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スキッパーキは黒い弾丸

この記事の目次

スキッパーキ。
犬種図鑑を見るぐらいの犬好きなら、一度は「飼ってみたい!」と思う犬ではないでしょうか。

とはいえ、通常はあまり知られていないほうに分類される犬種です。
日本における登録数は、決して多いほうではありません。
しかし、毎年40~60匹前後ぐらいはJKCに登録されている犬種です。

本家ベルギーで一度はあきられてしまった犬

犬種の起源については諸説ある場合が多いですが、スキッパーキも例外ではありません。

一応、ベルギーのブリュッセルと、近郊の都市とを結んでいた運河を行き来する貨物船の船乗りが連れていた、ということがよく知られています。
すなわち、スキッパーキは船乗りに愛された犬、というわけですね。

と言っても、普通に陸上でもネズミ捕りや番犬として活躍していたそうですから、16~18世紀頃の庶民に愛された犬、という位置づけでよいのではないでしょうか。

そんなスキッパーキですが、19世紀に入ると王室や貴族などの上流階級にも広まっていくことになります。

大出世したかに見えますが、庶民から上流階級まで幅広く普及したことで本家ベルギーではあきられてしまい、スキッパーキの数はどんどん減っていくことに。
逆に、イギリスがどんどんスキッパーキを輸入したことで海外に流出しはじめるという、なんとも奇妙な状態へと移り変わっていきます。

そして19世紀の後半にベルギーの愛犬家グループが「このままじゃいかん!」と立ち上がり、本家本元としてベルギー国内で復活を果たしました。

ちなみに、アメリカにもスキッパーキは渡っていきましたが、全然人気が出なかったのだとか。
アメリカ人はスキッパーキのような小粒でぴりりと辛いタイプの犬より、大きくてダイナミックな犬種を好むのかもしれませんね。

スキッパーキのしっぽ

スキッパーキといえば真っ黒!というイメージが強いですが、実は被毛の色は黒一色というわけではありません。
一応、最も推奨される標準としての毛色は「黒」だけですが、実はクリーム色やフォーンなどのスキッパーキも存在しています。

しかし、もともとスキッパーキを知らない人が見たらスタンダードな黒でさえ「真っ黒いスピッツ?それともキツネ顔のポメラニアン?」と思われてしまいそうな見た目をしています。
クリーム色やフォーンともなると、ほぼスピッツやポメラニアンの雑種と間違われてしまうのではないでしょうか。

そんなスキッパーキですが、おもしろいのはそのシッポ。
近頃は普通にふさっとしたシッポのあるスキッパーキも増えましたが、この犬種は生まれつきシッポのない個体も多いんです。

そして、シッポのない丸みを帯びたお尻がスキッパーキの特徴と捉える人が多いため、シッポがある場合は断尾してしまうことが多かったんですね。

さすがにいまは動物愛護の観点から断尾しないケースも増えましたが、基本的にはする、という感覚のほうがいまだ根強いかもしれません。

スキッパーキは小さくてもエネルギーの塊

犬種図鑑に記載されたスキッパーキの項目をみると、船に乗っていたこともあり、注意深く静かな足取りで歩く犬――と書かれていることがあります。

そのため、老人に向いている犬種であると解釈されることがありますが、はっきり言ってスキッパーキはエネルギーの塊。
小さな黒い弾丸のように猛スピードで駆け回り、高いところもピョンピョンと見事なジャンプ力で駆け上がってしまいます。
実は、一時もじっとするつもりなどなさそうな、テンション高く遊びまわる犬なんです。

つまり、大人しいと思ってスキッパーキを選んでしまと、大変な事態をまねきかねません。
スキッパーキは活動的、そして体力も有り余った犬です。

つまり、スキッパーキはアジリティーなどで積極的に運動させたい飼い主にこそマッチした犬。
そこのところをきちんと踏まえておかないと、こんなはずではなかったと後悔することに。

しかし、アクティブな犬種と暮らしたい人にとっては、スキッパーキは絶対に飼い主を飽きさせない犬でもあります。
しかも、スキッパーキは寿命が比較的長いことで知られていますから、いろいろなことをずっと一緒に楽しめる犬として、家族の一員に迎えられたら理想的ですよね。