訓練性能の良し悪しと、頭の良い悪いはイコールではない

頭の良い犬と聞いて、どんな種類の犬を思い浮かべますか?
警察犬や軍用犬のイメージなら、ジャーマン・シェパードやドーベルマン・ピンシャー、
盲導犬だとラブラドール・レトリーバーあたりでしょうか。

牧場で羊を追うシープドッグの能力の高さを知っている人なら、
ボーダーコリーを挙げるかもしれません。

数々の芸をこなすトイプードルも、かなり賢い犬種として有名ですよね。

ところで、上記にあげた犬種に共通しているものはなんでしょうか。
それは、単純に頭が良いということだけではありません。

これらの犬種に共通しているのは、「訓練性能が良い」ということです。

訓練性能とは?

訓練性能が良いとは、すなわち訓練して何かを覚えることに長けている、という意味です。

これを単純に「頭が良い」と理解してしまうと、
頭の良い犬とはどんな犬であるかを考えたときに、
大切なことを見誤ってしまうかもしれません。

なぜなら、訓練性能の良い犬種というのは、
人間によるコマンドがよりこなせるように改良が加えられている犬達
だからです。
要するに、頭が良く見えるように作られているんですね。

では、人の手があまり加えられていない犬種だったらどうでしょうか。

古い犬種といえばアフガンハウンド、スピッツ、サルーキ、
ボルゾイなどが有名なところですが、
これらの犬種には共通している悪いイメージがありますよね。

それは「しつけにくい」ということです。
そして、ここに大きな誤解が生まれています。
すなわち、「しつけにくい」=「頭が悪い」という勘違いです。

古い犬種の性質

これらの古い犬達は、人の命令に従うような改良があまりされていません。

ただし、犬としての能力が低いかといえばそんなことはなく、
むしろこれらの犬種の犬達は、己の判断によって物事に対処する傾向が強いのです。

当たり前ですよね、何百年も前から
判断を人の手にゆだねずに生きてきた歴史を持っているのですから。

それなのに、教えたことを覚えないから
「頭が悪い犬種」と失礼な評価がされているのは残念でなりません。

彼らにしてみれば、「なんで人間の命令にいちいち従う必要がある?」
というところなのでしょう。

もちろん、こういった我の強い性質の犬種にも、
しっかりと訓練を入れている優秀な飼い主さんはいます。

つまりは、中途半端な訓練しかできない飼い主に、
こういった古い犬種は向いていない
、ということでもあるわけですね。

安易な犬種選びは火傷のもと

では、訓練性能の良い犬種を選べば楽をしてトレーニングができるのでしょうか。
これもまた大きな勘違いです。

たしかに訓練性能の良い犬種に正しいトレーニングをすれば、
砂に水が染み込むようにいろいろなことを覚えてくれるのは間違いありません。

しかし、同時に中途半端な訓練しかできなければ、
「コイツはたいしたリーダーではない」ということを
いち早く見抜かれてしまうことになるでしょう。

そうなると、頭の良さが仇(あだ)になってしまうかもしれません。

すなわち、この程度の飼い主はリーダーとして尊重する必要はない、
と判断されてしまうわけですね。

つまりは、飼い主として見切られてしまうということです。

犬は、自分の飼い主がリーダーとして優良か、
それとも中途半端であるかを見事に見極めてしまう生き物。

そして、それは訓練性能の良い犬も、古い犬種にしても同じことです。

楽をしたいからこの犬種を飼う――この発想が少しでもある限り、
どんな犬種を育てても理想の犬にはならないことだけは間違いありません。