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犬の皮膚に黒いシミが!まさか皮膚がん?それともただの色素沈着?

この記事の目次

ふと見たら、愛犬の背中に黒っぽいシミのようなものができていた――。
見つけてしまうと、なんだかとても気になります。

子犬の頃は絶対になかったはずなのに、いつの間にこんなものが?
考えれば考えるほど、想像は悪いほうへと転がっていくものなんですよね。
犬の体にいつの間にかできていたシミのようなものは、いったい何なのでしょうか。

愛犬の皮膚にできたシミのようなものの正体は、シミ

いつの間にか愛犬の皮膚にできていたシミのようなもの。
その正体は、まさしく「シミ」です。
私たち人間がホワイトニングだなんだと騒いでいる、あの「シミ」ですね。

そもそもシミとは、何らかの刺激によってメラニン色素が過剰に生産された状態。
犬は体の大部分が被毛で覆われているので人間に比べて気づきにくいですが、被毛の薄い部分などにシミができることは、不思議でもなんでもありません。

そして犬の体にできるシミも、人間と同じく加齢とともに色が濃くなりがちです。
もちろん、子犬の頃から皮膚にシミのようなものがある犬もいますが、多くの犬は年齢とともにシミがはっきりしてくるものなんですね。

さらに言うと、犬の体にはシミだけではなく黒子(ほくろ)ができることもあります。
黒子もまたシミと同様に、その部分だけメラニン色素が過剰に生産され、皮膚に色素が沈着している状態。
若犬の頃は薄い黒子だったのに、シニア期に突入してからは色が濃くなることもあります。

シミや黒子を見つけた時に飼い主が心配すること

愛犬の体にシミや黒子を見つけたとき、多くの飼い主さんが心配すること。
それは、皮膚がんの可能性ではないでしょうか。

基本的にシミも黒子も周囲との境界がはっきりとしていて、手触りも周囲の皮膚と同じであれば、過剰に心配する必要はありません。
気になる場合は、時間の経過とともに大きくなっていないか、形状に変化がないかなどを気をつけて見ていると、ちょっとした変化にも気づきやすくなるので安心です。

問題は、シミや黒子の境界がはっきりとしていなかったり、その部分だけ盛り上がっている場合です。
また、短期間で急速に大きくなったシミや黒子のようなものにも要注意。
この場合は様子見をせず、すぐにでもかかりつけの動物病院に相談してください。

かきむしって色素沈着している可能性

盛り上がってもいないし、周囲との境界もはっきりしているからただのシミだな、と楽観する前に、もう一度しっかりその部分を観察してみてください。
もしも愛犬がシミの部分をやたらと気にしていたり、なめたり引っかいたりしている場合は、皮膚病の可能性があります。
要するに、かきむしったりいじったりしたことが原因で、色素沈着を起こした結果、シミになっている可能性が高いんですね。

こういう場合、シミの部分だけ妙に皮膚が厚くなっていることがあります。
皮膚病ではなかったとしても、なんらかの原因によって、犬はその部分をいじっているのかもしれません。
ストレスや不安、イライラといった精神的な要因でかきむしっている可能性もありますので、それらの原因をきちんと突き止め、取り除く必要があるでしょう。

あまりにもかきむしっていると、かき傷が感染症を起こすこともあります。
いずれにしろ、早い対処が必要であることは間違いありません。

病気が原因のシミ

単なるシミであれば何も問題はありません。
怖いのはシミの原因が、なんらかの病気の場合です。

内分泌系の疾患であったり、体の中の炎症が原因でシミができる場合がありますので、何か愛犬の体調に気になることがある場合は、あれこれ悩む前にかかりつけの獣医師に相談してください。

内分泌疾患が原因

内分泌――ホルモンが原因の疾患の症状として、体にシミのようなものができることがあります。

  • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
  • 甲状腺機能低下症
  • アロペシアX(脱毛症X、成長ホルモン反応性皮膚症、去勢反応性皮膚疾患)

全身にまだらのシミが広がっていたり、皮膚の広い部分に黒ずんだシミができている場合は、上記のような内分泌疾患の可能性があります。

アレルギー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどが原因で皮膚に強い痒みが生じ、かきむしることで色素が沈着して皮膚が黒ずんでいきます。

感染症

マラセチアという真菌(カビ)や細菌などの感染症が原因で皮膚病にかかっている場合、メラノサイトが異常に反応して色素沈着することがあります。

皮膚がんなど、腫瘍が原因のシミ

最もあってほしくないのは、腫瘍性の疾患が原因の場合です。
この場合はシミというより、シミのように見えると言うべきでしょうか。

代表的なところではメラノーマ(黒色腫)であり、これは皮膚の色素を作る細胞が腫瘍化したものです。
一口にメラノーマといっても悪性と良性がありますが、基本的には茶色や黒系のシミのようなものが発生します。
しかし、まれに色素沈着を伴わない場合もあり、なんとも厄介な腫瘍。
メラノーマは人間に比べて犬の発症率は高く、黒い被毛の犬やシニア犬に発症しやすいといわれています。

メラノーマが発生する部位に決まりはなく、全身のどこにでも可能性はありますが、被毛のある部分の皮膚にできるメラノーマの8割以上は良性。
ただし、皮膚と粘膜の境界――たとえば唇やまぶたにできるメラノーマは悪性の傾向が高いため、いずれにしろ動物病院でしっかりと検査をする必要があります。

気になったら動物病院で即相談

ただのシミなのか、それとも何らかの病気が原因なのか。
何日もモンモンと悩んでしまうぐらいなら、今すぐかかりつけの動物病院に相談しましょう。

診察の結果単なるシミだったら、それでオールOK。
病気かと思ったら違ったという笑い話は、いくつあってもいいんです。
怖いのは、様子見をしているうちに手遅れになってしまうこと。
それが防げるなら、心配性の飼い主さんだと思われてもいいと思いませんか?