チャンピオンなんてゴロゴロいる

「うちの愛犬(メス)に子犬を生ませたんですけど、
交配相手はすごいチャンピオン犬なんです。
交配料は高かったけど、なんせチャンピオンですから当然ですよね!」
そう言って、わざわざ生まれた子犬の血統書を見せてくれた人がいました。

どれどれ…、と見せてもらって思わず絶句。
つくづく「チャンピオン」という言葉は罪作りだと感じました。
それはいったいなぜだと思いますか?

一般的にチャンピオンと聞くと、何かの大会で優劣を競い、
その結果すべての中で一等賞に輝いたイメージがありませんか?

そして、ボクシングだったら次の防衛ができないと
チャンピオンから陥落してしまうような……。

ドッグショーで言うところのチャンピオンは、それとは意味合いが違います。

JKCのドッグショーでは犬種別もしくはグループにおいて1位、
もしくは2位になるとカードを1枚もらいます。
これが4枚集まるとチャンピオン――
血統書においてはCHと記載されることになるのです。

カード4枚のうち1枚はメジャーカードと呼ばれる、
簡単に言えばクラブ展のような小さな大会ではなく、
FCIや連合展のような大きな大会でもらわなければいけません。

そのため、簡単にチャンピオンになれるわけではありませんが、
世の中に1頭だけの称号ではないのが、ドッグショーにおけるチャンピオンなのです。

つまり、日本国内だけの話しをすればJKCチャンピオンというのは
実は世の中にゴロゴロいて、まったくもって希少なものではありません。


代々ショードッグのみでブリーディングしていると犬だとしたら、
血統書の両親はもちろんのこと、祖父母、曾祖父母など、
ずらりとCHが並んでいることは珍しくないのです。

しかし、普段ドッグショーとは
まるで無縁な生活をしていると(普通はみんなそうですよね)、
父親にだけCHがあり、あとはノンタイトルだったとしても
素晴らしい血筋の子犬だと思っても無理はありません。

何が問題なのか?

当たり前のことですが、良血統だからよくて、
ノンタイトルだから悪いということはありません。

本来、犬の優劣は血統書が派手かどうかで決まるものではないのです。

もちろんショードッグの家系の場合、骨格構成や被毛など、
犬質としてあらゆる面で優れた個体が選ばれている可能性が高く、
その結果子犬の犬質も素晴らしいものである確率は高くなるでしょう。

しかし、生きている命というのは単純に血統だけですべてが決まるわけではありませんので、
ここではその話題はいったん置いておきたいと思います。

今回問題にしたいのは、その父犬が単なる4枚カードを揃えただけの、
ある意味普通のJKCチャンピオンでありながら、種付けをした犬舎では
「チャンピオンが種付けするなんて滅多にないスゴイことだ」とさんざん煽った挙句、
相場よりかなり高額な種付け料をとっていたことです。

その父犬の犬種は珍しいものではなく、おまけに毛色もごく一般的なもので、
単純にチャンピオンを完成させただけの状態ですから、
とても高額な交配料をとれる犬ではないのです。

何も知らない素人だと思って高い交配料を支払わせたのだとしたら、
とんでもないことです。

もし、自分の愛犬に良い血統のオス犬を交配して子犬を生ませようと考えるなら、
事前に詳しい人からアドバイスを受けないと、こういう事態になるかもしれません。