愛犬にやけどをさせないために出来ること
犬の屋外飼育が普通だった時代には、あまり心配する必要のなかったこと――。
それは、犬のやけどかもしれません。
屋外飼育の犬がやけどをするとしたら、たまたま焚き火を踏んでしまったとか、花火などが原因として考えられるでしょうか。
石灰などによる、化学的なやけどもあるかもしれません。
しかしこれはある程度、限定された条件の中で起こるやけどではないでしょうか。
庭で焚き火をすることもなく、石灰をまくこともなく、さらには犬の近くで花火をしなければ、屋外飼育の犬がやけどをする機会は、そうはなかったと思います。
しかし、現代の犬達は違いますよね。
飼育されている犬のおよそ8割は室内飼育。
つまり、犬の暮らす環境には、やけどの原因となるものが思ったよりたくさんあるんです。
室内犬の暮らす環境にはやけどの原因になるものがいっぱい!
室内飼育だとしても、仮に24時間ケージに入れたままだとしたら、やけどをする可能性は低いのかもしれません。
しかし、もしも部屋の中を自由にさせる時間があるのであれば、やけどの原因になりそうなものはいろいろと考えられます。
たとえば……。
- ポットのお湯がかかってしまう。
- アイロンに触れてしまう。
- テーブルに飛び乗ってしまい、鍋や卓上コンロに接触してしまう。
- 電化製品のコードを噛み、感電によるやけどを負ってしまう。
- 犬をシャンプーした後、ドライヤーの温風を一ヶ所にあて過ぎてしまう。
このようなやけどに季節は関係ありません。
1年を通してその危険性があるタイプのやけどです。
ここに、さらに季節的な要因を加えると、犬がやけどをする危険性はさらに高くなるのではないでしょうか。
- ストーブに近づきすぎてしまったことで被毛が焦げ、皮膚にまで達するやけどをする。
- 石油ストーブの天板に前足をかけてしまう。
- こたつやホットカーペット、ペットヒーターに長時間接触し続けてしまい、低温やけどをする。
このように、気温の低い時期に激増するのが暖房器具によるやけどです。
やけどさせたくないからと気を使ってペットヒーターにしたはずが、それが原因で低温やけどをすることもありえるなんて、犬のやけどは本当に油断大敵ですよね。
犬がやけどをしたときの応急処置
もしも犬がやけどをしてしまったら、応急処置の前半部分は人間のやけどと同じです。
流水や氷を使うなどして、とにかくまずはやけどをした患部を冷やす必要があります。
ただし、マグネシウムや石灰のように、化学物質によるやけどの場合は水による冷却は厳禁!
水をかけると化学反応によってさらに発熱し、やけどを拡大することになるからです。
この場合は乾いた布などで付着した化学物質を払い落とし、患部に清潔な布をあてたうえで、その上からアイスノンなどで冷却してください。
化学物質を払い落とす際にも、あわててごしごしこすってしまうと、やけどで傷ついた皮膚をさらに痛めてしまうので注意が必要です。
さて、冷却後の処置ですが、ここからは人間と犬では少し異なります。
患部をしっかりと冷やしたら、人間の場合はやけど用の軟膏を塗るところですが、犬の場合は使わないほうが無難。
というのも、下手にやけどの薬を塗ると犬が患部をなめてしまい、かえって悪化させてしまう原因になるからです。
しっかりとやけどをした部分を冷やしたあとは、皮膚に赤味以外の症状がないのであれば、そのまま少し様子を見てもよいかもしれません。
しかし、水ぶくれや皮膚のむけ、傷などができている場合は、すぐに動物病院へ連れていったほうがよさそうです。
なぜなら、傷口から感染症を引き起こしてしまう危険性があるからです。
その際に、やけどをしたところがじくじくしている場合は、医療用のガーゼや脱脂綿を水で濡らしたものを患部にあて、汚れがつかないようにしてから一刻も早く動物病院に連れていってください。
診察の結果、抗生物質などを処方された場合は、必ず最後まできちんと飲ませることが大切です。
やけどをさせてしまって後悔するより、予防策を講じるのが一番
犬にやけどをさせてしまうと、「ああしておけばよかった、こうしておけばよかった」という後悔が尽きません。
しかし、いくら飼い主が後悔したところで、犬がやけどを負ってしまった事実はくつがえすことができないのです。
一番良いのは事前に安全策を講じておくこと、これに尽きるのではないでしょうか。
ストーブの前にはストーブガードを設置し、留守番させるときの暖房はエアコンを使用すると安全性が高くなります。
また、どうしても寝床を温かくしたいときは、ペットヒーターより昔ながらの湯たんぽを利用すると低温やけどの心配がかなり減少されます。
こういったちょっとした予防策を講じることが、犬をやけどの危険性から守ってくれるのではないでしょうか。
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