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老犬の関節炎に気づかない飼い主の割合は25%

この記事の目次

犬が体のどこかに痛みを感じているとき、飼い主に対してどんな仕草で訴えかけてくるでしょうか。

キャンキャンと鳴く・・・?
痛いところをアピールするような行動をとる・・・?
何かを訴えかけるような目でじっと見つめてくる・・・?

残念ながら、こんなにわかりやすく犬が痛みをアピールしてくれることはまずありません。
当たり前のことですが、「ここが痛くてつらいです」と言ってくれることもありません。

では、犬は体のどこかに痛みを感じているとき、いったいどうしているのでしょうか?

老犬の介護やケアをするうえで、犬が感じている痛みをいちはやく察知することは、とても大切なことです。
なぜなら、気づかない間に重症化してしまい、気づいたときには手遅れ、という最悪の事態がありえるからです。

犬は痛みを隠そうとする生き物

犬は痛みに強い生き物――。
これってよく言われることではないでしょうか。

実際のところ、犬は人間に比べるとかなり痛みに強い生き物なのでしょう。
ただし、痛みを感じていないわけではありません。

痛いけれど、痛くないように見せているだけで、痛いものは痛いはずなんです。

ところが痛くないふりをする。
この理由は野生時代のなごりにあるといわれています。
敵に狙われないよう、弱っているのに弱っていないふりをしているわけですね。

現代ではそんなふうに考えなくていいよ、痛いところがあったらもっとアピールしてね、という飼い主の気持ちを理解してくれたら一番ありがたいのですが、残念ながらそれは無理な話しです。

となると、犬が感じている体の痛みは、飼い主が五感をフル活用して察してあげるしかありません。

4段階に分けられる痛みのレベル

言葉を話さない犬がどの程度の痛みを感じているのか、人間が正確に理解するのはかなり困難です。
とはいえ、ある程度の指標となる仕草や行動により、おおよそのあたりをつけることは可能です。

レベル1(軽い痛みや違和感)
  • いつもに比べるとなんとなく元気がないような、そうでもないような?
  • シッポの振り方がなんとなく弱い?
  • いつもより少し落ち着きがないように見えるが、何かを気にしている?
レベル2(強い痛み)
  • 以前のように散歩に行きたがらない。
  • ボール遊びに誘っても気乗りがしないようだ。
  • 呼びかけに反応はするものの、うずくまってじっとしている、またはボーっとしている。
  • 食欲が落ちている。
レベル3(非情に強い痛み)
  • うずくまってじっとしたままでいる。
  • いつより呼吸が速い。
  • 全身が小刻みに震えている。
  • 食欲がない。
  • よだれをたらしている。
レベル4(激しくて耐えられない痛み、命の危機に瀕している)
  • 瞳孔が開いた状態で唸っている。
  • 正気を失ったような表情で吠えている。

レベル4になるまで愛犬の痛みに気づかないような飼い主は論外ですが、レベル3の状態になってからあわてて動物病院に駆け込むケースは少なくありません。
この時点では症状が相当に悪化しているため、治療が困難になるケースもあるのです。

できればレベル1、少なくともレベル2までには愛犬が痛みを感じていることに気づき、すみやかに動物病院に連れていきたいところです。

特に老犬の場合は、レベル2の状態でも「年をとったらこんなものだろう」と勘違いをしてしまいがち。
そのまま放置して悪化させてしまった結果、自力では立ち上がることが困難な状態になってしまったら、悔やんでも悔やみきれません。

飼い主が気づかない老犬の関節炎

人間も犬も、加齢によって関節に痛みがでることは、ある程度は仕方がないことなのでしょう。
しかし、痛みの程度が軽いままで済むか、重症化して耐え難い激痛になるかは、早めのケアにかかっています。

10歳以上の高齢犬ともなると、関節炎にかかっている犬の割合は45~50%。
その中で、飼い主が愛犬の関節炎に気づいていない割合は、なんと50%ともいわれています。
つまり、10歳以上のシニア犬の25%は関節に痛みを感じているにもかかわらず、飼い主には気づいてもらえないまま生活しているわけですね。

ということは、動かなくなったのも食欲が落ちたのも老化が原因だから仕方がない、と飼い主が思い込んでいる犬も、痛み止めを服用したり、関節の炎症をおさえる薬の投与により、以前と変わらない、もしくは以前に近いところまで元気に歩いたり走ったりできるようになる可能性があるのです。

すべては飼い主の手にゆだねられている

可愛かった子犬が成長し、成犬となって老いていく――。
時の流れは当たり前のことであり、避けようがありません。

しかし、老犬になってからも元気で楽しい毎日が送れるかは、飼い主によるケアが絶対条件とも言えるのではないでしょうか。

愛犬の健康な毎日は、すべて飼い主の手にゆだねられているのです。