犬パルボウィルス感染症と生後8週齢の子犬

犬パルボウィルス感染症――免疫力の弱い子犬が感染してしまうと、
死亡率の高い恐ろしいウィルス感染症です。

子犬が売買されることの多い生後60日前後というのは、
母犬からもらった免疫の効力が弱まっている可能性があるため、
だからこそ伝染病予防ワクチンを接種してから
子犬の受け渡しをすることが推奨されるわけですね。

このパルボによる感染ですが、感染した犬の糞や吐瀉物などから感染が広がるため、
子犬のいる犬舎で発症すると1匹だけでは済まないことがほとんど
です。

そうなれば売り物の子犬が全滅する可能性もありますし、
少なくとも完治するまでは販売できなくなります。

パルボはブリーダーやペットショップが最も警戒するウィルス

パルボは感染してから1週間程度の潜伏期間があるため、
感染しているけれど症状が出ない状態でペットショップに入荷されることもあります。


この場合、ショップにいる他の子犬に感染する可能性があり、
そうなればペットショップは大打撃を受けることになるでしょう。

ブリーダーにしてもペットショップにしても、1匹でもパルボがでてしまうと
犬舎全体、店舗全体を徹底的に消毒しなければいけなくなります
から、
普段からウィルス感染には神経を尖らせることになります。

しかし、衛生管理がずさんなところは往々にしてあるもの。
そういう犬舎やペットショップには、パルボウィルスが入り込む可能性が高くなります。

そしてパルボに感染して潜伏期間中の子犬を客に販売し、
数日後に子犬に症状がでてあっという間に死亡してしまい、トラブルに発展するわけです。

生後60日はある意味危険

少し前までは、子犬は小さければ小さいほど売れるという理由から、
生後30日ぐらいで親から離し、40日ぐらいには
ペットショップのショーケースに並べられて販売されていた時期もありました。

現在は法令によって生後8週(56日)以前の子犬を販売してはいけないことになっています。

しかし、生後40日前後ぐらいから
母犬にもらった免疫の効果が薄れはじめると予想されることから、
それを補うために最初の伝染病予防ワクチンを接種した後に
生後8週頃の子犬を引き渡すという流れ。

これで本当に子犬は免疫力が引き上げられているのでしょうか?

引渡し前にワクチンを接種したとしても、
母親の免疫が残っていたらブロックされてしまう可能性があります。

だからこそ初回のワクチンは捨てワクチンなどと呼ばれるわけですが、
そんな捨てワクチンを接種した状態が子犬の体を危険から守っているとは思えません。

ならばいっそのこと確実に母犬の免疫が残っている確率の高い、
生後30日ぐらいに引き渡した方がよほど安全ということになりますが、
これは子犬の成長過程における社会化期を完全に失ってしまうことになるため、
やはり引渡しの時期としては早すぎて違う問題を引き起こすことになるでしょう。

となると、本来は生後60日頃に初回ワクチンを接種し、
生後90日頃に2回目のワクチンを接種、
そして免疫抗体がしっかり出来上がるのを待つための
およそ2週間が経過してから引き渡すというのが、
伝染病に対する安全を確保したうえでの、一番幼い年齢なのかもしれません。

単純に日数を合計すると生後104日。
つまり、生後4ヶ月の子犬ということになります。

現に、犬の先進国であるドイツやイギリスでは、
多くのブリーダーがこの時期以降に子犬を引き渡しています。

しかし日本ではいまだに生後8週齢を法定規則としておきながら、
事実上はそれより幼い子犬が売買されている現状があります。

なにかというと「悪徳ブリーダー」だの
「悪徳ペットショップ」だのという言葉が飛び交いますが、
行政の指導も遅れているし、飼う側の意識もまるで向上していません。

こんなことではいつまでたっても、
パルボで苦しみながら死んでいく子犬をなくすことはできないでしょう。