MENU

一刻も早く対処してあげたい!犬の脱肛

この記事の目次

犬の肛門に魚肉ソーセージのようなものが突き刺さってる!?
初見の人はまず間違いなくぎょっとしてしまうことでしょう。

これは脱肛と呼ばれている状態で、ソーセージのようなものは肛門の外側に出てしまった直腸の粘膜です。
肛門に色鮮やかな濃いピンク色のタラコが差し込んであるように見えるなんて、なんだかオモシロそう?
いいえ、おそらく実物を見たら、オモシそうなどというセリフは絶対に出てきません。

飼い主を凍りつかせてしまう異様な見た目の脱肛は、もちろん、そのまま放置したら大変なことになります

どうして直腸が出てしまうのか

脱肛は直腸の粘膜が出てしまっている状態ですが、重度になると直腸そのものが肛門から出てしまうこともあります。
そういうことは滅多に起こらないんでしょう?などと思ったら大間違い。
どんな犬種の犬も、小型犬から大型犬まで脱肛を起こす可能性はあります。
とはいえ、脱肛を起こしやすい状況があるのは事実。

メス犬が分娩する際

出産で強くいきんだことが原因となり、腹圧が強くかかって消化器が押し出されてしまうことがあります。
愛犬に子犬を生ませたいと安易に考える飼い主に限って、脱肛のことをまるで知りません。

下痢や便秘などが長く続いている

便秘になりがちな犬は排便時に強くいきむため、脱肛を起こしやすくなります。
また下痢が長く続いている犬は、直腸に炎症が起きていて脱肛になる可能性があります。

栄養の足りない状態が長く続いている

なぜ栄養不足の話し?と思われるかもしれませんが、実は脱肛と密接に関係しています。
栄養不足のせいで腹圧に耐えられるだけの肛門括約筋がなく、それが原因で脱肛が起こることがあります。

高齢の犬がお腹の調子を崩しているとき

高齢の犬は筋力が衰えているため、肛門括約筋も弱っていることは珍しくありません。
便秘や下痢が原因となって脱肛を起こすことがあります。

脱肛の犬は苦痛を感じている

脱肛は飼い主をぎょっとさせる状態ですが、犬にとっては見た目より深刻なのがその痛み。
直腸の粘膜が外側に飛び出しているのですから、痛くないわけがありません

しかも、脱肛は症状が悪化すると腸閉塞を併発する可能性があるため、そのうち自然に治るだろうなどとノンキにかまえていてよい状態ではないんです。
痛みのせいでまともに排便することもできなくなりますので、とにかくまずは動物病院へ連れていきましょう。

初期の頃は指で押し込むだけで元に戻ることもありますが、どの程度の炎症が起きているのか、別の病気が原因ではないかなど、素人では判断がつけられません。
出たものは入れなおせばOKでしょ?などと軽くかまえていると、気づいたときには重症化していて取り返しのつかないことになることもあるのです。

脱肛の原因を突き止める

うちの犬は便秘とは無縁だから……。
そんな犬でも脱肛を起こすことがあります。

たとえば寄生虫やウィルス感染などで直腸に炎症が起きてしまった場合。
このような状態のときはたいてい便の状態に異常が起きていますから、本来であれば脱肛を起こす前に対処をしたいところ。
食欲がなくなり、元気がなくなってから初めてオタオタしているようでは、手遅れになるかもしれません。

お腹の調子は全身の健康状態を表わすバロメータです。
愛犬の具合が悪いのに放置したあげく、脱肛による激痛まで与えてしまったとしたら、それは飼い主の不手際だと言わざるを得ません。

犬は言葉で体調の悪さを伝えられないのです。
だからこそ、体の状態を汲み取ってあげるのは飼い主の大事な役目なんですよね。

脱肛を防ぐためにできること

どんなに気をつけていても、脱肛を起こすことはありえます。
大切なのはいちはやく発見し、すぐに対処をすること。
脱肛を見つけたらすぐにかかりつけの動物病院でみてもらいましょう。

早期発見するためには、普段から肛門まわりをよく見ていることが大切です。
そして栄養バランスの整った食事を食べさせることと、適度に運動させることも大切。
こんなごく当たり前のことで、犬の脱肛を防ぐことはできるんです。

しかし、それでも体質的に脱肛を起こしやすい犬はいます。
その場合は、普段から肛門にワセリンをぬるなど、便を出やすくする工夫によって改善させることは充分に可能。
飼い主のちょっとしたケアで、愛犬を不必要に苦しめずに済むのです。