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日本犬保存会の血統書・その2

この記事の目次

子犬がやってきて、その子犬に血統書がついていると、
嬉しくてしげしげとながめる人も多いのではないでしょうか。

しかし、それゆえに「あれ!?」と思うことがいくつかあるかもしれません。

4代の中に同じ名前が何度もでてくる!?

血統書には両親、祖父母、曾祖父母、玄祖父母の四代にわたる
犬の名前と犬舎名
などが記載されています。

両親については生年月日と毛色、尾型、犬舎名、日保籍番号まで記載されていて、
祖父母と曾祖父母は犬舎名と日保籍番号まで、
そして玄祖父母は犬名と犬舎名だけが一覧となってわかるようになっています。

この犬舎名と名前をじっくり見ていくと、
同じ名前・同じ犬舎名があちこちで登場することがあるのです。

これは展覧会の血統であればあるほど起こりうることで、
それじゃあ血が近すぎるんじゃないの!?とギョっとする人もいることでしょう。

しかし、これこそがまさに展覧会という特殊な世界においての、
優秀な要素を強くだすための近親交配なのです。

近親交配――インブリーディングの是非について
ここで論じることは避けたいと思いますが、
なぜこんなことをする必要があると思いますか?

それは、よりその犬種のもつ美点とされる部分を強調した作出をするためです。
それを追い求めた結果、信じられないほどに素晴らしい犬が誕生する一方で、
血液が近すぎることによる弊害もまた免れることはできません。

これらはあくまでもその犬種のプロともいえる作出家たちが、
長年の経験をもとにギリギリの選択をし、それでも失敗することもある世界
です。
素人が安易に手を出してよいものではありません。

遺伝子的な健全性のことだけを考えたら、
完全に血液の近寄らないアウトブリーディングが望ましい
ことは間違いないでしょう。

しかし、それを続ければその犬種の持つ特質が徐々に失われていくのです。
犬の繁殖にはそういう倫理的な問題がからむことが多々あり、
血統書の中にはそれを垣間見せてしまう情報が含まれているのです。

所有者変更欄に自分の名前を入れたかったら…

血統書は発行した段階では、
その所有者は血統書発行を申請した人の名前になっています。

通常ペットとしてその犬を飼育しているうえで、
所有者を変更しなくても何も困ることはありません。

しかし、自分の犬が他人の名義だなんてイヤ!という場合は、
登録犬譲渡報告書(譲渡証)を血統書と一緒にもらってあれば、
会員にならなくても所有者の変更は簡単にできます
ので、
すぐに問い合わせてみましょう。

JKCの場合は会員にならないと名義変更ができないため、
入会金やら年会費が必要になりますが、この点は日本犬保存会はなかなかに太っ腹です。

ただし、最初に渡された血統書を日保に送り返し、
そのままそこに印字されるだけ
ですから、
意外にあっけない気分になることを付け加えておきます。