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犬はハチミツを食べも大丈夫、でも積極的に食べさせる必要はない

この記事の目次

犬にハチミツを食べさせても大丈夫ですか?
実はこの質問、これまでに何度かされたことがあります。

食卓に出しっぱなしにしていたハチミツを、愛犬がなめてしまったと大慌てで連絡してきた飼い主さん。
子犬に犬用クッキーを作ってあげようと思ったけれど、レシピにハチミツが含まれているのでボツリヌス菌が心配だ、と不安がる飼い主さん。
理由は飼い主さんそれぞれでしたが、いずれにしろ、問題は犬がハチミツを食べてもいいのか、それとも悪いのかということですよね。

とりあえず結論から言ってしまいましょう。
犬はハチミツを食べても大丈夫です。
しかし、とりたてて積極的に食べさせる必要はありません。

ハチミツは甘味として高栄養、しかし犬に必要かは疑問

ハチミツといえば、なんとなく高栄養というイメージがありますよね。
実際のところ、ハチミツは甘味料としてはかなり高栄養。

ビタミン

ビタミンB1、B2、B6、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンK、ビオチンなど

ミネラル

カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄、銅、マンガンなど

アミノ酸

バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、グリシン、セリンなど

ポリフェノール

カフェ酸、p-クマル酸、フェルラ酸、ケンフェロール、クリシン、ケルセチン、p-ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、バニリン、シリングアルデヒド、ガランギンなど

酵素

ジアスターゼ 、ホスファターゼなど

さらには有機酸のグルコン酸なども含まれていて、本当に驚くほどハチミツは高栄養なんですよね。
だからこそ、これほどまでに高栄養なら、ぜひとも愛犬に食べさせたくなるのが飼い主の心情というもの。

ただし、問題はあまりにも『糖分』が大量に含まれていることではないでしょうか。
糖分は確かに犬にとってもエネルギー源になるものです。
しかし、犬の食事における糖分は食事の材料である穀物や野菜などから摂取すれば充分であり、あえて糖分の固まりのようなハチミツを摂取させる必要性は見つかりません。

ハチミツのボツリヌス菌問題と犬の関係

人間の食生活においては、1歳未満の赤ん坊にハチミツを食べさせることは危険とされています。
その理由は日本国内で流通しているハチミツの約5%がボツリヌス菌で汚染されている可能性があるからなんですね。
腸内細菌が整っていない赤ん坊が摂取した場合、乳児ボツリヌス症にかかる恐れがあります。

これをそのまま犬の食生活に当てはめられるのか否かについては、実は賛否両論あります。
というのも、実際のところ犬がハチミツを原因としたボツリヌス症にかかったという事例がほとんど報告されていないからなんですね。

だったら犬にハチミツを食べさせてもいいのでは?と結論付けたくなるところですが・・・。
子犬の体は人間の赤ん坊と同様に、免疫システムが完成されていません。
その状態でボツリヌス菌に汚染されたハチミツを摂取した場合、悪影響がないとは言い切れないのです。
これは、疾病によって体力が衰えている犬や、老犬に関しても同じことが言えます。

となると、犬の食生活にハチミツを積極的に取り入れる必要性はかなり低いものであり、あえて食べさせるのであれば健康な成犬期のみ、と考えるのが一番安全なのではないでしょうか。

ハチミツの甘味は犬にとっての麻薬になるかもしれない

犬の味覚は人間のおよそ6分の1。
つまり、食べ物に関しては味より嗅覚を優先する生き物なのですが、これが厄介なことに甘味は感じることができるんですよね。
つまり、「甘い味」は犬にとって「美味しい味」なのです。

だからこそ、美味しい甘味の決定版のようなハチミツは、麻薬のように犬を虜(とりこ)にしてしまう危険性が高いんですね。
ハチミツの味を知らなければそれで済んでいたのに、知ってしまった日からもっとくれくれと要求するようになる。
この要求に応えてハチミツを与えてしまったとしたら、あなたの愛犬は確実に糖分の摂り過ぎで体になんらかの変調をきたすことになるでしょう。

たとえば肥満。
たとえば糖尿病。

肥満も糖尿病も、さらなる病気を招く要因になることはあえて説明するまでもありませんよね。

ハチミツがどれほど高栄養の甘味であっても、過剰に摂取すればいとも簡単に愛犬の健康を脅かす原因になるのは間違いありません。
そして、甘味の強いハチミツは、犬の食事において適量をコントロールするのがとても難しいのです。

腎不全の犬のエネルギー補給に使う場合は要注意!

腎不全の犬は総じて食欲がありません。
だからこそ、少量でエネルギーが補給できる食品は気になるところ。

ハチミツは、そういう場面において最適な食べ物のような気がするかもしれませんが、ちょっと待って!
腎不全の療法食はタンパク質を制限してある分、エネルギー源として脂肪分と炭水化物が選択されています。
しかし、その影響で膵炎を発症しやすい状態にあるんですね。

糖分の摂り過ぎは膵臓に悪影響を与える可能性が高いため、膵臓の数値が悪化していることに気づかないままハチミツを与えてしまうと、膵臓に負担をかけてしまうことにつながります。
もしどうしても腎不全の犬にハチミツでエネルギーを摂取させたいなら、含まれている糖分量に気を付けるのはもちろんのこと、膵臓の数値の変化をきちんと把握しておく必要があるのです。

犬の食事における糖分は食材由来で充分

愛犬の健康を考えるからこそ、高栄養なハチミツに注目したくなる気持ちはとても理解できます。
しかし、健康に良さそうだと思って食べさせた食材が、結果的に犬の健康に悪影響を与えてしまっては元も子もありません。

犬の食事における糖分の摂取は、日常的に食べさせている食事の材料に含まれている糖質だけで充分。
低血糖で倒れたのでもない限り、犬の食事にあえてハチミツのような甘味を追加する必要はないのです。