保健所のボルゾイに血統書を捏造すれば良血統の出来上がり

血統書――。
それはいったい犬の何を証明しているものだと思いますか?

血統書を辞書で調べてみると、
『その犬が犬種の標準(スタンダード)を満たしているという証明書』とありました。

しかし、一般的な感覚として血統書を
そのような目的で捉えているとはとうてい思えません。

血統書のあるなしによってその犬が高級な犬であるとか、
立派な血筋の犬であることを証明している、と思っている人はたくさんいますが、
果たしてそうなのでしょうか?

血統書は虚栄心を満たすためのものではない

うちの犬、超優良血統だから血統書にはCHがずらりと並んでいるんですよ!
……そんな風に嬉しそうに自慢されると、とても複雑な気分になることがあります。

確かに血統書を見ると代々それは見事な経歴ぞろいであり、
なるほどこれなら超優良血統だと自慢したくなる気持ちもわからないではありません。

しかし、そんな感覚があるからこそ、
そこにつけいろうとするブリーダーがいることもまた事実。

実際に子犬の血統書を偽造することなんて、ブリーダーにとっては朝飯前のことなのです。
血統書そのものは血統書団体が発行した正式なもの。

しかしその申請内容については、
やろうと思えばいくらでも虚偽を混ぜることは可能なのです。

保健所のボルゾイ

実際に、こんなことがありました。
ある時、保健所で推定年齢6ヶ月程度のボルゾイが保護されたことがありました。

どんな経緯でそのボルゾイが保健所にいたかは別として、
少なくとも自分の犬だと名乗り出る飼い主は現れず、
その犬は一定期間を経て譲渡の対象になりました。

すると、あるブリーダーが引き取りを申し出ると言い出したのです。

嫌な予感を抱きつつ、
「血統書がないボルゾイだけど子犬を生ませるの?
それとも本当にペットとして飼うの?」
とたずねたところ、こんな答えが返ってきました。

「知り合いのところでボルゾイが生まれているから、
そこに混ぜてもらって血統書を発行すれば台メスとして使えるじゃない」――と。

そのブリーダーが言う「生まれている子犬」とは5ヶ月程度の年齢差があります。
しかしその程度は成犬になってしまえば、
どうという問題もないと当たり前のように言いました。

当然のことながら、その保健所のボルゾイは血統書の両親の血は引いていません。
それどころか、見た目はボルゾイであっても、
実際のところ本当に純粋なボルゾイであるとは限らないのです。

こんな風に、あなたが自慢したい血統書には
いくつもの虚偽が混ざっているかもしれません。

そう考えると、血統書付きの犬であるかそうでないかが
犬の価値を表しているわけではないことは明らか。

とはいえ、やはり血統書は必要なものだとは思います。
それは飼い主の虚栄心を満たすためではなく、
正しいブリーディングをするうえで参考にしなければいけない、
いくつもの情報が記載されている
からです。