爆発物探知犬、地雷探知犬、ベイパー・ウェイク・ドッグ

爆発物探知犬地雷探知犬ベイパー・ウェイク・ドッグ――。
爆発物探知犬と地雷探知犬は文字の並びからその仕事内容が想像できると思いますが、ベイパー・ウェイク・ドッグという名前は耳にしたことのない人のほうが多いのではないでしょうか。

この三つはすべて、爆発物を探知する訓練を受けている犬のことです。
つまり、三つに共通しているのは、どの犬も命をかけて仕事をしていること。
しかし、一口に爆発物といっても、仕事をする状況にはかなりの違いがあります。

2013年に起きたボストン・マラソン爆発事件。
2015年に起きたパリ同時多発テロ事件。
こういった爆発物を使っての一般市民をターゲットにした大規模なテロ行為は、残念なことに後を絶ちません。
そして、いまや日本国内においても対岸の火事では済まされなくなっているのです。

爆発物探知犬とは

爆発物探知犬は、爆発物による事件・被害を防ぐための訓練を受けた犬のことです。

犬の嗅覚は人間とは比べものにならないほどに優秀。
爆発物に使われる薬品などを含めて、刺激臭の感知力は人間の1億倍も優れています。
この嗅覚を利用して、爆発物を探知するわけですね。

もちろん、犬にばかり爆発物探知を任せているわけではありません。
人間や機械も危険物の発見に尽力するわけですが、それだけでは対応しきれないのが世界の現状。
だからこそ、爆発物探知犬の力がとても重要視されているのです。

爆発物探知犬が仕事をするのは、おもに車両や荷物が集まる場所
それから、なんらかの式典や催し物などが開催される場所においても、事前に危険物が隠されていないかチェックするために出動します。

地雷探知犬とは

地雷探知犬の仕事も、爆発物を発見することです。
この部分は爆発物探知犬と変わりありませんが、出動するフィールドは全然別物。
地雷探知犬が仕事をするのは、戦闘エリア、もしくはかつて戦闘エリアだった場所です。

こういった場所はたいていが気温の高い灼熱の地であったり、反対に極寒という過酷の地
しかも、かなり広大な地に点在する地雷を探すために日夜働かなくていけないため、そうとうに酷使される仕事です。
誤って地雷を踏んでしまえば爆発する危険極まりない仕事ですが、人間に比べると体重が軽い犬の場合、踏んでも爆発する可能性が低いのだとか。

とはいえ、地雷探知犬の作業中の死亡率が3~4%であることを考えると、人間より少ないものの、やはり爆発にまきこまれて死亡する犬がいることは間違いありません。

ベイパー・ウェイク・ドッグとは

ベイパー・ウェイク・ドッグが仕事をするのは、自爆テロが警戒される場所です。
ここだけ聞くと爆発物探知犬と同じだと思われかもしれませんが、実は似て非なる存在。
ベイパー・ウェイク・ドッグと爆発物探知犬は、捜索方法がまったく異なるのです。

爆発物探知犬は、ハンドラーの指示のもとに、車両や荷物、それから時には人間のにおいを嗅ぐことで爆発物を探します
それに対してベイパー・ウェイク・ドッグは、人込みの中をランダムに歩き回りながら、人間の熱とともに空気中に放出される爆発物のにおいを探します
つまり、移動している自爆テロの犯人を探し出し、追跡するのが役目なんですね。

そんなベイパー・ウェイク・ドッグの特徴は、使われる犬種が主にラブラドール・レトリーバーであること。
爆発物探知犬や地雷探知犬などに使われる犬種はジャーマン・シェパードやベルジアン・シェパード(マリノア)、ドーベルマンといった犬種が多いのに対し、なぜベイパー・ウェイク・ドッグに限ってはラブラドール・レトリーバーが多いのでしょうか。
それは、人込みの中を動き回る際に、人々に恐怖心を与えにくいからです。

たしかに、シェパード系やドーベルマンは強面で、よほどの犬好きでもない限り、近づいてくれば恐怖を感じてしまいますよね。
その点、見た目が愛らしいラブラドール・レトリーバーは、ベイパー・ウェイク・ドッグとしてうってつけというわけです。

人間のために命をかけさせられている犬達がいることを知ってほしい

本当は、爆発物探知犬も地雷探知犬も、ベイパー・ウェイク・ドッグも必要のない世の中になることが一番です。
しかし、現在の世界情勢を見るにつけ、そのような日が訪れる気さえおこらないのは実に悲しいことですよね。
ならばせめて、今日もどこかで私たち人間のために、命をかけさせられている犬たちがいることを知ってほしいのです。