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飢えを満たすだけの食事ではなく、楽しい食事で脳を活性化

この記事の目次

犬にエサをやる――。
一昔前だったらごく当たり前の表現ですが、現代においてはどうでしょうか。
なんとなく嫌な表現だと感じる飼い主さんが少なくないはずです。

それはまさしく、犬という存在がペットという位置づけから、家族の一員へと変わったからにほかなりません。
となると、「犬にエサをやる」という行為は、「犬にご飯を食べさせる」と表現したほうがしっくりくるのではないでしょうか。

ところが、です。
愛犬にご飯を食べさせるという行為があまりにも日常になりすぎて、いつの間にやら「単にご飯を食べさせる」だけの行為になっていることも……。

それではかなりもったいない!
なぜなら、楽しくご飯を食べさせることは、愛犬の脳の活性化につながっているからです。

ドーパミンが犬の脳を活性化させる

美味しいものを食べると、犬の脳内ではドーパミンというホルモンが放出されます。
ドーパミンの役割を簡単に説明するなら、幸せを感じたり、やる気をだすうえで必要な神経伝達物質。
さらには脳内の血流を改善し、学習能力を向上させる機能があります。
つまり、さまざまなことを覚える時期の子犬にとっては賢い脳を作るうえで欠かせないホルモンであり、脳の機能が衰えつつあるシニア犬にとっては、痴呆を防ぐために必要なホルモンなんですね。

そんなドーパミンですが、なにも美味しいものを食べたときにだけ放出されるわけではありません。
大好きな飼い主がすぐそばにいて、一緒に楽しい時間を過ごすことでも放出されるのです。

つまり、毎度毎度何も変わりばえのしないドッグフードをただお皿に盛り付けて、犬のところに持っていったらすぐにいなくなってしまう……。
もしも飼い主がこんな行動をとっていたら、いくらご飯を食べさせていても、犬の脳内でドーパミンの放出はあまり期待できないということになるでしょうか。

幸せな犬の脳内ではオキシトシンやセロトニンも放出される

ドーパミンが放出されるような幸せな時間を過ごしている犬の脳内では、オキシトシンセロトニンというホルモンも放出されやすくなります。

オキシトシンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれていて、まさしく幸福感に関わるホルモン。
ストレスを軽減し、闘争心や競争心をやわらげて精神を落ち着かせる働きに関与しています。
さらには飼い主への信頼感を増幅させてくれる働きがあり、オキシトシンはまさに「幸せホルモン」と表現されるにふさわしい働きをしているんですね。
また、セロトニンも精神を安定させて、穏やかに過ごさせるためには欠かせないホルモンです。

そしてオキシトシンとセロトニンは飼い主と楽しく過ごすことで、より放出しやすくなるタイプの幸せホルモン。
つまり、犬をあまりかまわずにほったらかしにしていると、オキシトシンもセロトニンもあまり放出されないことになります。

忙しさにかまけていたら、愛犬がやたらと無駄吠えをしたり、室内を破壊するようになってしまった……。
もしもこんな悩みを持っているとしたら、それは飼い主さんとのスキンシップ不足により、脳内でオキシトシンやセロトニンが不足しているのかもしれません。
それはすなわち、犬が精神的に強いストレスにさらされている証拠でもあります。

食事の時間は幸せホルモンを放出させるチャンス

忙しい現代人にとって、犬と一日中一緒に過ごすことはなかなかに至難の業。
ならば、せめて犬にご飯を食べさせる時間だけでも、楽しくて幸せな時間にしてあげましょう。
犬の好物をトッピングしてみたり、ミルクなどをかけることで美味しそうなにおいが増幅し、ドーパミンが放出されやすくなります。
さらにはご飯を食べている犬のそばにいて、「美味しいね、美味しいね!」と声をかけるだけで、オキシトシンが放出される可能性は高くなります。

セロトニンは日光を適度にあびることで放出されやすくなるのですが、夜間にしか散歩に連れ出せないからといってあきらめることはありません。
大好きな飼い主さんとのスキンシップと、バランスの良い食事でもセロトニンは放出されやすくなるのです。

愛犬の幸せホルモンを作り出せるのは飼い主だけ

お腹をすかせた犬は、飼い主がそばにいなくてもドッグフードを完食します。
しかし、それは単に飢えが満たされただけであり、幸せホルモンを作り出すには至りません。
愛犬の体の中で幸せホルモンを作り出してあげられるのは、飼い主さんだけです。
毎日忙しかったとしても、そのことだけは絶対に忘れるべきではありません。