市販のドッグフードと糖質制限

このところ、人間の食事における糖質がなにかと取り沙汰されていますよね。
糖質はいっさい摂取しないほうがいい、という意見がある一方で、糖質制限をしすぎるとかえって体調に悪影響を与える、という意見も。
結局どっちなんだ!?と訳がわからなくなりますが、いつになったら論争に決着がつくのでしょうか。

そんな糖質制限ですが、最近では犬の食事についても言われるようになりました

人間の糖質制限

人間も犬も、糖質はあまり摂り過ぎないほうがよい――。
この意見は、なんとなく理解できるような気がします。

しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、人間の食事と犬の食事における糖質の種類は完全には重ならないということ。
人間の場合、食べ物における糖質はおおむね4種類にわけられます。
いわゆる甘味が目的のブドウ糖や果糖といった糖類
でんぷんやオリゴ糖のように食材に含まれている糖質
キシリトールなどのような天然にも存在する糖質甘味料
そして、アセスルファムKやスクラロースのような、人工的に作られた高甘味度甘味料です。
人間の場合は糖質制限といえば、上記のすべてを制限している場合が多いのではないでしょうか。
高甘味度甘味料はいいのでは?という意見もありますが、ここではその是非については省きます。

犬の糖質制限

さて、犬の食事における糖質制限といえば、犬の食性から考えると、それはすなわち「でんぷん」を制限することになるのではないでしょうか。
なぜなら、犬の食事にわざわざ甘い味付けをした食べ物を与える必要はないからです。
おやつとして恒常的に果物を食べさせている場合はそちらも対象になるとは思いますが、糖質制限を考える以上、そもそもがおやつに果物を与えること自体が論外ということになりますよね。

というわけで、犬の食事における糖質制限は、基本的にでんぷんを制限するととらえてもいいのではないかと思います。
しかし、犬の糖質制限=でんぷんを制限する、と解釈した場合、あれ?という疑問がわきませんか?
そうなんです。
基本的にドッグフードには、でんぷん質を含む食材が使われていることがほとんどなんですよね。

でんぷん質の多い食材

でんぷん質の多い食品といえば、米、トウモロコシ、小麦、イモ……などなど、たくさんあります。
犬の食性は肉食獣寄りの雑食動物ですから、一番重要なのは動物性たんぱく質、つまりは肉類です。
しかし、総合栄養食のドッグフードを構成する食材は、当たり前の話しですが肉類だけではありません。
穀物や野菜、果物、海草など植物性の食材が組み合わされて、初めて総合栄養食として成り立っているわけです。
それなのに、もしも仮に完全なる糖質制限をしようとしたら、市販されているドッグフードでは厳しい、という結論になるのではないでしょうか。

市販のドッグフードでは糖質制限はできないのか?

犬の食事における糖質制限が良いか悪いかは別として、果たして市販のドッグフードで糖質制限ができるのかを考えてみると、やはりかなり難しいと言わざるを得ません。
たとえば、トウモロコシや小麦などの配合量が多過ぎる品質の悪いドッグフードは、すでに論外ですよね。
では、そういった安価な穀物が使われていないプレミアムフードだったら?
玄米、大麦などが使われているとすれば、でんぷん質は含まれています。
ならば穀物が使われていないグレインフリー(穀物不使用)ならいけるのでは?と思いたいところですが、グレインフリーにはサツマイモやジャガイモなどのイモ類が使われていることが多く、やはりでんぷん質が含まれています。

糖質制限を前面に押し出した完全栄養食のドライフードがないわけではありません。
しかし、それらのドッグフードの原材料にはリンゴやナシなどが使われていて、糖質がゼロというわけではないんですよね。
そして穀物やイモ類などが使われていないのに総合栄養食としてのバランスを満たしているわけですから、原材料にとてつもなくこだわっている分、価格も高めです。

犬の食事における糖質制限の考え方

どうしても限りなく糖質ゼロに近い糖質制限の食事を愛犬に食べさせたいなら、これはもう手作り食で徹底的に糖質を排除するしか方法はありません。
しかし、そもそもどうして犬にそこまでの糖質制限をしようと考えるのでしょうか?

もしもダイエットが目的なのだとしたら、おそらくはこれまでの食事内容に問題があったはずです。
ということは、犬にとっての適正な食事――すなわち、人間用の食べ物を与えない、食べさせ過ぎない、品質の良いフードのみを食事とする、これだけでもかなり犬の健康状態は良いほうへと変化するのではないでしょうか。
なにかどうしても体調に関する問題があるなら別として、太ってしまった愛犬を痩せさせるためだけに糖質制限をしようとしているなら、その考えは安易すぎるのかもしれません。