ドッグショーを観にいく前に知っておきたいこと
ドッグショーは、犬好きなら特に予備知識を持たずに見に行ってもかなり楽しめる催しです。
しかし、ドッグショーの仕組みを理解してから見に行くと、さらにおもしろさが倍増するのは間違いありません。
それに、ドッグショーに関する基本知識があると、血統書に記載されている内容もかなり理解できるようになります。
血統書の発行団体それぞれがドッグショーを開催していますが、やはりなんといっても最大規模を誇るのはジャパンケネルクラブ(JKC)。
そこで、今回はJKCのドッグショーについて解説します。
ドッグショーの種類いろいろ
ジャパンケネルクラブのドッグショーと一口に言っても、実は種類がいろいろあります。
規模が大きい順に並べていくと……
本部展
1年に1度東京ビックサイトで開催されるドッグショー。アジア全体で見ても最大のドッグショーで、出陳される犬の数は2500匹以上にものぼります。
FCI展
最大規模のドッグショーで、全国14ブロック※の協議会が主催するFCIインターナショナルドッグショーです。出陳される犬の数は1000匹前後と多く、ペット用品などの販売コーナーなどもあるため、気軽にドッグショーを楽しむなら一番のおすすめです。
※北海道、東北、北関東、埼玉、東京、千葉、神奈川、北陸甲信越、中部、近畿、大阪、四国、中国、九州
クラブ連合会展
各都道府県の愛犬クラブ主催のドッグショー。都道府県によって愛犬クラブの数には大きく差があります。出陳される犬の数は約150~500匹です。
犬種部会展
単犬種、犬種群クラブが合同で主催するドッグショー。単一犬種をたくさん見たい場合におすすめです。ただし人気犬種による開催がほとんどのため、レア犬種を見たい人には向きません。
全犬種展(オールブリード・ショー)
各都道府県の全犬種クラブが主催するドッグショーで、出陳される犬の数は300匹前後です。
犬種群展(グループ・ショー)
1犬種群ごとのクラブ展ですが、4G(グループ)はダックスフンド1犬種のみで犬種群扱いとなります。
- 1G/牧羊犬・牧畜犬
- コーギー、シェパード、コリーなど
- 2G/使役犬
- グレートピレニーズ、ドーベルマンなど
- 3G/テリア
- ウェスティー、ヨーキー、ジャックラッセルテリアなど
- 4G/ダックスフンド
- 5G/原始的な犬・スピッツ
- 日本スピッツ、サモエド、甲斐犬など
- 6G/嗅覚ハウンド
- バセットハウンド、ダルメシアン、ビーグルなど
- 7G/ポインター・セター
- アイリッシュセター、ワイマラナーなど
- 8G/7G以外の鳥猟犬
- アメリカンコッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなど
- 9G/愛玩犬
- シーズー、チワワ、プードルなど
- 10G/視覚ハウンド
- ボルゾイ、アフガンハウンド、イタリアングレイハウンドなど
単犬種展(スペシャリティー・ショー)
1犬種のみのクラブ展のため、出陳される犬の数も少なく、最もアットホームな雰囲気のドッグショーです。
ドッグショーに出陳する条件
ドッグショーに犬を出陳するためには条件があります。
- JKCの愛犬クラブに所属している会員が所有しているJKCの登録犬である。
- 去勢、避妊はしていない。
- 噛み癖がない。
- 発情していない。
- 皮膚病や感染症にかかっていない。
- ハンドラー(ドッグショーで犬を引く人)はJKCのクラブ会員か、その家族である。(家族がクラブの会員ではない場合は、クラブ会員である家族の所有する犬しか引くことができない)
- 国外公認団体でのチャンピオン、インターナショナルチャンピオン、アジアチャンピオン、シュープリームドッグはクラブ展への出陳は不可。(ただし、日本国内で生まれた犬に限っては出陳可)
※シュープリームドッグ→全犬種展または犬種群展でKINGもしくはQUEEN以上の賞を獲得し、単犬種展においてBOS(ベスト・オブ・オポジットセックス)以上の賞を合計5回以上獲得した犬に与えられる称号。
ドッグショーにおける審査のポイント
ドッグショーでは、審査員が犬の体を直接触って審査する「個体審査」と、リング内を走らせて歩様や体のバランス、犬がどれだけ訓練されているかを審査する「歩様審査」とに分けて審査が行われます。
また、審査の際のポイントはJKCが規定している犬種標準をもとにしています。
- タイプ
- 犬種としての特色を正しく示し、犬種標準を満たしているか。
- クオリティー
- 犬種としての特色がどれだけ洗練され、充実しているか。
- コンディション
- 健康状態や精神状態が健全であるか。
- サウンドネス
- ショードッグとして優秀であるとともに、家庭犬としても優秀であるよう性格的欠陥がないか、攻撃性がないか、骨格や筋肉などは正常か、歯の噛み合せは正常か。
- バランス
- 全体的に調和した犬であり、優秀であっても一部分だけが突出していないか。
- キャラクター
- マナーの良さと性格的な魅力はあるか。
こういった内容を総合して順位が決まるわけです。
しかし、実際のところはかなり審査員の事情や偏った感覚が反映されているとしか思えない、疑惑のジャッジがされることも。
とは言え、そういったドッグショーの裏側を推察しながら観戦するのも、また一つ違ったおもしろさでもあるような、ないような……。
ドッグショーは利害がからんだ世界
有力ハンドラーが引く犬や、会員数の多い愛犬クラブの重鎮が所有している犬が良い成績をとりやすいのは、やはりドッグショーは利益がからむショービジネスの世界だからなのでしょう。
きれい事だけでは続けられないのは、ある意味どの世界でも同じなのかもしれません。
まあ、それはそれとして、単純にいろいろな犬を見ることができて楽しい!という感覚で楽しむのが一番です。
※2017年現在の情報です。