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犬の幼稚園

この記事の目次

犬の幼稚園――。
なんじゃ、そりゃ?と思ったかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

犬の幼稚園とは、文字通り犬が通う幼稚園のこと。
犬のトレーニング教室との違いは、基本的に対象となる犬が幼齢である、という点です。
幼稚園ですから、当たり前といえば当たり前ですが。

犬を無駄に甘やかすことと、必要な措置を講じることは別物

犬を幼稚園に通わせるなんて、過保護もいいところ。
犬に洋服を着せたりエアコンの効いた室内で過ごさせたりと、現代人は犬を甘やかし過ぎだ!
などとトンチンカンなことを平気で言う人がいまだにいるからこそ、日本人はいつまでたっても犬のシツケが上手くならないのではないでしょうか。

もちろん、暑さが猛烈に苦手な北方犬種(たとえばサモエドやシベリアンハスキー、北海道犬など)に無駄に洋服を着せることは一種の拷問。
しかし、いまの日本には世界中から様々な種類の犬が入ってきて暮らしています。
寒さに弱い犬なら季節に合わせて洋服を着せるのは理にかなったことですし、高温多湿な日本において基本的に暑さに弱い犬をエアコンの効いた室内で過ごさせることは、当たり前のこと。
むしろ、人間はエアコンの効いた室内で涼んでいながら、犬は暑い屋外で過ごさせているとしたら、それこそ命を軽んじる行為だと糾弾されてもおかしくないぐらいです。

そして犬の幼稚園もまた、そういった事柄の延長線上にあるのではないでしょうか。

犬を幼稚園に通わせることの意義

犬は本来群れで生きる動物。
それはつまり、大切なことはすべて群れの中で教わる、ということを意味しています。

そして、現代社会を生きる犬にとって、群れとは飼い主とその家族。
もう少し広義な意味で考えれば、飼い主家族が生活している環境そのものが、群れという概念に近いのかもしれません。
つまり、犬たちは飼い主家族が関わりを持つありとあらゆる人間社会の中で、その一員としてふさわしい存在になる必要があるんですね。

ところが、日本人の多くはとても残念なことに、犬のシツケが壊滅的に下手。
それは、犬のシツケ=「お座り」や「お手」ができることだと勘違いしているからです。

本来、犬にシツケなければいけないのは、「人間に噛みついてはいけない」「飼い主のコマンドを一発で実行しなければいけない」「飼い主がダメと言ったらすぐに止めなければいけない」といった事柄であり、これこそ犬が人間社会の中で平和に暮らしていくために必要不可欠なことなのです。
そして、そういったことを学ぶのは成犬になってからでもできますが、やはり子犬の頃からしっかりと叩き込むことが最も有効であることは間違いありません。
一度ついてしまった癖を矯正するより、真っ白な状態に教えるほうがずっと楽なのですから。

だからこそ、犬を幼稚園に通わせることには意味があるのです。

犬の幼稚園で学ばせたいこと

子犬を幼稚園に通わせることで学ばせたいこと。
その筆頭にあげられるのは、なんといっても「社会化」ではないでしょうか。
すなわち、飼い主家族というとても小さな集団ではなく、より多くの人間や犬と触れ合う中で、警戒する必要のあるものとないものの違いや、相手を尊重する方法を理解させていくことがねらいです。

他の子犬と楽しく遊んだり、飼い主家族以外の人間と接することは、子犬の精神を健全に成長させるうえでとても重要。
また、きちんとした犬の幼稚園では犬のトレーナーが先生をしていることが多く、子犬期という砂が水を吸収するようになんでも覚えてしまう時期に、正しいトレーニングを受けることができます。
これは、飼い主が自分だけで犬にシツケをするのに比べて、かなり効率が上がるのではないでしょうか。
もちろん、犬の幼稚園の先生(ドッグトレーナー)にシツケを丸投げするという意味ではありませんが、土台となる部分を整えてもらうことで、飼い主はその後のシツケがしやすくなるはずです。

それに、犬は飼い主が思っている以上にとても賢い生き物。
犬が本来持っている能力を引き出してあげられればあげられるほど、犬は知的欲求を満たして精神的に安定し、それは必然的に幸せなドッグライフへとつながっていくのです。

犬の幼稚園は飼い主と犬の双方にメリットあり

犬を幼稚園に通わせることは、子犬だけではなく飼い主にとっても非常にメリットのあることです。
たとえば群れで生きる動物である犬にとって、一匹で留守番することはかなり精神的な負担を強いられること。
しかし、幼稚園に通うことでそういったストレスを大幅に軽減することができるでしょう。
そして、飼い主にとっても「犬が寂しくしているに違いない」という心配から解放されることになります。

とはいえ、犬と飼い主の双方にとってメリットいっぱいの犬の幼稚園にも難点が。
それは、それなりの費用を覚悟しなければいけない点です。

しかし、「子犬の幼稚園」を文字通りの意味で受け取るなら、あくまでも子犬期だけのことなんですよね。
つまり、一生涯その費用がかかるということではありません。
となると、多少の出費はあるにしても、成長期という限られた時間にその費用をかけるだけの価値は大いにあるはず。

犬の平均寿命はどんどん延びています。
犬の一生涯をトータルで考えたとき、子犬期というほんの短い時期にきちんと投資しておくことで、その後の長いドッグライフをより充実させることができるのだとしたら、一考の価値があると思いませんか?