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北方犬種を展覧会で勝たせたかったら室内飼育では無理

この記事の目次

かつては屋外飼育が当たり前だった犬ですが、
現在は室内飼育される数の方が圧倒的に上回っています。


小型犬の人気が高いから、ということも理由の一つですが、
それだけではありません。

大型犬も普通に家の中で暮らしていますし、
その昔は庭の片隅につながれていた日本犬等の雑種も、
室内飼いされることは珍しくなりました。

環境に適応していく体

それに伴い、犬達はちゃんと環境に適応しています。

四季のはっきりした日本において屋外飼育される犬達は、
春と秋にそれまでまとっていた被毛を落とし、
これからやってくる季節にあわせて被毛を入れ替えてきました。

いわゆる喚毛期というもので、日本犬などの
ダブルコートの犬を飼育したことのある人なら経験があると思いますが、
多少時期のずれはあっても、春と秋の抜け毛はすさまじいものがありますよね。

しかし室内飼育されるにつれ、この喚毛にも変化が出てきているのです。
室内は屋外に比べると気温の影響を受けないばかりか、
冷房や暖房などの空調もあります。

そうなると、犬のまとう被毛の役割は何割か必要がなくなっていくわけですね。
すると犬の体は環境に適応し、だんだん冬毛の勢いがなくなっていくのです。

被毛は展覧会では重要は審査ポイント

夏毛と冬毛だったら、だんぜん冬毛の方がモサモサと被毛が密になります。

どんな犬種にも当てはまることですが、北方犬種の場合は
これが実に顕著に現れ、単純にフォルムだけの話しをすれば、
圧倒的に冬毛をしっかりまとっている時の方が迫力があります。

これは、展覧会においては非常に有利に働きます。
素晴らしい被毛をしっかりとまとった姿は立ち姿を力強く見せますし、
本来持つ毛の美しさも際立たせることができる
でしょう。

しかし、室内飼育される北方犬種の冬毛はそこまでゴージャスにはなりません。
そのため、展覧会に出陳するための犬達は、
あえて冬の寒さにあたるように屋外飼育が基本となるのです。

もともと展覧会を目的とした日本犬の繁殖者の多くは、
犬を室内で飼育するという感覚がありませんでした。

ペットとして小型犬を飼っていたら屋内で飼育するでしょうが、
少なくとも展覧会にだす日本犬種について室内飼育はしないのです。

その結果、犬達はきちんと夏の暑さと冬の寒さを経験し、被毛の力が増していくのです。
これは、ペットとして秋田犬や北海道犬を飼育しているけれど、
展覧会にも出してみたいという人にとっては絶対に叶わない部分です。

どんなに良い犬質であっても、室内飼育を基本にしていると
被毛は絶対に豊かにはなりません。


どうしても展覧会で勝ちたいと思ったら、少なくとも冬は屋外に出すしかないのです。

そのあたりを割り切ったうえで、
それでもどこまで展覧会で良い成績を残せるのか試してみたいなら、
展覧会そのものを楽しむ心を忘れてはいけません。