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フランダースの犬のパトラッシュはブービエ・デ・フランダース

この記事の目次

名作アニメ「フランダースの犬」のパトラッシュ。
見た目の雰囲気や被毛のカラーリングから、セントバーナードだと思われがちです。
実は、パトラッシュはブービエ・デ・フランダースという、まるで別の犬種の犬。
ベルジアン・ダービュレンではないかという説もありますが、やはり有力な説はブービエ・デ・フランダースということになるでしょうか。

アニメのパトラッシュとは似ても似つかない外見

本物のブービエ・デ・フランダースは、アニメに登場するパトラッシュとはまったく似ていません。
強いて言うなら体が大きいことと、胴体が太くてずんぐりしているところ。
そこは似ていると言えなくもありませんが、そこ以外はまるで違う外見の犬です。
ベルジアン・タービュレンにいたっては、毛足の長いシェパードという表現がぴったりの外見ということもあり、ますますアニメのパトラッシュからは遠ざかっていきます。

さて、そんなアニメ版のパトラッシュとは似ても似つかないブービエ・デ・フランダースですが、顔つきや被毛の質感などから推察するに、アイリッシュ・ウルフハウンドやマスティフ、シュナウザーなどが作出に使われているのではないかと考えられています。
そしてブービエ・デ・フランダースは、フランスとベルギーの国境地帯フランドルで飼育されていた牧羊犬を祖としている犬。
というわけで「フランダースの犬」も、その舞台は17世紀のベルギーフランドル地方です。

ところが――。
この時期には、まだブービエ・デ・フランダースは、現在のような姿として固定されていません。
だからこそ、モデルとなった犬はベルジアン・タービュレンではないかという説が出てくるわけですね。

余談ですが、「フランダースの犬」の舞台となったホーボケンという町では、日本人観光客から「フランダースの犬」のネロとパトラッシュについての問い合わせが殺到したのだとか。
そこで、1986年にネロとパトラッシュの像が建立されました。
ところが、建てられた銅像のパトラッシュはブービエ・デ・フランダースそのもの。
せっかく建ててもらってこんなことを言うのはなんですが、おそらくその銅像は日本人にとって、あまり「フランダースの犬」っぽくありません。

日本においてはそう簡単には手に入らない犬種

なにはともあれ、ブービエ・デ・フランダースを飼ってみたい!と思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら日本においてはそう簡単に手に入れることはできません。

2017年にJKCに登録されたブービエ・デ・フランダースはたったの9匹。
同じ年に登録されたトイプードルの数が74,158匹であることを考えると、その少なさがよくわかるのではないでしょうか。

もしも道を歩いていてたまたまブービエ・デ・フランダースに遭遇したら、それはかなり希少な体験。
ドッグショーでもそうそう見かけない犬種です。

そんなブービエ・デ・フランダースを飼うとしたら、もちろんペットショップに行っても絶対に見つけることはできないでしょう。
ブービエ・デ・フランダースのブリーダーを探すしかありません。

もちろん、ブリーダーが見つかったとしても、常時子犬が生まれているとは限らないのです。
交配をして無事に子犬が産まれたとしても、すでに予約でいっぱいなら、順番はどんどん後回しに。
いずれにしろ、気の長い話を覚悟しておいたほうがよさそうです。

ブービエ・デ・フランダースは安易に飼ってよい犬ではない

どんな犬種であろうと、安易に飼育してよい犬はいません。
しかし、ブービエ・デ・フランダースはなおのこと、甘い考えの飼い主には向かない犬種です。

というのも、ブービエ・デ・フランダースは大型犬であり、なおかつ牧羊犬や作業犬という歴史を持った体力のある犬。
つまりは、毎日しっかりとした運動をさせてあげられることが絶対条件だからです。

しかも、ダブルコートの被毛は日本の暑さに向いていないため、暑さ対策は万全にする必要があります。
当然のことながら、こまめなブラッシングも必須。
おまけに伸びるタイプの被毛を持つ犬種のため、トリミングも必要です。
さらには体型的に胃捻転を起こしやすいため、食事の管理、運動の管理に加えて体調の管理にも充分に注意をはらう必要があります。

大きなヌイグルミみたいで可愛い!という感覚だけでブービエ・デ・フランダースを選んでしまうと、飼い主と犬の双方が苦しむことになるでしょう。