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犬のナルコレプシー

この記事の目次

ナルコレプシーという病気について聞いたことはありますか?
居眠り病とも呼ばれているこの病気は、場所やそのときの状況にかかわらず、突然強烈な眠気に襲われて眠ってしまう病気です。
人間の病気としては比較的知られていますが、実は犬にもナルコレプシーがあります。

ナルコレプシーとカタプレキシー

ナルコレプシーは突然眠り込んでしまう病気ですが、実はナルコレプシーを引き起こす際に、もう一つみられる症状があります。
それはカタプレキシーと呼ばれるもので、日本語では情動脱力発作と表現する状態のこと。
要するに、遊んでいる最中や、ご飯やオヤツを前にしたときといった、嬉しくて大喜びするような場面でいきなり脱力してしまう発作のことです。

カタプレキシーは姿勢を保つための筋肉が突発的に弛緩して脱力発作を起こすわけですが、意識は失っていないところが特徴といえるでしょうか。
ナルコレプシーの犬は、そういったカタプレキシーの症状を見せたあとに、突然眠ってしまうことが多いのです。

ナルコレプシーの原因

近年の研究において、食べ物を食べる、起きている状態(覚醒)を保つといった生理作用に関わるオレキシンという脳内の神経伝達物質が、受容体で正常に作用しないことが原因ではないか、という報告がされています。
遺伝的に受容体が正常に作用しない場合もあれば、なんらかの理由で後天的にオレキシンが充分に作られなくなり、ナルコレプシーを発症する場合もあります。

ナルコレプシーの治療

犬のナルコレプシーは飼い主をぎょっとさせてしまう病気ですが、幸いなことに命にかかわる病気ではありません。
残念ながら根本的な治療法は現段階では見つかっていませんが、中枢神経に作用する薬を服用させることで、ある程度症状を緩和させることができる場合もあります。

愛犬がナルコレプシーを発症してしまったら、飼い主がするべきことは

ナルコレプシーの犬は、一生涯にわたって発作とつきあっていくしかありません。
だからこそ、発作のときに飼い主がどのように行動するのかが重要になってくるのです。

犬が発作を起こすたびに動揺してオロオロしていたところで、なんの解決にもなりません。
むしろ、冷静に対処することこそが愛犬を守ることにつながるのです。

食事中に発作を起こした場合は食べ物をのどに詰まらせてしまったり、嘔吐によって呼吸がさまたげられないよう注意してください。
また、ふらついてよろよろと足取りがおぼつかなくなってしまったり、突然倒れこんでしまうこともあります。
転倒による二次的なケガを負わないように普段から環境を整えておきましょう。

さらには、どういうタイミングのときに症状が起きたのかを細かく記録しておくべきです。
日付や時間はもちろんのこと、天気やその日に食べたもの、症状を起こす直前に何をしていたか。
こういったことを詳細に記録することで、どのようなきっかけでナルコプレシーの症状が起こりやすいのかを、ある程度把握できるようになります。
それにより、症状が起こりやすい状況を出来る限り避けることも可能になるのではないでしょうか。

また、獣医師に薬を処方してもらう際にも、それらはとても重要な情報となるのです。

おかしいと感じたらすぐ動物病院で相談することが大切

愛犬の行動が妙だなと感じたら、すぐに動物病院を受診することが大切です。
倒れて眠ってしまってもすぐに元に戻るから……、と放置していたら、実はナルコレプシーではなくて、もっと重篤な病気の可能性もあります。
いずれにしろ、いきなり脱力して動けなくなってしまったり、それまではしゃいでいたのに突然眠ってしまうという状態は、明らかに普通ではありません。

たとえ一生涯つきあっていかなければいけない病気だとしても、早いうちから対処するのとしないのとでは大違い
ドッグライフの質は、犬に病気があるかないかで決まるものではありません。
愛犬に対して飼い主がどのように向き合っていくのかが、一番のキーポイントになるのではないでしょうか。