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愛犬の体に脱毛が!?考えられる原因と病名

この記事の目次

ダブルコートの犬の飼い主さんは、喚毛期のたびに大変ですよね。
こまめにブラッシングをしていても、ゴソっと毛が抜けたりしますから。

ダブルコートの犬は喚毛期ではなくても一年中パラパラと毛が抜けますので、部屋の片隅にはいつの間にか毛の塊がホワホワと舞っている……なんてこともあるのではないでしょうか。
これはもうダブルコートの犬を飼っているお家の宿命なので、粛々とブラッシングをしていくしかありません。

しかし、抜け毛ではなく脱毛となると話しは別。
なぜなら犬の体に不自然な脱毛がみられるとき、そこには必ずなんらかの原因があるからです。

脱毛にはいろいろなタイプがある

脱毛と一口に言っても、毛が抜ける部位が決まっているわけではありません。
全身に脱毛がみられることもあれば、円形の脱毛が局所的にあらわれたり、尻尾の付け根や顔だけが脱毛していることもあります。
また、脱毛はしていても痒がる様子がまったくないみられない場合もあれば、脱毛した部分の皮膚が赤くなり、掻きこわしてしまうほど痒がることもあります。

いずれにしろ、通常の喚毛とは明らかに様子が違う脱毛は、犬の体になんらかの異変が起きているサイン。
そのまま放置してよいものではありません。
愛犬の体におかしな脱毛を見つけたら、まずは動物病院を受診してその原因を突き止める必要があります。

皮膚炎による脱毛

アトピー性皮膚炎、脂漏性湿疹、膿皮症、乾癬(かんせん)などが原因で脱毛している場合は、必ずといっていいほど強い痒みや皮膚の赤み、湿疹などの症状がみられます。
これらはそれぞれ必要な対処法が異なりますので、必ず獣医師の指示に従って適切な治療を開始してください。
放置してしまうと犬は痒みで皮膚を掻きむしり、そのせいで傷ができたところからウィルス感染してさらに皮膚炎を悪化させるという、悪循環に陥ることがあります。

ノミ・ダニなどの寄生虫による脱毛

ノミやダニに寄生されたときの脱毛も、強い痒みや皮膚の赤み、湿疹などの症状がみられます。
ノミの場合は2ミリほどの体長があるため、肉眼でも発見できることがありますが、ダニの場合は吸血前は0.2~0.4ミリとかなり小さいため、なかなか見つけることができません。
そのため、アレルギーなどで皮膚炎が起きているのか、それともダニやノミが原因なのかを素人目に判断するのはかなり難しいのです。
きちんと動物病院で検査をしてもらい、原因を突き止めたら寄生虫駆除のための治療を開始する必要があるのです。

皮膚糸状菌症による脱毛

真菌の一種である皮膚糸状菌によって皮膚に炎症が起きます。
円形に脱毛していたり、脱毛した部分にかさぶたができている場合は、皮膚糸状菌症かもしれません。
体力のある健康な犬の場合は感染しても自然治癒することがほとんどですが、免疫力が低下している老犬や病気を患っている犬、子犬などは症状が悪化することがあります。
殺菌のために内服薬を用いるのと同時に全身を薬浴させる必要がありますし、生活環境の消毒も並行して行わないと、いつまでも症状を繰り返すことになります。

ホルモン性の脱毛

脱毛というとすぐに皮膚炎を想像しがちですが、ホルモンの分泌になんらかの異常がある場合にもみられる症状の一つです。
ホルモン性の脱毛の場合は左右対称に脱毛していることが多く、脱毛した部分の皮膚に黒ずみがみられることがあります。

クッシング症候群

副腎皮質ホルモンの作用が正常より高い度合いになっている状態です。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌に異常があり、甲状腺の機能が低下しています。

性ホルモン異常

メスはエストロゲン分泌過剰オスはテストステロンの減少によるものです。

成長ホルモン異常

先天的な成長ホルモンの分泌異常によるもので、生後2~3ヶ月頃に症状があらわれます。

ストレス性の脱毛

病院で検査をしても病気の兆候はなく、アレルギーでもなければ真菌や細菌、ノミやダニに感染している様子もない……。
それなのに局所的な脱毛がある場合は、ストレス性の脱毛症を疑うべきです。

なんらかのストレスが原因で、犬は特定の部分の毛をなめたり噛んだりすることがあります。
そのせいで、その部分の毛が抜けてしまったり、皮膚が炎症を起こしてしまったのかもしれません。

治すためにはストレスの原因が何であるのかを突き止め、その原因から遠ざけてあげる必要があります。
ところが、飼い主がストレスの原因になっている場合、問題の根っこがかなり深い部分にあって解決が容易ではないことも。

夫婦喧嘩や親子喧嘩が耐えない家のワンちゃんの尻尾が気づいたら丸裸になっていた、という笑えない事例は珍しいものではありません。
大好きな人たちがいがみあう姿が犬の心を深く傷つけていたのではないでしょうか。

また、環境の変化や家族の変化――飼い主に赤ちゃんが生まれた、新しいペットを迎えた、大好きだったおじいちゃんが亡くなった……などなど、こういったことが思った以上に愛犬にストレスを与えている可能性があります。

ストレス性の脱毛の原因を取り除くことは容易ではありませんが、なんとかしてあげたいと思う飼い主の気持ちは必ず伝わるはずです。
気長に取り組むしかありません。

たかが脱毛とあなどらないで!

脱毛しているからといって、即死に直結することはほとんどありません。
しかし、その原因には様々なものがあり、場合によっては放置すれば重篤な症状があらわれることもあるのです。
それらは長い目で見れば少しずつ愛犬の寿命を削っているのだということを忘れないでください。