MENU

膵炎の犬の療法食が見つからない!手作りの回復食

この記事の目次

膵炎にかかった犬の飼い主が悩むことといえば――。
それは、愛犬に何を食べさせればいいのか、という食事の内容についてです。

膵臓を患っている犬の食事は脂肪分を出来る限り排除する必要があり、なおかつタンパク質や糖質も制限しなければなりません。
脂質を取り除いたうえにタンパク質と糖質も制限するとなれば、当然のことながらまともにカロリーを摂取させることがとても難しくなりますし、栄養バランスを整えるのも一苦労です。
ただでさえ体重がどんどん減ってしまう膵炎の犬に、いったい何を食べさせればいいのでしょうか。

膵臓病に特化した療法食が見つからない!

完治するまでは膵臓病用の療法食のみを食べさせれば、それで万事解決では?と思われるかもしれません。
しかし、腎臓病や肝臓病、心臓病といった疾患とは違い、膵臓病に特化した療法食というものはほとんど見当たらないんですよね。

実際のところ、膵炎にかかった犬に動物病院で指示される食事といえば、消化器サポート(消化器全般に対応している療法食)か、もしくは減量用の療法食が多いようです。
それらに共通しているのは、脂肪分が5~9%と低脂肪であること。
しかし、それでも膵炎の進行具合によっては膵臓に負担をかける可能性があり、体調を整えるどころか、反対に悪化してしまうことも珍しくありません。

では、なぜ膵臓病に特化した療法食がドッグフードメーカーのラインナップに存在していないのでしょうか。
友人の獣医師に聞いてみたところ、あくまでも個人的な見解だけれど、という前置きのもと、こんなことを言っていました。
いわく、膵炎に特化した栄養バランスを考えるのはかなり難しいし、消化器用の療法食が食べられないほど重症化している膵炎の犬はまず助からないから、ドッグフードメーカーは膵炎用のフードを作りたがらないのではないか、と。
つまり、それほどまでに重症化した膵炎の犬を完治させることは困難であるということの裏返しなのかもしれません。

>>膵炎について詳しくはこちら

膵臓病に対応していると明記されたドッグフードは、いまのとこ筆者が知る限りではたったの一種類のみ。
上代は1kgで5000円と、かなり高価な部類のドッグフードです。
超小型犬1匹であれば、それでもなんとかなりそうな気もしますが、中型犬・大型犬ともなればその費用はばかになりません。

それに、このドッグフードでさえ粗脂肪は7%以下。
膵炎の症状が進んでしまった犬には、このフードでさえ合わないかもしれないのです。

膵炎の犬の回復食

となると、ある程度容態が安定してくるまでは、飼い主さんによる手作り食が一番体に負担をかけにくいことは間違いなさそうです。
そこで、かなり症状が進んでしまった膵炎の犬の回復食について、モデルケースを考えてみたいと思います。

輸液による水分補給と、絶食・絶水をして膵臓を休ませた後、嘔吐がおさまった状態と仮定します。(ここではあくまでも食事にフォーカスしているため、治療内容については割愛)

1.口から水を飲ませて嘔吐しないか様子をみる。

2.水+犬用の電解質パウダー

3.犬用の無脂肪ミルク+ブドウ糖

4.無脂肪ヨーグルト+ブドウ糖

5.お粥+少量のさつまいもやカボチャ(ペースト状になるほど柔らかく煮たもの)

6.お粥+さつまいもやカボチャ+大根+鶏のささみ

7.お粥+さつまいもやカボチャ+大根+豚ヒレ肉

時間をかけてこれらの段階を経ても嘔吐しないようなら、消化器サポートなどの療法食を試してみてもいいかもしれません。
もちろん、この過程の中で食べさせたあとに嘔吐してしまった場合は、その先の段階には進めないことを意味しています。

膵臓の数値が改善することを信じてがんばるしかない

当然のことながら、前述のような回復食で犬の体重が増えるはずもありません。
どんどん痩せていく愛犬に、なんとか食べられるものはないかと四苦八苦する日々は、飼い主さんにとって辛い現実と向き合う日々でもあります。

それでも、あきらめずに回復食を作り続けた飼い主さんの愛犬が、少しずつ固形のものを食べられるようになり、やがて膵臓の数値が改善したケースもありました。
また元気を取り戻す日がくると信じて、コツコツとがんばっていくしか方法はないのかもしれません。