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犬が息を引き取る前の兆候

この記事の目次

いつの日か、愛犬は必ず亡くなります。

正直に言えば、そんなことはあまり考えたくありません。
しかし、元気いっぱいだった愛犬が年をとり、老いを感じたその瞬間から、意識せずにはいられなくなることでもあります。

どんなにがんばっても、愛犬の死を免れることはできません。
だからこそ愛犬にその時がきたら、出来る限り穏やかに旅立たせてあげたいし、自分も心を乱さずにいられたら――。
これこそが飼い主としての偽らざる心情ではないでしょうか。

死にはいろいろな形がある

一口に「死」といっても、その形にはいろいろなものがあります。
事故や突然死で愛犬を失ってしまう状態は、飼い主にとって最も過酷な愛犬との別れといえるのではないでしょうか。
なぜなら、愛犬が亡くなるという事実に対し、なんの心構えもできていないからです。
心に受ける衝撃は計り知れず、想像するだけでも胸が痛くなるほどです。

それに対し、愛犬の死に際において、ある程度の覚悟を持つことができる場合。
それは、闘病生活の果てに迎える死と、いわゆる老衰によって迎える死ではないでしょうか。

老衰で亡くなる前にみられる犬の行動

病気が進行して体が弱っていくのと違い、これといった疾患がない状態でシニアとなった犬も、いずれは必ず死を迎えることになります。
しかし、だからといってある瞬間を境にぴたりと心臓が止まってしまうわけではありません。
いわゆる「老衰」で亡くなる犬の体にも、最期のときを迎える兆候が見られるようになっていくものです。

食いしん坊だった犬が、ご飯を食べようとしなくなる

死の前日まで普通にご飯を食べる犬もいますが、そんな犬であっても亡くなる日だけは食べなかった、という話をよく聞きます。
なぜ食べるのかといえば、それは命をつなぐためですよね。
つまり、体が死の準備を始めた場合、食べ物を受け付けなくなるのは自然の摂理なのかもしれません。
食べなくなっても水だけは飲む子が多いですが、それでも亡くなる日には水も受け付けなくなることがあります。

1日のうちで睡眠時間がどんどん長くなり、死の直前には昼も夜も眠っている

シニア期に入ると若い頃より確実に眠っている時間が長くなります。
それが少しずつ伸びていって、亡くなる直前は1日のうちで食べる時間と排泄する時間以外はほとんど眠っている、ということも珍しくありません。
眠ったままいつの間にか意識がもうろうとなり、そのまま昏睡状態になって息を引き取ることもあるぐらいです。

フラフラの足腰でも散歩に行きたがっていた犬が、散歩を嫌がるようになる

年をとるにつれて足腰が弱くなり、ものすごくゆっくりとした足取りでしか散歩ができなくなったとしても、それでも散歩に行きたがる老犬はたくさんいます。
しかし、そんな犬が散歩を嫌がるようになったとしたら、それはおそらく死期が近づいているのでしょう。

下痢をする

亡くなる前に下痢をする犬が多いのは、体内の老廃物を出し切ってしまおうとする本能が働くためだといわれています。
そのため、食べ物や水を受けつけなくなったとしても、排便や排尿を繰り返すことがあります。
また、肛門をぎゅっとしめる括約筋が衰えてしまうため、死期が近くなると肛門がゆるみがちに。
それが原因で便が漏れやすくなるのです。

体温が下がる

犬といえば、平熱が37.5度~38.5度ぐらいと、私たち人間より高めです。
そのため、犬を抱っこしている夏場などは暑くて汗まみれになりますよね。
しかし、死期が近づいた犬の体温はどんどん下がっていきます。
もしも老衰を迎えている愛犬の体をさわってヒンヤリとしていたら、それは最期のときがすぐ近くまできている合図なのでしょう。

体をケイレンさせる

死の直前には体をケイレンさせることがあります。
あまり体をケイレンさせることなく息を引き取る子であっても、最期の瞬間には強直性痙攣(こうちょくせいけいれん)によって体と四肢をピンと伸ばすことが多いでしょうか。
ケイレンがひどいと苦しげに見えて、飼い主はなんとかしてやりたい気持ちになりますが、実際にはてんかんなどの発作と同じように、ほとんど意識のない状態であり、苦痛は感じていないといわれています。

死を受け止めてやすらかな旅立ちをサポートしてあげたい

どんなに愛犬がヨボヨボでも、目の前の状態になんとか対処したくなるのが、飼い主の心情というものではないでしょうか。
しかし、避けられない死の兆候にあらがおうとする行為は、ときとして愛犬の苦痛を長引かせてしまうことがあります。

食べ物を受け付けなくなった子に、無理矢理食事をとらせようとすること。
体の中の老廃物をすべて出してしまおうとしている子に下痢止めを飲ませること。
体温を下げて静かに眠りにつこうとしている子の体温を無理矢理上げようとすること。
こういった行為は、「今ならまだ元気を取り戻す可能性がある」時におこなうものであり、「もう最期の時へのカウントダウンが始まっている」時におこなっても効果は期待できません。

その見極めには慎重さが必要ですが、「この子は旅立つ準備を始めたのだ」と感じたら、飼い主としてできることは、やすらかに逝かせてあげることではないでしょうか。
そんな見極めはできない!と思われるかもしれませんが、長く愛犬と暮らしてきた飼い主だからこそ、不思議とその見極めができるものなんですよ。