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痴呆になった犬の夜鳴きが飼い主を悩ませる

この記事の目次

愛犬にはいつまでも長生きをしてもらいたい……。
そんな願いが叶ったのか、現代の犬たちはかなり長生きをするようになりました。

しかし、犬が長生きをすることでその昔にはなかった悩み――犬の痴呆が多くみられるようになったこともまた現実です。

たとえ動けなくなっても、自分のことを認識できなくなったとしても、最後の最後までしっかりと面倒をみる――。
そう決めてがんばっている飼い主さんは少なくありません。
しかし、犬の介護は想像している以上に大変なんです。

中でも、飼い主さんを一番悩ませるもの。
それは、犬の夜鳴きではないでしょうか。

夜鳴きの状況は犬によっていろいろ

愛犬がまだ成犬期であったり、シニア期に突入したとはいえ、今までとあまり変わらない生活を送れている間は、痴呆になった犬との生活はなかなか想像ができないかもしれません。

夜鳴きと聞くと子犬の頃のような、夜中にクンクンと鳴く姿を想像するかもしれませんが、どのような鳴き方をするのかはその子によって違います。

夜中にグルグルと歩き回りながら唸り続けることもあれば、突然けたたましく鳴き出すこともあります。
また、寝ていたかと思えば突然起き出して猛烈に鳴き始める子もいます。

まだ自力で動ける子はもちろんのこと、寝たきりになった犬にも夜鳴きはありますので、動けなくなったからといって鳴かなくなるものでもありません。

こんなとき、飼い主さんは近所迷惑にならないようになんとか鳴きやませようとして、真夜中に外へ散歩に連れ出したり、抱っこをして鳴きやむまで体をさすったりと、とにかく一生懸命がんばって対応することになるでしょう。
そして、そんな日々が何日も続いた結果、家族全員が寝不足に陥ってしまい、介護疲れでへとへとになるのです。

夜鳴きをする老犬とどうつきあっていくか

痴呆になった老犬の夜鳴きが始まると、どうつきあえばいいのかリズムがつかめるようになるまでが、おそらく飼い主さんにとって一番辛い時期です。

睡眠不足と疲労が溜まり、「このまま安楽死をさせたほうが……」という考えが頭をちらつくようになったりもするでしょう。
それが原因で家族と言い争いをしてしまったり、罪悪感を抱くことでなおのこと飼い主さんは精神的に追い詰められていくのです。

しかし、追い詰められた精神状態のままでは事態の改善は見込めません。
痴呆になった愛犬に夜鳴きの症状が出たら、早めにかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
それにより、安定剤や睡眠薬の処方を提案されるかもしれません。

薬で強制的に眠らせるなんて……と強い罪悪感を抱く飼い主さんも少なくありませんが、愛犬の介護を最期までしっかりと続けるためには、飼い主さんの体調不良はなんとしても避けなければいけない事態なのです。

薬の処方によって夜鳴きのひどかった犬が一晩でも二晩でも寝てくれると、飼い主さんも睡眠をとることができますよね。
すると、体力や精神力が回復することにより、介護に悲観的になっていた気持ちが晴れてきて、あらたな道筋が見えてくることもあるのです。

夜鳴きが始まるタイミングがわかりはじめる

精神的に追い詰められている状態では理解できなかった、愛犬が夜鳴きを始めるタイミングが見えるようになってくるのも、こんな頃なのかもしれません。

もしかしたら、夜中に突然不安になって鳴き出しているのだろうか?
そう思い当たった飼い主さんは、痴呆になった老犬と一緒に寝ることで、その後夜鳴きを克服しました。
鳴くたびに起きて「ここにいるよ」となでてやるうちに、だんだんと夜鳴きの回数が減ったそうです。

また、足腰がおぼつかなくなったからと、以前のようには散歩をさせなくなっていた犬が、歩きたくて仕方がなくなるときに夜鳴きが始まるのではないか?
そう思い当たった飼い主さんは、就寝前に部屋の中を好きなだけぐるぐると歩き回らせるようにしたそうです。
すると、夜鳴きのひどかった犬が心地良く疲労したからなのか、比較的よく寝てくれるようになったのだとか。
足腰のおぼつかなくなった犬が転んでもケガをしないよう、安全に歩けるスペースを部屋の中に確保したことで、その様子を静かに見守るだけでよくなったそうです。

昼夜を逆転させないための工夫

痴呆になった犬の夜鳴きを防ぐためには、昼夜が逆転してしまった感覚を強引にでも元に戻すための努力も必要です。

夜鳴きが激しい犬は、おそらく昼間は多くの時間を眠って過ごしているはず。
この時間に眠らせないよう、少し可哀想でも起こすようにすることで、夜中に眠ってくれる確率が高くなります。
このとき、出切るだけお日様にあてて、全身と脳に「いまは昼間だ」ということを意識させてやることが大切です。

愛犬の介護を全うするには、飼い主さんの健康が必須

愛犬の介護に疲れてしまうと、イライラとして痴呆の犬に八つ当たりしたくなるものです。
しかし、そういう八つ当たりはいつか愛犬が旅立った後、必ず飼い主さんを後悔させることになるでしょう。

犬は飼い主の気持ちにとても敏感な生き物。
たとえ、痴呆になった後でも、その感覚は愛犬の奥底に残っているはずです。

最後の最後まで愛犬を慈しむためにも、愛犬の介護を始めた飼い主さんは、自分自身の体をきちんと休ませなければなりません。
そのためになにか手段をとることに、罪悪感を抱く必要はないのです。