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犬にもイジメがある!?多頭飼育の中で見えてくるもの

この記事の目次

犬の多頭飼い――。
犬好きにとっては憧れの生活ではないでしょうか。
もちろん、すでに実践しているお家も少なくありませんよね。
複数の犬が人間と同じ空間でワイワイとにぎやかに過ごしている生活は、本当に楽しいものです。

しかし、人間の理想を押しつけた目線で「犬」という生き物を捉えてしまうと、信じられないような光景を目にすることも。
それは、犬のイジメです。

犬のイジメとは?

人間社会におけるイジメには、とても複雑な面がありますよね。
見た目でもわかる暴力をともなうようなイジメもあれば、一見しただけではわからない、無視や陰口といった陰湿なものも。

では、犬のイジメはといえば、ある意味とてもわかりやすいものかもしれません。
すなわち、弱いものが強いものにイジメられてしまう――これが基本です。

犬といえば人間のようなイジメとは無縁の、純粋な生き物というイメージがあったのに、犬同士にもイジメがあるなんてショック!と思った方もいらっしゃるかもしれません。

でも、よく考えてみてください。
強い者が強く、弱い者が弱い――。
これって、生き物として当たり前のことではないでしょうか。

犬のイジメは犬を多頭飼育するうえで生じてしまう、ある意味当たり前に起きる強者と弱者の関係が、直接的に表れた結果なんです。

ひ弱な犬は強い犬に攻撃されやすい

基本的には強い犬がひ弱な犬を攻撃するとはいえ、1匹の強い犬が特定の弱い犬を攻撃する場合もあれば、集団が特定の弱い1匹を攻撃してしまうこともあります

頭ではわかっていても、見ていると空恐ろしい気分になることがある、というのが人間としての本音でしょうか。
なぜこんな残酷なことを、と思わないでもありません。

しかし、おそらくは弱い個体を排除することで群れを健全に運営し、より多くの子孫が生き残るための方法として、遺伝子に備わっている記憶ではないでしょうか。

そう考えると、単純に「悪いこと」と捉えることはできないのかもしれません。

とは言え、私たち人間は弱い子も強い子も、みんなで仲良く暮らせる社会が理想の社会と考えますよね。
しかし、これはあくまでも人間的な発想であり、人間以外の動物、特に野生で生きる動物にとっては、あまり合理的な考え方ではないのかもしれません。
弱い個体が群れにいたとして、もしもその個体も守らなければいけないとしたら、野生という厳しい世界の中では群れ全体を危険にまきこむことにつながるのではないでしょうか。
現代において犬は人間にとってペットというより、むしろ家族の一員と表現したほうがしっくりくる存在となりました。
しかし、それはあくまでもこちら側の感覚であり、犬に人間的な概念をそのまま押しつけるのは、人間側の独りよがりではないでしょうか。

群れのリーダーとして飼い主ができること

強い犬が弱い犬をイジメてしまうのは、犬という生き物の習性として仕方のないことだ……。
と、頭ではわかっていても、やはりその光景を目の当たりにすると、人間的な発想としてあまり気持の良いものではありません。

ましてや、多頭飼育とはいえ飼い主にとってはどの犬も可愛い存在。
できればイジメなどなく、いつでもみんなで和気あいあいと楽しそうに過ごしてほしいものです。

では、強い犬が弱い犬をイジメているとき、飼い主はどうするべきでしょうか。

人間的な感覚でいえば、「弱いものイジメをしちゃダメ!」と強い犬を叱りたくなりますよね。
しかし、そんなことをすれば、多頭飼育という犬の群れに混乱を生んでしまうかもしれません。

犬は多頭飼育であろうと1匹飼いであろうと、どうしても順位をつけたがる生き物
みんな平等に、というのは犬同士においてはほぼ不可能なことなのではないでしょうか。

つまり、犬の中における順位付けと、それにまつわるいざこざについては、ある程度は犬同士に任せるしかないのかもしれません。

とはいえ、飼い主に何もできないかといえば、そんなことはないはずです。
多頭飼育している犬の集団に平和をもたらすもの。
それは、飼い主がリーダーとして正しく機能することにほかなりません。

飼い主による犬の群れのコントロール

どの犬が強くてどの犬が弱いのかを正しく把握していると、無用なトラブルを防ぐことはある程度可能です。
たとえば、一番ひ弱な犬が真っ先にオヤツをもらったとしたら、それは他の犬からの攻撃対象にされても不思議ではないと思いませんか?

しかし、正しく犬同士の力関係を把握していれば、そんな失敗はしないで済むはずです。

また、年齢とともに犬達のポジションにも変化がでてきますから、それらをリーダーたる飼い主が把握し続けることも重要ではないでしょうか。
あの子が一番強い、と思い込んでいたら、いつの間にか違う犬が上位にいることなんて珍しくありません。

要するに、イジメた犬に「イジメはダメ!」と叱るような意味のないことをするより、強い犬が弱い犬を攻撃しないで済むように、バランスをとり続けることが大切なのではないでしょうか。

犬という生き物に人間の理想を押し付けてはダメ

犬は人間と違って、理不尽なイジメなんてするはずがない。
そんなふうに人間的な理想を犬に押しつけることに意味はありません
犬たちの様子を見ていると、人間的な感覚からしたら理不尽としか言いようのない状況で、強い犬が弱い犬を攻撃することがあります。

犬は賢くて懐っこくて可愛い生き物ですが、それが犬のすべてではありません。
犬の多頭飼育は、犬という生き物を生々しく感じられる場なのだということを、飼い主はあらかじめ覚悟しておくべきではないでしょうか。