はあっても効果は感じられる

ところがです。
軟便や下痢が続いている犬に消化器系疾患に対応した療法食を食べさせると、これがちゃんと下痢がおさまるんですよね。
このドッグフードは便が固まりやすくなるように、食物繊維の割合がかなり高く設定されています。
要するに、たくさんの食物繊維が緩みがちな便を固めているわけですね。

そんなやり方で便を固めてもダメだ!胃腸に負担をかけるだけだ!
という意見を聞くこともありますが、排便のたびに愛犬が下痢で辛そうにしている姿を見るにつけ、理屈はどうあれ下痢を止めてあげたくなるものです。
下痢や血便が続くとお腹の痛みでじっと動かなくなり、肛門を痛がる様子は本当に可哀想ですから。
まともに食べることができないせいで、どんどん痩せてもいきますし……。

しかし、特別療法食によって便が固まると、間違いなく犬の体力は復活します。
痩せていた体も徐々に戻り、元気になるんですよね。

つまり、療法食の中身について疑問はあれど、効果を考えると否定できない――。
というのが正直なところでしょうか。

疑問に思ったら思い切って獣医師に質問を

とはいえ、消化器系の療法食については便というわかりやすい結果があるからこそ、疑問に思っても使う価値ありと判断できるのかもしれません。
療法食の品質についてどうしても不安がぬぐえないときは、やはりかかりつけの獣医師に率直に質問するべきではないでしょうか。

もしもその質問にきちんと答えようとしなかったり、説明を面倒がるとしたら――。
その獣医師をこれから先もずっとかかりつけにしてよいものか、あわせて検討しなければいけないのかもしれません。