MENU

暴挙!抗菌剤を飲ませてから子犬を出荷するブリーダー

この記事の目次

子犬は元気に見えてもちょっとした環境の変化で体調を崩しやすいもの。

ブリーダーの元にいた時は元気いっぱいで食欲旺盛だったのに、
飼い主のもとへいったとたん体調を崩してしまう、というのはよくあることです。

その原因は母犬から離された寂しさによるもの……というより、
たいがいは環境の変化でストレスがかかり、寄生虫などが活発になった結果です。

単純な寄生虫ならまだマシだが…

お腹にどんな虫が寄生しているのかは、
子犬が生まれ育った犬舎の環境や、母犬が感染している寄生虫によります。

回虫等の駆虫薬が効きやすいタイプの虫であれば、
下痢や血便をしたとしても回復までにそう時間はかかりません。

しかし厄介なのは原虫類。
コクシジウムやジアルジアなどが原因で体調を崩すと、
回復までに長引くことが多いのです。

これらの原虫類は、体力のある成犬であれば自らの免疫力でおさえすので、
体内に持っていても体調を崩すことはまずありません。


しかし子犬は体力がないだけでなく免疫力も弱いため、
原虫類が活発になるとあっという間に体調が悪化してしまうのです。

そして回虫などに比べると薬の効きが遅く、さらには食欲まで落ちてしまうため、
あっという間になけなしの体力を削られることに。

おまけに子犬は肝臓が小さいので、もともとのエネルギー貯蔵量が少なく、
低血糖を起こしやすい状態でもあります。

つまり、抗菌剤で原虫類をおさえたとしても同時に食欲まで落ちてしまうため、
半ば強制的に栄養補給をさせないと、あっという間に低血糖を引き起こして
最悪の場合は死に至ってしまうのです。

無知なブリーダーの荒業

クレームを避けたいがあまり、ブリーダーの中には下痢もしていないのに、
あらかじめ抗菌剤を飲ませてから子犬を出荷する人がいます。

しかし、それが食欲不振をまねいてしまい、
低血糖に陥らせてしまう危険性がある
ことに気がついていません。

中には知っていて、万が一何かがあっても
「お腹の中に原虫類はいなかった」という言い逃れをし、
「責任はうちにない、飼い主の管理が悪い」と主張するための
方策ではないかと疑いたくなるケースすらあります。

ブリーダーは一度出荷した子犬がクレームで返品されることを、
なんとしても避けたい
のは間違いありません。

気持ちはわからなくもありませんが、そのために小細工をするぐらいなら、
犬舎の消毒に励めよと言いたくなります。

ただし、きちんと管理している犬舎で生まれた子犬であっても、
原虫類がお腹にいることはありうること
です。

それなのに、原虫類が原因で下痢をした=犬舎の衛生管理がずさん、
という図式で一括りにされてしまう
から、
下痢もしていない子犬に抗菌剤を投与するという暴挙に出てしまうのかもしれませんね。

いずれにしても、大変な目にあって可哀想なのは、いつだって子犬です。