西洋医学の治療薬と、東洋医学の漢方薬

漢方薬――。
私たち人間においては馴染みのあるお薬ですが、犬の場合はそうもいきません。
動物病院ですら、いまだ取り扱いをしていないところが多いのが現状です。
愛犬に漢方薬を服用させたことのある飼い主さんは、おそらくかなりの少数派ではないでしょうか。

犬の医療は基本的に西洋医学に基づいている

一昔前に比べて、現代の動物医療は驚くほどの進化をとげました。
そのおかげで犬達の平均寿命が延びていることは、疑いようがありません。

しかし、それでも動物に対する医療は基本的に西洋医学の一択
いわゆる、対処療法というものですね。

もちろん、西洋医学が悪いと言っているわけではありません。
西洋医学においては、痛みや痒みといった症状を軽減させるための治療を中心としています
愛犬の体を苦しめている症状を取り除かないことには、健康を取り戻すのは難しいわけですから、有効な治療法の一つであることは間違いないのです。

しかし、人間の医療には西洋医学の考え方とは異なっている、東洋医学による治療も選択肢としてありますよね。
東洋医学の場合は症状をピンポイントで改善させるというより、体のリズムを整えていくことで、自然治癒能力そのものを向上させていこう、という考え方に基づいています
つまり、そもそもの着眼点が違っているわけですよね。

西洋医学と東洋医学のどちらが良いとか悪いということではありません。
どちらにもメリット・デメリットがあり、症状や環境などに応じて選択することが一番のはず。
ところが、残念なことに動物医療は完全に西洋医学のみが中心なのです。

薬の成分は人用も動物用も同じ

東洋医学は動物医療においてはいまだマイナーなまま。
しかし、少しずつ漢方薬を処方する動物病院も増えてきています

犬に漢方薬を飲ませて大丈夫なの?あれって人間用じゃないの!?
と思われたかたもいらっしゃるかもしれませんが、動物病院で処方されている動物用のお薬は、基本的に人間用と同じものなんですよね。
もちろん、体重や腸の長さなどを考慮したうえで量は加減されているわけですが、成分そのものは人間用も動物用もありません。

ということは、漢方薬についても同じことがいえるのではないでしょうか。
犬なら犬、猫なら猫の体格や体の特徴をきちんと考慮したうえで漢方薬を服用することにより、体の自然治癒能力そのものを高めていくことは可能なはずなんです。
そして、そういった部分に着目して漢方薬を処方する動物病院や、漢方薬局が増え始めたことは、喜ばしいことではないでしょうか。

これしかない、という状態より、選択肢が増えるということは、それだけ治癒の可能性を高めることになるからです。

西洋医学にも東洋医学にもメリットとデメリットがある

西洋医学に基づくお薬にしろ、東洋医学に基づく漢方薬にしろ、どちらも万能というわけではありません。
得意、不得意の分野があるわけですから、上手に特性を活かして服用していくことが、なによりも重要ではないでしょうか。

たとえば西洋医学にもとづいたお薬は、症状を速やかに取り去ってくれる利点がある反面、副作用を無視するわけにはいきません
さらには、長期連用してしまうと、効果が薄れていくというデメリットもあります。

それに対して東洋医学に基づいた漢方薬は、体のバランスを整えて自然治癒能力そのものを底上げするというメリットがある反面、どうしても効果がではじめるまでには時間がかかります
また、副作用が少ない分、症状の消え方も緩やかなになりがちです。

だからこそ、西洋医学と東洋医学の両方を選択できることは、絶対に必要なんですよね。
たとえば、いますぐに痛みを止めたい、一刻も早く痒みを取り去りたいという場合には、やはり西洋医学に基づいたお薬が最も効果をあげてくれるでしょう。
しかし、根本的に痛みや痒みのない体へと導いていくためには、漢方薬などを用いて体そのものの力を取り戻していくことが、遠回りなようでいて、実は近道なのかもしれません。

どちらが良い悪いというより、やはり両方を上手に使いこなすことで、愛犬の健やかな生活を守っていけるのが一番望ましいのではないでしょうか。

漢方薬を取り入れるにしても、素人判断は絶対にダメ!

愛犬に漢方薬を服用させて自然治癒能力を高めてあげたい!
と考えたとしても、素人判断で服用させるのは絶対にNGです。

漢方薬は副作用がないと思われがちですが、副作用が少ないだけであって、ないわけではありません。
さらには症状にピントが合っていない漢方薬を服用させたところで、期待するような効果を得ることができないからです。
どんな種類の漢方薬が愛犬の体に合っていて、どのくらいの量をどのくらいの期間服用させればいいのか
こういったことは、やはりかかりつけの獣医師にまずは相談してみるべきではないでしょうか。

もしもかかりつけの動物病院が漢方薬に消極的だったとしても、近頃は動物医療の相談に乗ってくれる漢方医も見受けられます。
また、インターネットや電話で相談できるお店も増えていますから、素人判断するのではなく、きちんとプロにアドバイスをもらいながら、愛犬に漢方薬を服用させることが大切です。