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間違ったご褒美の使い方をするとトレーニングの妨げになるだけ

この記事の目次

犬にあげるご褒美の定番といえば、オヤツ。
最近ではトレーニングのご褒美として使いやすい、小さな粒状にしたオヤツがいろいろと販売されていますよね。

一口サイズのオヤツをオシャレな袋に入れて身につけおき、さっと取り出してパっとあげるという、ドッグトレーナーのようなスタイルを取り入れている飼い主さんも増えているのだとか。
正直なところ、わざわざ割高なトレーニング専用のオヤツを使わなくても、粒タイプのドッグフードで充分ではないかと思ってしまうのですが、やはりトレーニングのご褒美は専用のトリーツじゃないと気分がでないのでしょう。

誰の気分かといえば、犬ではなくて主に飼い主のほうですが……。

そのご褒美のタイミング、なんかおかしくないですか?

犬をトレーニングするとき、ご褒美にオヤツをあげるという行為は、手っ取り早く効果をあげるためには有効です。
犬はオヤツほしさに、がんばってコマンドを遂行しようとすることでしょう。

そんなときよく言われるのが「犬がちゃんとコマンドを実行したら、即オヤツをあげないと意味が理解できない」というもの。
これはまったくその通りで、「さっきはいい子だったから、はいご褒美のオヤツ」とあげたところで、犬はなぜオヤツがもらえたのか全く理解できないまま、ただ喜んで食べてしまうことでしょう。
このあたりの感覚は、さすがに多くの飼い主がすでに理解しているのではないでしょうか。

ところがです。
本来なら、ちゃんとコマンドが遂行できたからもらえるはずのご褒美を、おかしなタイミングでもらえてしまう犬を見かけることの、なんと多いことでしょうか!

たとえば、愛犬を連れてドッグカフェに行ったとします。
飼い主がイスに腰をおろし、ウロウロしている愛犬に「お座り」と命じて犬がお座りをしたからご褒美をあげる
これは、タイミングとして間違ってはいません。

しかし、飼い主がイスに腰をおろすと、犬が自然にお座りをした。
おりこうだったのでご褒美をあげた――。
これ、変だと思いませんか?

「え?でも、自分からちゃんとお座りをしたんだから、いい子だと褒める意味でご褒美をあげたんですよ」と反論されてしまうかもしれません。
しかし、これってただオヤツを与えただけのことではないでしょうか。
ご褒美ではありません。

そうなんです。
ご褒美としてあげるオヤツは、飼い主がなにかを命じてそれに従ったからあげるものであり、自発的に犬が行動したことが「たまたま」飼い主の望む行為だったからもらえるものではないんですね。

おりこうにしていたからオヤツをあげるということが悪いわけではありませんが、トレーニングという意味合いで考えた場合は、ご褒美の意味合いがぶれてしまうことになりかねません。

ご褒美のおやつはトレーニングの導入時使うもの

こういうタイミングのずれたご褒美の使い方は、犬を勘違いさせるだけ。
下手をするとトレーニングとは言えない、ただの甘やかしタイムになってしまうこともあるんです。

また、なにかをするたびにご褒美のオヤツをいちいち与えていると、「ご褒美のオヤツがもらえるときにしかやらない犬」になってしまうかもしれません。

ご褒美のオヤツは、本来はその行為をさせるうえでの導入として使うもの。
最終的にはオヤツなんかなくてもちゃんとコマンドが遂行できる犬としてしつけなければ意味がありません。

ドッグカフェに行ったらリーダーである飼い主が座る足下で、犬が静かに伏せているのはえらいことでもなんでもなく、当たり前のことです。
これを当たり前にできる犬にすることが、トレーニングをするということなのではないでしょうか。