犬にとってのストレスを考える
ストレス社会――。
人間だけに限った話しではありません。
人間社会の中で生きる犬達も、やはり過度なストレスにさらされています。
なにがしかのストレスが犬の体や心を蝕んでいるとしたら、その原因は出来る限り取り除いてあげたいものですよね。
では、どんなことが犬にとってのストレスなのでしょうか。
犬にとっての精神的なストレス
犬がどんなことに対してストレスを強く感じているのかを考えるとき、人間的な視点で見てしまうと、その根本的な原因を探ることはできません。
犬がストレスに感じることと人間がストレスに感じることはイコールではないんです。
環境の変化
仮に引越しで小さな家から大きな家に移ったとします。
人間にしてみれば、とても嬉しいことですよね。
しかし、犬にとっては住み慣れた場所から知らない場所へ移動することになります。
それに加えて犬は狭くて暗い場所が一番落ち着く性質の生き物。
広い家で犬の遊べるスペースが広くなったからといって、飼い主同様に喜んでいるとは限りません。
また、散歩コースも変わりますから、犬は見知らぬ土地にいる緊張感にさらされることにもなります。
群れの変化
1匹飼いでは可哀想だから、多頭飼いにしよう。
これは、きわめて人間的な発想なのかもしれません。
犬にとっては知らない犬がやって来て、飼い主の愛情を奪っていくのです。
仲間がきた、嬉しいよと初めから手放しで喜ぶ犬なんて、ほとんどいないのではないでしょうか。初対面から仲良く遊んでいるからといって、安心するべきではないんです。
また、飼い主に子どもが生まれたときも犬は精神的なストレスにさらされます。
大好きな飼い主の関心が赤ん坊に向いていることだけでも犬にとっては辛いことですし、加えて赤ん坊の泣き声なども犬のストレスになりやすいのです。
生活リズムの変化
これまでは専業主婦のお母さんがいつも一緒にいてくれたのに、パートにでることになったので犬は留守番をしなければいけなくなった。
こんなときも、犬は精神的なストレスを強く受けることになります。
飼い主の変化
飼い主夫婦の仲が悪くなったり、親子喧嘩が増えたりすると、犬は精神的に大きなストレスを感じることになります。
考えてもみてください。
大好きな人が大好きな人と喧嘩をしているのです。
犬はどうしたらよいのか混乱してしまうでしょう。
さらには、不機嫌になった飼い主に八つ当たりをされたりしたら、犬の心が大きく傷ついてしまうのは想像に難くありませんよね。
犬にとっての身体的なストレス
精神的なストレスと同様に、犬にとっての身体的なストレスを考えるときも、人間的な視点だけで考えてしまうと見誤ることになります。
飼い主は良かれと思ってしていても、犬にとってはストレスに感じていることだってあるのです。
過度の散歩や運動
適度な散歩や運動は犬に欠かせません。
しかし、それが行き過ぎてしまえば犬の体には負担になるだけです。
散歩や運動が大好きな犬でもそうなのですから、もともと散歩や運動がそれほど好きではない犬にとってはなおのこと。
寒さに弱い犬種は真冬の散歩を喜ばないことも多いですし、ブルドッグなどはそもそも歩きたがらないことも珍しくありません。
もちろん、散歩や運動は健康のために欠かせませんが、どの程度がその犬にとって適正な負荷であるかを考えないと、体に過度のストレスをかけてしまうこともあるのです。
コマンドの成果
犬はコマンドをきっちり達成できたとき、喜びを感じる生き物です。
しかし、上手くできなくて成果があげられなかったときはストレスに感じます。
だからこそ、出来たり出来なかったりすることの成果を、飼い主が上手にコントロールしなければいけないんです。
コマンドの練習は、「出来た!」という達成感で終了させてあげないと、犬は体にかかったストレスに加えて精神的にも強いストレスを感じてしまうかもしれません。
犬の目線で考えることが大切
愛犬にとってどんなことが強いストレスになるのかを、ちゃんと理解してあげられるのは飼い主だけです。
外のちょっとした物音も、犬にとっては正体不明の不気味な音に聞こえているかもしれません。
なにが犬を落ち着かなくさせているのか――。
人間視点ではなく、犬の目線で考えなければ見誤るばかりではないでしょうか。
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