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甲斐犬愛護会の血統書

この記事の目次

甲斐犬は、日本犬保存会より甲斐犬愛護会に所属する犬の方が多い、
単種での活動が盛んな犬種
です。

日本犬保存会の血統書を持つ個体と、甲斐犬愛護会の血統書を持つ個体では、
やはりこだわりを持つ作出家が多いせいか、
甲斐犬愛護会の甲斐犬の方がシャープなフォルムを持つ犬が多いように感じます。

分母が違いますから、当然といえば当然のことではありますが…。

甲斐犬愛護会の血統書

血統書そのものは白色の上質紙を使っていますが、
表(おもて)面の記載内容の背景が黄色に塗られているのが特徴的です。

裏面は白色のままで、同時に生まれた兄弟姉妹犬の
登録番号、犬名、性別、毛色、尾形だけ
が記載されていて、
「あれ?」と思うほどシンプルな内容しかありません。

表面には犬の名前と犬舎名、所有者などの他、
両親、祖父母、曾祖父母、玄祖父母の四代にわたる血統
について記載されています。

日本犬保存会の血統書と同じく、甲斐犬愛護会の血統書にも
所有者の住所が地番まで記載されていて、名前も漢字表記されています。

どうも日本犬の血統書団体は感覚が古いというか、
個人情報保護とは無縁であるように思えてなりません。

洋風の名前が混ざる違和感

日本犬の展覧会で活躍する面々というのは、現在かなり高齢化が進んでいます。

ところが甲斐犬愛護会については比較的若い年代のブリーダーが活躍しており、
その意外な影響が血統書に記載されている犬の名前に表れているかもしれません。

血統書に記載する登録名の場合、日本犬は漢字やひらがなを使った
比較的古風な名前がつけられることが多い傾向
にあります。

特に甲斐犬の場合は「○○の風」というように、単純な名前というより、
ヒーローの通り名のような名前も多く、実に個性的です。

もちろん、日本犬に多い関取のような名前もいまだ健在なのですが、
ここ数年で「あれ?」という名前がチラホラと増えてきました。

例えば、「チビ」だとか「モコ」「ラスティ」というような、
いわゆる現代の家庭犬達の呼び名に多いタイプ
です。
要は、呼び名をそのまま血統書につけてしまった、ということなのでしょう。

なぜ呼び名がそのまま血統書に反映してしまうのか?

もちろん、繁殖者があえてそのような名前をつけるケースもあるでしょうが、
比較的多いのは子犬の飼い主が登録名を決めたパターンです。

甲斐犬の作出家には若い年代が比較的多いからなのか、
展覧会用として手元に残す犬は別として、
残さない犬の行き先をインターネットなどを駆使して上手に売りさばいています。

ですから、血統書の申請前に子犬の行き先が決まった場合、
飼い主となる人に血統書の申請名を決めてもらった結果

「チョビ」だとか「ピピ」になるのかもしれません。

もちろん、どんな名前をつけようと飼い主の勝手ですし、
名前でその犬の価値が下がるわけではないのですが……。

日本犬独特の美しい文字が並ぶ犬名の中に、
いきなり「チョビ」が出現すると正直言って
血統書がどこか軽く見えてしまうのは、どうにも残念な気がしてなりません。

家での呼び名は「チョビ」でまったく構わないと思います。
しかし、せっかくなら血統書に記載する名前は、
その脈々と受け継がれてきた血液にふさわしいものを考えてみるのも、
また一つの醍醐味ではないのでしょうか。