ブリーダーに夢を見るのは間違いのもと

年に一度や二度は悪徳ブリーダーによる近隣住民との軋轢や、
放置された悲惨な犬猫の話題がニュースに登場します。

劣悪すぎる環境の中、ひたすら子犬や子猫を生むことを強要され、
狭い檻の中で一生を過ごす母犬や母猫たち。
そしてひとたび伝染病が発生するとバタバタと死んでいく子犬たち。

そんな悲惨な現実が映し出されても、人間というものは
自分の家にやってくる天使(子犬や子猫)には
なぜか夢を見てしまう傾向にあるような気がしてなりません。

ブリーディングの現場はおとぎの世界ではない

ブリーダーから直接犬を購入するのだから、
うちに来る子犬は理想的な環境でノビノビと育っている!
そう考える気持ちはわかりますが、時として想像が行き過ぎていることがあります。

清潔な屋内で、優しい母犬に見守られながら同胎で生まれた兄弟姉妹とともに、
毎日走り回ったり、じゃれあったり、ワイワイと楽しく暮らしているに違いない……。

まあ、絶対にそのような環境がないとは言いませんが、
商売としてブリーディングをしているとしたら、
そこまで夢のような育ち方はしていないと思った方がよさそう
です。

まず第一に、離乳食を始められるところまで子犬が成長したら、
母犬と子犬は離してしまうことになるでしょう。

なぜなら、いつまでも母乳を飲ませていると母犬の体の回復が遅れるからです。
次の発情でもまた子犬を生ませる予定なら、
少しでも早く通常の体に戻さなければいけません。

また、母犬が偶然子犬を踏んでしまったり、移動させようとした結果くわえた時に
体に傷をつけてしまうこともあります。

子犬の行き先が決まっている場合、
ブリーダーは子犬に傷をつけるわけにはいきません。
当然、父犬と一緒にすることはないでしょう。

パパ犬とママ犬に見守られる可愛い子犬達…、などという夢のような図は、
そう簡単には実現できないのです。

個人の家ならありうるが…

そんなメルヘンな出生を望むのであれば、
個人の家で飼育されている子犬を探すしかありません。
子犬が商売の対象ではない家庭なら、上記のような環境で育つことも可能でしょう。

ただし、現在子犬を年間2匹以上売買するためには、
動物取扱業として正式に登録している必要があります。

そうでなければモグリか、もしくは業者が間に絡んで
名義の貸し借りなどがおこなわれていることになるわけです。

もちろん、知らなかったから家で生まれた子犬を売っちゃいました、
と言い逃れをすることはできるでしょうが、
血統書をきちんと発行できる親犬の所有者がそんな理由をつけているとしたら、
かなりあざといと言わざるをえません。

パパ犬、ママ犬、兄弟姉妹の揃う理想的な環境ではなかったとしても、
きちんとブリーディングをしている犬舎はいくつも存在します。


あまりにもメルヘンな夢をおしつけるのではなく、
必要なことと必要ではないことの区別をつけたうえで子犬を迎えることが、
飼い主にとっても子犬にとっても一番幸せになれるのかもしれません。