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犬の骨折はある日突然やってくる

この記事の目次

犬の骨折――。
経験したことのある飼い主さんならわかると思いますが、飼い主にとっては目の前が真っ暗というか、頭が真っ白になる出来事ですよね。

かくいう私も今までに2度ほど犬の骨折を経験したことがあります。
犬の骨折は、経験するまではどこか他人事だったかもしれません。
しかし、ある日突然その瞬間はやってくるのです。

ジャーマンシェパードの骨折

ジャーマンシェパードが骨折したのは、彼が生後10ヶ月ぐらいだったでしょうか。
すでに体格は30kgを超え、成犬なみの体高がありました。
しかし胴体はひょろりとしたイメージで、いかにも若犬のシェパードという姿をしていた頃です。

実はこのシェパードは、海外在住の頃に飼っていた犬。(後に一緒に日本に帰国しました)
日本とは違い、大型犬が放し飼いにされていても珍しくもない生活の中で事件は起きました。

その日、私と友人は庭でサッカーボールを使ってシェパードを遊ばせていました。
ボールを蹴るとシェパードはそれを嬉しそうに追いかける、という具合です。

しばらくは楽しく遊んでいたのですが、シェパードにボールを奪われまいとボールをコントールしようとしたところで、不覚にもよろけてしまったのです。
そしてまんまとシェパードの前足を踏んづけてしまいました。
靴底にゴリっとものすごく嫌な感触があり、その直後にシェパードがギャギャギャン!と、それはもうすさまじい悲鳴をあげ、地面にうずくまってしまったのです。

近づこうにもしばらくは狂ったように鳴き叫び、私も友人もオロオロするばかり。
しばらくすると、庭を囲った塀の向こうがなにやら騒がしくなりました。
なんと、犬を虐待しているのではないかと疑われていたのです。
あわてて下手な英語を駆使して、遊んでいる最中に犬の足を踏んでしまったと説明したのですが、犬の悲鳴と非難するような英語の問いかけに、全身が冷や汗でビショビショでした。

その後病院で検査したところ、シェパードは前足の一番外側の指を骨折していることが判明。
しばらく安静にさせて自然治癒させることとなったのですが、2、3日もすると痛みがおさまったのか、少しもじっとしてくれません。
結局、1週間後に動物病院へ経過を見せにいくと、すでに骨折箇所には仮骨(かこつ/骨折や骨の欠損が起きた部分に新しくできる不完全な骨組織)ができていて、前回はレントゲン写真で明らかに折れているとわかった患部が、わずか1週間で見事に白く写っていました
犬の回復力ってスゴイ!とつくづく感心したことをよく覚えています。

イタリアングレイハウンドの骨折

イタリアングレイハウンドは、見るからに骨折をしやすそうな犬種ですが、本当に骨折しやすい犬種でもあります。
と言っても、骨が細くてひ弱だからではありません。
むしろイタグレはひ弱そうに見えるわりに、実はとても丈夫な犬
高いところから無謀に飛び降りたりしない限り、そう簡単には骨折しません。

ところが、困ったことにイタグレは考えなしに高いところから飛び降りてしまう犬
というわけで、イタグレは骨折してしまうことが多いのです。

そんなイタグレですが、一番骨折しやすい箇所といえば、足ではなく尻尾かもしれません。
ムチのように細くて長いシッポをびゅんびゅんと振り回すイタグレは、知らない間にシッポを骨折していることは珍しくないのです。

我が家のイタグレも、ある日突然シッポの先がちょうちんをぶらさげているかのように腫れ上がっていました
おまけに、まっすぐ伸びたムチのようだったシッポの先がL字に曲がっているではありませんか!
あまりのショックにこちらは卒倒しかけましたが、シェパードのときとは違い、イタグレの態度はいたって普通
特に痛がる様子もなく、ちょうちんをユラユラと振り回しています。

結論から言えば、その後シッポをギプスやテーピングで固定することはしませんでした。
自然治癒に任せたのです。
といっても、治療を放棄したわけではありません。
イタグレのシッポは下手にテーピングなどで固定してしまうと、血行不良を起こして骨折箇所から先が壊死してしまうことがあるからです。
残念ながら真っ直ぐだったシッポはへしっと曲がってしまいましたが、それはそれで愛嬌があっていいか、という思いで見ていました。

ところが不思議なことに、時間が経過するにつれて曲がっていた部分はかなり改善されていったのです。
と言っても元通りとまではいきませんが……。

知り合いのイタグレも同じようにシッポを骨折し、飼い主は真っ直ぐな状態に戻したくて一生懸命テーピングで固定しました。
その結果、シッポの先が壊死してしまったのです。
しかも、骨折したときは全然痛がらなかったのに、壊死が始まったときはひどく痛がったのだそうです。
飼い主はシッポを真っ直ぐに治したい思いが先走ってしまい、結果として可哀想なことをしてしまったとずっと後悔していました。
もちろん、その後シッポは真っ直ぐに戻ったものの、壊死した分、長さは短くなってしまいました。

そのことを知っていたからこそ、我が家のイタグレのシッポ骨折は自然治癒に任せたのです。
骨折から数年が経ったいまも、イタグレは何一つ気にすることなく、尻尾をビュンビュンと振り回し続けています。