イタリアングレイハウンドの魅力は身体能力とものぐさな性格
引き締まった流線型のボディを持つイタリアングレイハウンド(イタグレ)は、
見た目の通り驚くほど足の速い犬です。
大型犬のグレイハウンドを小型にしたという説が強いですが、
実はもっと歴史が古いのではないかとも言われていて起源がはっきりとわかりません。
ただ少なくとも早い段階でイタリア王室に大切にされたため、
イタリアングレイハウンドの名前で呼ばれるようになったようです。
そのため原産国はイタリアになっていますが、
歴史的には地中海周辺のどのあたりなのかはっきりしていません。
毛色がどんどん変化する犬
イタグレは生涯毛色を変えていく犬だといわれています。
子犬の頃は真っ黒だとしても、成長とともにベージュやグレーなど
違う色が生えてくることはよくあることです。
そのため、例えばブルーを手に入れたつもりでも
成長とともに変化してしまうこともありますが、
それもイタグレのおもしろみの一つなのです。
ローズイヤーはなかなか固定しない
イタグレの耳はローズイヤー(耳の内側が見えている状態で後ろに反り返って倒れている)が良いとされていますが、
完全に立ってしまったコウモリ耳になってしまう子もいれば、
片方だけローズイヤーという場合もあります。
また、若い頃はきれいなローズイヤーでも、
年齢を重ねるとともに立ってしまうこともあり、
確実に固定できるかどうかはわかりません。
固定するための矯正グッズもありますが、
犬にとっては強いストレスになることもありますから、無理強いは禁物です。
確かに耳が寝ているのと立っているのではかなり容貌が違って見えますが、
ショードッグでもなければ、こだわり過ぎることにメリットはありません。
意外にも病気の少ない犬ではあるが…
細い足と肋骨の浮き上がった脂肪の少ない体を見ていると、
虚弱なイメージを持たれることがありますが、イタグレは意外なほど頑丈な犬です。
ただし、骨折の危険性はどの犬種よりも高いことを忘れてはいけません。
それは、イタグレという犬種がとにかくよく跳ねるからです。
ところかまわず抜群の跳躍力でピョンピョン飛び上がり、
細くて長いシッポをビュンビュンとムチのように振り回します。
その結果、足やシッポを骨折するイタグレが後を絶ちません。
骨格のしっかりとしたイタグレであればまだしも、
強引なブリーディングによるミニ・イタグレは骨が脆く、
ちょっとしたジャンプで簡単に足が折れてしまうこともあるのです。
また生まれつき後ろ足の膝がゆるいパテラのイタグレも出現し、
儲け重視のブリーディングによるひ弱な個体が増えたことは残念でなりません。
イタグレの本当の魅力
骨格のしっかりとしたイタグレが走る姿は見惚れるほど美しいものがあります。
そして素晴らしい身体能力を持ちながら、
驚くほどの面倒くさがりの性格をしているところが、
イタグレのおもしろいところではないでしょうか。
つまり、小さければ高級だというくだらない概念を捨てなければ、
イタグレの本当の魅力を引き出すことはできないのです。