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マイクロチップはいまだ発展途上

この記事の目次

2011年の東日本大震災以降、ペットの犬や猫にマイクロチップを装着させたほうがいい、と考える飼い主さんが増えました。
それだけ、迷子になって帰れなくなった犬や猫が多かったからなんですよね。

では、今現在は大多数の飼い主さんがペットにマイクロチップを装着しているかといえば、いまだそこまで普及していません
たとえば、これから子犬を飼うのであれば、マイクロチップの装着について検討するよい機会。
しかし、すでに飼っている犬ともなると、なかなかそうもいかないような……。

とは言え、マイクロチップのような異物を愛犬の体内に埋め込むことに抵抗がある、というわけではなく、単にマイクロチップで愛犬を個体識別するという事実そのものに、ピンときていないだけではないでしょうか。

そもそも、マイクロチップとはどんなもの?

犬の体に埋め込むマイクロチップとは、直径およそ2ミリ、長さ8ミリから12ミリ程度の円筒形をした電子標識器具のことです。
実物をまったく目にしたことがない人がこのサイズを聞くと、思いのほか小さくてびっくりするのではないでしょうか。

ちょっと出し過ぎてしまった太めのシャーペンの芯、といったサイズのマイクロチップ。
基本的に犬は生後2週間、猫は生後4週間から装着が可能とされています。

マイクロチップに何が記録されるのかといえば、15桁の番号
この番号を専用の読み取り器(リーダー)で読み取り、登録番号を管理しているデータバンクに照会すると、飼い主の氏名や住所といった登録内容が判明する仕組みです。

ここで、あれ?と思ったかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
そうなんです。
マイクロチップをリーダーで読み取っただけでは、飼い主の情報は何もわかりません
そしてこの事実こそが、マイクロチップを微妙にややこしくしているんですね。

詳しい内容は後述するとして、まずはマイクロチップの基本情報をおさえておきましょう。

マイクロチップを装着できるのは獣医師だけ

マイクロチップの装着は専用のインジェクター(注射器)を使って埋め込む医療行為です。
つまり、獣医師しか行うことができません
埋め込む場所は犬の場合、そのほとんどが首の後ろから肩甲骨周辺にかけての皮下部分
基本的には麻酔なしで埋め込むことになりますが、痛がったり暴れたりする犬の場合は麻酔を使用することもあります。

かかる費用としては

  • マイクロチップの装着費用/数千円から1万円ぐらい(動物病院によって異なります)
  • 動物ID普及推進会議(AIPO)にデータを登録する費用/1,000円(2018年現在)
  • 麻酔をかけた場合はその費用(動物病院によって異なります)

マイクロチップを体内に埋め込むことで、犬の体に悪影響があるのではと心配する飼い主さんも少なからずいます。
日本獣医師会によると、マイクロチップによる電磁波の影響は認められていないとのこと。
そもそもマイクロチップからは電磁波が出ないため、当然といえば当然ですよね。
また、レントゲンやCTスキャンを操作するうえでも影響はないそうですが、一部のMRIに関しては、画像に影響が出たという報告があるそうです。
副作用やショック症状に関しては、マイクロチップは生体適合ガラスやポリマーで覆われているため、問題なしとの見解が示されています。

マイクロチップに期待されていること

ペットの身元を証明する手段として、環境省もイチオシのマイクロチップ。
その理由は、保護された犬や猫が飼い主のもとに帰れる割合が、あまりにも低いからなんですね。
環境省が調査した平成26年度のデータによると、負傷動物として保護された犬や猫のうち、飼い主のもとに帰れた割合は犬がおよそ28%、猫にいたってはわずか0.3%という低さでした。
2011年の東日本大震災の際には多くの犬や猫が自治体に保護されましたが、迷子札や鑑札、狂犬病の注射済票といった、なんらかの身元が判明するものを身に着けていた犬や猫は100%飼い主が判明したのに対し、身元がわからなかった犬で飼い主が判明したのはわずか0.5%、猫にいたってはゼロだったそうです。

だからこそ、環境省はマイクロチップの必要性を強く打ち出すに至ったわけですが、マイクロチップに期待されているのは、迷子を減らす目的だけではありません。
犬や猫の飼育を放棄して遺棄する件数も減らせるのではないか、と期待されているんですね。
犬や猫をこっそり捨てようにも、マイクロチップによって飼い主が割り出されるのであれば、その数が減らせるのではないか、というわけです。

マイクロチップの抱える問題点

しかし、マイクロチップは本当に身勝手な飼い主の飼育放棄を抑制することができるのでしょうか。
そもそも、マイクロチップをきちんと装着させる飼い主なら、ペットを無責任に放棄しないのでは?とツッコミを入れたくなるのが正直なところです。
逆に言えば、ペットを無責任に放棄するような人間が、マイクロチップをきちんと装着させるとは思えません
仮に手元にきた段階でマイクロチップが装着済みだったとしても、きちんと連絡先を登録しない可能性が高いのではないでしょうか。
その他にも、疑問は尽きません。

  • マイクロチップを装着しても、ISO(国際標準化機構)規格外のチップが入れてある場合は、日本国内で普及しているISO規格のリーダーでは登録されている数値を読み取ることができない。
  • 迷子や飼育放棄された犬や猫を自治体が収容しても、そもそもマイクロチップの読み取りをしなければ、何の意味もない。
  • リーダーでマイクロチップの数値を読み取っても、肝心な情報が登録されていなければ飼い主をつきとめることが困難。
  • 登録されている情報に変更があり、飼い主と連絡が取れない場合も返還が困難。
  • マイクロチップが入っていることで油断した結果、飼い主が捜索を開始するまでにタイムラグができる可能性がある。

このように、考えられる問題点は山積みであり、マイクロチップを装着した犬や猫が増える=自治体に収容される数が劇的に減る、とまではいきそうにもないのが現状です。

大切なのは愛犬を迷子にさせないこと

迷子になった愛犬を探すとき、飼い主は後悔という名の地獄の苦しみを味わうことになるでしょう。
そして愛犬もまた、飼い主とはぐれてしまったことで不安や恐怖を味わいます。
だからこそ、愛犬には常に身元が判明する「何か」を身につけさせておくことが大切
そしてその「何か」はマイクロチップに限ったことではありません。