考古学犬

考古学犬――。
ほとんどの人が聞いたことのない犬の仕事ではないでしょうか。

第1号の考古学犬は、2012年にオーストラリアで誕生したミガルーという名前のブラックラブラドールの雑種です。
ミガルーは考古学犬と呼ばれていますが、当然のことながら考古学を理解しているわけではありません。
考古学に分類されるような時代の人骨を探しあてることができるようにトレーニングされている犬なのです。

考古学犬は古い人骨を探しあてることに特化した犬

考古学犬は、古い人骨だけを探しあてるように訓練されています。
古い人骨というのは、肉片がほんの少しも残っていない、年数を経た骨のこと。
つまり、何百年も前の人間の骨のにおいを嗅ぎあてることができるんですね。
まだ生きている人間を探すことや、死んでからあまり時間の経過していない遺体を捜すこととは明確に線引きがされています。

とはいえ、肉のいっさいついていない骨に、そんなにしっかりとにおいが残っているのでしょうか。
嗅覚が犬ほど優れていない人間にとっては、まさに未知の領域という気もするのですが……。
実は、肉のついている遺体を捜すことのほうが、犬にとっては困難になるケースが多いのだとか。
というのも、肉がたくさんついていると時間の経過とともに腐敗臭がどんどん激しくなってしまい、人間のにおいそのものがかき消されてしまうからなのだそうです。
つまり、人間の遺体を捜そうにも、他の動物の死骸のにおいと区別がつきにくくなってしまうわけですね。
そういう点から考えると、肉などがいっさい残っていない古い人骨を探すことは、犬にとってはそれほど難しいことではないようです。

骨のにおいが好きだから考古学犬になったわけではない

まあ、考えてみれば犬は骨が大好きな生き物。
人骨のにおいもさぞかし大喜びで探すのだろうなと思いきや、考古学犬が人骨を探す目的は、なんとボール遊びがしたいからなんですね。
つまり、ボール遊びが三度のメシより好き!という犬に対し、古い人骨のにおいをさがしあてたらボール遊びをしてあげるよ、という動機付けがされているのです。

これは、麻薬探知犬や警察犬なども同じことですよね。
働く犬たちはとても人間の役に立ってくれていますが、なにも人間の役に立とうと思ってその仕事をしているわけではありません。
すべてはトレーナーやハンドラーによって、「目的を達成したらご褒美がもらえる」という動機付けが叩き込まれた結果なのです。

もちろん、そういった行動に適している犬が選抜されて訓練されているわけですが、それにしてもどの犬の仕事においても、トレーナーやハンドラーの努力には頭が下がる思いです。

今後の展望は

ミガルーのトレーナーは、今後の展望として古代の壺や化石などを探させることも視野に入れているそうです。
これらが実現すれば、もしかしたら誰も予測しなかった場所から、歴史的大発見の化石などが見つかるかもしれません。
また、肉の残っていない人骨を探し出す能力を活かして、第二次大戦の戦場となった場所に埋もれたままの兵士の遺骨を探すことも検討しているのだとか。

犬の優れた嗅覚は、私たち人間の予想をはるかに超えて、わずかなにおいを嗅ぎあてることができるのです。