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種オスにも性格はいろいろ

この記事の目次

「うちの犬に赤ちゃんを産んでもらいたいんです!
いいお婿さんを紹介してもらえませんか?」

メス犬の飼い主さんからこういう相談を受けることは、珍しくありません。

ほとんどの場合、このセリフの意味はもう1匹オス犬を飼育し、
将来的にお婿さんにしたい、ということではないようです。

要は種オスを探してくれ、ということですね。

交配という行為を理解していますか?

お婿さんだろうがお見合い相手だろうが、
どんなにきれいな言い方で表そうと、種オスは種オス。

ところが飼い主さんの中にはかなりドリーミーな方がいて、
「○○ちゃんが相手のことを大好きになって、相手の男の子ワンコにも
○○ちゃんを好きになってもらえるような組み合わせがいいです」

などと真顔で言われてしまうことも。

はっきり言って、それはまず不可能と思ったほうがいいでしょう。
恋愛だの愛の結晶だのという表現はきわめて人間的な感覚であり、
犬に限らずほとんどの動物にとって子どもを作るという行為は「繁殖」が目的ですよね。

頭にリボンをつけていようが、フリフリのついた洋服を着せていようが、
愛犬を妊娠させるために行うのは「繁殖」「ブリーディング」「交配」
まあ、どれでもいいのですが、要するにそういうことなんです。

つまりは、交配の現場というのはそういうドリーミーな飼い主さんが想像する、
ちょっと恥ずかしくて素敵な空間ではない、ということですね。

嫌がってケガをさせないよう(メス、オスのどちらもが)、
そして余計な体力を使わせないように短時間で無駄なく終了するよう、
しっかりとメス犬をおさえつけ、また交合が終了した後は
種オスのつけた精液がこぼれださないように、
しっかりとメス犬の股間をおさえたりもします。


そういうことを理解したうえで種オスを申し込んでいるかといえば、
そうではない飼い主さんが多いような……。

種オスによって性格はいろいろ

とはいえ、交配の現場が殺伐としたものだけ、というわけではありません。
仮に自然交配が成功したとしても、種オスによって成功までの道のりは個性いろいろです。

たとえば同じ犬種のオスでも、A君は交配を開始すると
メス犬の様子などはいっさい気にせずに、さっさと行動を開始して、
実に上手に仕上げてくれたりします。


これぞまさしく交配のプロ、という感じでしょうか。

一方、B君はとにかくメス犬の精神状態が気になってしまい、
少しでも嫌がる素振りを見せられるとすぐ及び腰になってしまいます。


そしてC君はとにかくムード作りにこだわるタイプで、
メス犬にやたらと気遣いを見せようとする、
恐ろしいまでのフェミニストぶりを発揮する稀有な犬。

正直言ってA君が一番ありがたく、B君の場合は
最初から全面的に手伝うつもりでのぞむしかないでしょう。

そしてC君の場合は、なんというか
はたで見ているこちらが恥ずかしくなるんですよね。
ドリーミータイプの飼い主さんにとってはまさに理想の種オスです。

そんなABCの種オス達の中で、一番人気がB君だったりしますから、
B君に指名が入るたびに「うへぇ、またこのヘタレかぁ」と思うのですが、
それはもちろんメス犬の飼い主さんにはナイショです。