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あなたは犬の飼い主?それともお世話係?

この記事の目次

――うちの子、私がポテトチップを食べようと思って袋を取り出すと、
音を聞きつけて自分にもくれって騒ぐんです。
でもポテトチップをあげるわけにもいかないから、
仕方なく犬用のオヤツをあげるんですけどね。

先日、ある飼い主さんが苦笑しながらそんなことを言っていました。
さて、このとき犬はどんな気持ちでオヤツをもらっているのでしょうか?

可愛い仕草の本当の意味

愛犬がクリクリのお目々をキラキラさせて、ちょうだい、ちょうだいと
シッポを振って飛びついてくる姿は、可愛いですよね。

しかし、このときの犬の行動の意味は、実のところ可愛くもなんともありません。

「おまえ、格下なんだから言うことに従え。さっさとオヤツを寄こせ!!」
おおむね、こんなところでしょうか。

それを、飼い主さんが自分の好みにあわせて、いいように脳内変換しているわけです。
――でも、うちの子って、ホントに可愛い仕草でねだってくるんですよ?
そんな反論が聞こえてきそうですが、はっきり言ってそれも気のせいです。

犬は外見がどんなにヌイグルミのように可愛くても、
中身はれっきとした群れを作る肉食獣寄りの生き物。

すなわち犬であり、キュートな外見は
そうなるように人間が作り上げてきたに過ぎません。

その可愛らしい外見が悪いと言っているのではないのです。
可愛らしくて人間が喜ぶ外見をしていれば、
その犬が生き抜いていくためには、確実に有利に働くのですから。

しかし、見た目が可愛いことと、その生き物がどんな種であり、
どんな性質をしているのかについては、また別物なのです。

そのことを理解せずにただ犬を甘やかしているだけでは、
ある意味犬に対してとても失礼なことをしているのかもしれません。

思い通りになっても犬は幸せにはならない

オヤツが欲しいと要求されたら、即オヤツを与える。
抱っこしろとねだられたら、すぐに抱っこをする。
散歩に連れていけと騒がれたら、急いでリードを手にする。

こんな飼い主は、犬にとってはリーダーではありません。

飼い主という言葉のマジックなのでしょうか、
その犬を支配しているような気分になるかもしれませんが、
犬の要求に従っている飼い主は、単なるお世話係に過ぎないのです。

そんなふうに、お世話係に思い通りにしてもらっている犬が幸せかといえば、
これが実はさほど幸せではないんですね。

犬は群れを作って生きる生き物です。
これは1匹飼いだろうが多頭飼育だろうが同じことで、
どちらにしても群れのリーダーは飼い主である人間でなければなりません。

そのリーダーに人間がきちんと就任してくれない場合、
犬は自分がなんとかするしかないと考えます。

多頭飼育ならその中で強い犬がリーダーになるでしょうが、
1匹飼いの犬ならどうでしょうか?

選択肢などなく、適任ではなくても自分が頑張るしかないと思うわけですね。

リーダーのいない犬は哀れ

人間は能力もないのにリーダーをやりたがる人間がいくらでもいますが、
犬はそうではありません。

ところがリーダーがいない場合は、仕方なくリーダーをやる生き物なのです。
そして、しなくてもいい警戒をしてストレスにさらされながら、
必死になってリーダーとしての役割を務めようとするのです。

犬にとって一番ストレスの少ない、理想的な立場とはどんなものだと思いますか?
それは、強いリーダーに守られた群れのメンバーでいることです。

飼い主がリーダーづらをしているくせに、リーダーとしての正しい振る舞いをしない。
だから仕方なく犬は知らない人が来たら、警戒するためにギャンギャン吠えているのです。

それなのに、「うるさい!!」と怒鳴られるのですから、
訳がわからなくなっても不思議はないですよね。
こうして、情緒不安定の騒がしい犬ができあがっていくのです。

犬が欲しがるたびにオヤツの袋を取りに行く飼い主さんは、
自分が犬に不安を与えているのだということを、自覚するべきではないでしょうか。