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犬をほめるタイミングを間違えると混乱させるだけ

この記事の目次

犬が悪いことをしたら叱り、おりこうにできたら褒める――。
ごく当たり前のことですし、このように心がけている飼い主は
たくさんいることと思います。

しかし、自分ではできているつもりでも、
犬側の視点から見た場合、果たして本当にできているのでしょうか?

こんな光景、経験ありませんか?

散歩に行こうとしてリードを持ちだしたとたん、
犬が大喜びして興奮したあげく、ピョンピョンと飛び跳ねたり、飛びついてきたとします。

そこで飼い主は「静かにしなさい!」と一喝しました。
すると、その声で犬が飛びつくのを止めたので、
飼い主は「いい子」と褒めて頭をなでてからリードをつけました。

――こういう光景は、よくあることではないでしょうか。
これ、一見すると何も問題がないように思えるかもしれません。
しかし、実は褒めるタイミングを間違えています。

褒める必要のないところでは褒めない

ピョンピョン跳ねるのをやめたんだから、
ここは褒めてもいいのでは?と思うかもしれません。

しかし、なんのために跳ねるのを止めさせたかといえば、
それはリードを装着するために、静かにさせたいからですよね?

ところがせっかく跳ねるのをやめたのに、
そこで褒めたらまた興奮してしまうことになるでしょう。

こういった、これから楽しいことがある、という段階で褒められてしまうと、
犬は落ち着いた状態からは程遠くなってしまいます。

リラックスしているときに優しくなでるのと、
このタイミングでなでるのでは、意味合いが違う
のです。

では、飼い主はどうするべきだったのでしょうか?

ピョンピョン跳ねるのをやめたからといって、
すぐに犬の興奮がおさまるわけではありません。

きちんと犬の精神状態を確認するためにも、
伏せ(ダウン)などをさせてしっかり落ち着かせてからリードを装着し、
それに対する褒め言葉をかけることなく、静かに出発すればいい
のです。

叱ったあとに褒めるのは混乱のもと

たとえば、テーブルの上の食べ物のニオイを嗅ごうとして、
犬がテーブルに前足をかけたとします。

飼い主が「こらっ!」と叱ったら、犬は前足をテーブルから下ろしました。
そこで「うん、いい子」となでるのは、飼い主としては
「やめろと言われたことを素直にやめたのだから、お前はいい子だ」
という意味合いでなでたのでしょう。

しかし、犬にしてみれば一つの行動に対して
叱られもしたけれど、褒められもしたことになります。


その結果、今の行動に対する飼い主からのアクションを混乱して受け取ることになり、
テーブルの上のニオイを嗅ぐな、前足をかけるなという
飼い主の真意は伝わらなくなってしまうのです。

テーブルにかけていた前足を外したら、それで終わりでいいのです。
そのことを褒める必要はありません。

もしも叱ったことに対する無意識の罪悪感で褒めているのだとしたら、
それは犬にとっては混乱する原因となるだけで、
犬にとってはありがたいことでもなんでもないのです。

私たち人間と犬はコミュニケーションをとることができます。
しかし、その方法と理解の仕方は必ずしも一致しないことを、
人間の側がよく認識しておくべき
ではないでしょうか。