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女(メス)に生まれたからには、一度は子犬を産ませてやりたい?

この記事の目次

メス犬を飼い始めた飼い主が比較的よく口にする言葉があります。
「せっかく女の子に生まれたのだから、一度は子犬を生ませてあげたい」

――さて、このセリフ。
果たして犬のことを考えて言っているのでしょうか。
それとも、ただの自己満足?

メス犬のたどる道は…

生き物が交尾をするのは、自らの遺伝子を後世に残していくことが目的です。
とはいえ、犬という生き物は現代の日本においては
完全に人間の管理下に置かれています。

ということは、遺伝子を残すも残さないも人間が決めること。
そして現在、犬達は仕事をする使役犬ではなく、
ほとんどが愛玩犬として生きています。

となるとメス犬がたどる道は概ね3つ。
1つ目は、いずれオス犬と交配し、妊娠が成立したら子犬を生む。
2つ目は、一度も交尾をすることのない状態で避妊手術をする。
そして3つ目は、避妊手術はしないけれど
交尾を経験することもなく、結果子犬を生まないという選択。


中には子犬を生んだ後に避妊手術をするメス犬もいるでしょうが、
これは子犬を生まずに避妊手術をすることとは同列にすることはできないため、
あえて選択の一つには加えていません。

メス犬の体はホルモンの影響を強く受ける

さて、人間も犬も同じ哺乳類ではありますが、
生理や妊娠のタイミングなどにはかなりの違いがあることをご存知でしょうか?

犬は発情による出血がみられた数日後に排卵します。
つまり、犬は人間よりもずっと発情の際に
ホルモンの影響を強く受ける体のつくりをしている
のです。

発情期のメス犬の陰部はぎょっとするぐらい大きく腫れあがることは珍しくありませんし、
乳房についても普段の状態からは信じられないぐらい影響を受けて大きく張るのです。
そして発情期が終わると変化した陰部や乳房は、
また元の状態へと戻っていくというこの繰り返し
になります。

そしてこのようなホルモンの影響による変化を繰り返せば繰り返すほど、
女性器官が病気になるリスクはどんどん高まっていくのです。

つまり、発情期を一度も経験しない状態で避妊手術をすることが、
女性器官特有の病気になるリスクを一番低くおさえることになる
わけですね。

子犬を生ませることの目的は?

飼い犬に子犬を生ませることが悪いというわけではありません。
ある意味、命をつなぐことはごく自然なことなのですから。

しかし、犬という生き物を人間が管理下に置いている日本において、
子犬を生ませる部分だけ急に『自然』を求めることには、違和感を感じずにはいられません。

なぜなら家庭で暮らす犬にとって一番大切なことは、
その犬自身が飼い主に大切にされ、
愛されて健康に生きること
ではないかと思うからです。

なんとしても子犬をとらなければならないわけでもないのに、
ただメスだから子犬を生ませてやらないと可哀想という発想の持ち主は、
その犬自身が病気になるリスクについて考えたことはあるのでしょうか?

可愛い愛犬が産んだ子犬を2匹目の犬として飼いたいから……。
もしそれが子犬を産ませたい理由だとしたら、
愛犬が病気になるリスクが高まってもいいのか?
そして愛犬が産んだ子犬でなければ2匹目として愛せないのか?
このことをよく考えてから、その選択をしてほしいと思います。