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老犬の便秘

この記事の目次

犬の排泄の悩みといえば、真っ先に思い浮かべるのが「下痢」ではないでしょうか。
子犬が下痢をするとヒヤヒヤしますし、成犬になってからも突然下痢をすると「なんでっ!?何がいけなかった?」と飼い主をあわてさせます。

しかし、排泄の悩みは下痢だけではありません。
愛犬が年老いてから比較的直面しやすい悩みはむしろ「便秘」の方なんです。

老犬が便秘になりやすい理由

これまでは下痢でも便秘でもない、健康そのもののウンチをしてきた犬も、年をとるにつれて便秘になりやすくなります。

これはひとえに老化により全身の筋力が低下したことや、若い頃に比べると運動量が減少したこと、胃腸の消化能力が低下したことなどが原因として考えられます。
とりわけ寝たきりになってしまった犬は便秘になりやすく、介護をする飼い主さんを悩ませることの一つでもあります。

いずれにしても、便秘になってから改善を試みるより、早い段階から便秘になりにくい工夫をするほうが建設的なのは間違いありません。

どのぐらい出なかったら便秘と判断するべき?

1日に何回排便があるのかは個体によって違います。
しかし、おおむね食事の回数にプラスして1~2回程度が標準ではないでしょうか。
朝晩の2回に分けて食事をしている犬なら、排便の回数は3~4回程度といったところですが、もしもまる一日排便がなかったとしても、この時点ではまだ様子見をしても大丈夫です。
排便を促すような工夫をしつつ、出るのを待ってください。

しかし、まる2日排便がなかったらかかりつけの動物病院へ連れて行ったほうがよさそうです。
この時点では、おそらく犬はお腹が張って苦しい思いをしていますから、ある程度強制的にでも排便をさせたほうがよいのです。

もちろん、まる2日待つ前に犬が苦しそうにしていたら、その時点ですぐに病院へ行ってください。

理由はなんであれ、便秘は体にとって良い状態とはいえません。
なるべく早めに解消してあげる必要があるのです。

便秘を解消するための食事

ドライフードをそのまま食べさせている場合は、まずはお湯でふやかすことから始めてみてください。
初期の頃ならこれだけでも排便がしやすくなるはずです。

さらには、腸の中で善玉菌が増えて腸内環境が改善するような食事作りを目指します。

  • プレーンヨーグルトを加える。
  • オリゴ糖を加える。
  • 整腸作用のある食べ物を加える。(バナナ、リンゴ、大根、さつまいも、キャベツなど)
  • 少量のオリーブ油、もしくは無塩バターを加える。

ポイントは、整腸作用のある食べ物を加える際も胃腸に優しくなる一手間をかけることです。

バナナはつぶしてペースト状にしたり、リンゴは皮をむいてからすりおろして加えます。
大根は生のまますりおろして与えても大丈夫ですが、胃腸の刺激にならないよう、ほんの少量にとどめたほうがいいかもしれません。
ある程度の量を食べさせたいなら、大根も茹でてからつぶして加えたほうが安心です。
キャベツを生で与える場合は、できればフードプロセッサなどで細かくすりつぶしたほうが胃腸の負担になりません。
茹でた場合も細かく刻んでから食事に加えるようにします。

体を動かすことで排便を促す

ゆっくりとでも歩くことができる場合は、負担にならない程度に歩かせてお腹に刺激を与えます。
寝たきりの場合は背骨の周辺やお腹をマッサージしたり、寝たままの体勢で四肢を動かしてあげることでお腹に刺激を送ります。
腰骨から背骨にかけては大腸や小腸を刺激するツボがありますので、根気良くマッサージを続けることで効果がでるかもしれません。
肋骨の下あたりには胃を刺激するツボがありますので、背中とお腹の両面を優しくマッサージしてあげましょう。

強制的な排便

どうしても自力で排便ができないときは、強制的に出してあげる方法があります。

綿棒による刺激

ぬるま湯につけた綿棒をそっと肛門に挿入したら、円を描くようにしてやさしく刺激を加えてください。
これによりかなりの確率で排便が促されることになりますが、これはあくまでも緊急の手段です。

癖になってしまうと自力での排便が遠のくばかりになりますので、出切るだけ腸内環境が改善するように食事の内容を見直し、マッサージなどを続けていくことをやめるべきではありません。

サプリメントや薬を常備しておく

サプリメントは別として、便秘解消の薬は綿棒による刺激と同じぐらい最終手段として考えるべきです。
繰り返しになりますが、出切るだけ自力で排便できるに超したことはありません。
とはいえ、いざというときの手段があると心配が減りますので、御守り代わりに便秘の薬は常備しておいたほうがいいのです。

  • 犬用の下剤
  • 犬用の浣腸

この二つは、使いすぎると癖になって自力での排便が困難になりますので、どうしても排便ができずに愛犬が苦しそうにしているときの解消用として使うべきものです。

便秘とは無縁のシニア犬ライフを目指したい

1日出ないぐらいなら大丈夫……という考え方をしてしまうのは絶対に禁物。
便秘は犬にとって苦しい状態ですが、犬は「お腹が張って苦しい」とは言えません。
たとえ寝たきりになってしまった後でも快便の犬はいます。
目指すのは、最後の最後まで快便のシニア犬ライフ以外にありません!