尿石症を起こしやすい犬の食事
手作りで犬のゴハンやオヤツを作るとき、尿石症について考えたことはありますか?
尿石症とは読んで字の如く、膀胱や尿道、
それから腎臓などのいわゆる尿に関連する部分に結石ができることにより、
尿が出なくなったり激しい痛みを感じる病気のことです。
どんな犬が発症するのか?
腎臓や膀胱、尿道があるのはどの犬にも共通することですから、
どんな犬にも尿石症の可能性はあります。
しかし、残念なことに発症しやすい犬種があるのも事実。
尿石症を発症しやすい犬種
- シュウ酸カルシウム結石
- ミニチュア・シュナウザー、シーズー、ヨークシャーテリア、トイプードルなど
- ストルバイト結石
- ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリア、トイプードル、ビションフリーゼなど
- 尿酸塩結石
- ヨークシャーテリア、ダルメシアン、ブルドッグなど
- シスチン結石
- ダックスフンド、ニューファンドランドなど
上記の犬種の飼い主さんは、特に結石には気をつける必要があります。
なぜなら、食べさせるものによっては結石を作ってしまう成分が多く含まれているからです。
どんな食品に多く含まれているのか
結石の原因となる成分が含まれる食べ物は絶対に食べさせない――。
そう考えてしまうと、おそらく手作りゴハンを作るにあたり、
どんどん辛くなってしまうことになるでしょう。
すでに尿石症を発症しているなら別ですが、予防という観点で食材をそろえるなら、
「食べさせない」ではなく「食べさせ過ぎない」
という考え方をしたほうがよいのかもしれません。
避けたい成分が含まれている食品には、
犬の健康に役立つ栄養だってちゃんと含まれているからです。
極端な考え方は、手作り食を続けるうえでは枷(かせ)にしかなりません。
正しい知識と柔軟な対応力により、
手作り食は作る側も楽しまなければ、長くは続けられないのです。
その1:シュウ酸カルシウム結石を予防するには
原因となるのはシュウ酸カルシウムです。
いわゆる野菜のアクと呼ばれる成分で、ホウレン草や小松菜に多く含まれています。
手作り食に加える場合は、必ず茹でてアクを取り除きましょう。
その2:ストルバイト結石を予防するには
原因となるのはリン、アンモニウム、マグネシウムです。
ストルバイト結石は尿がアルカリ性に傾くと発症しやすいため、
尿を酸性にする食事が大切です。
なにも難しいことはなく、肉食中心の尿は酸性に傾くため、
肉類や卵などを中心にして、野菜を加えすぎないことがポイントとなります。
その3:尿酸塩結石を予防するには
原因となるのは尿酸アンモニウムです。
高タンパク(特にホルモンなど)の食事を長く続けていると発症しやすいため、
タンパク質過多に偏らない食材の組み合わせが必要です。
脂肪を上手に利用すると、タンパク質をおさえつつエネルギーを確保することができます。
その4:シスチン結石を予防するには
原因となるのはシスチン(アミノ酸の一種)です。
シスチンは小麦粉、ライ麦粉などの穀物類に多く含まれているため、
これらの穀物量が多くなりすぎない組み合わせで食事を作ることが大切です。
極端な摂取や排除ではなく、適量を
この食材が犬の体に良い!と聞くとそればかりを食べさせる。
逆に、この食材は結石の原因になる成分が含まれているから、
とその食材を完全に排除してしまう。
こういった極端な行為は、手作り食を続けることがつらくなるのはもちろんのこと、
犬の食事の根本的な栄養バランスを壊してしまいかねません。
普段から水分をしっかりととらせるようにする。
喜ぶからといって野菜を食べさせすぎない。
というように、ちょっとした気遣いだけでも尿石症を予防する助けにはなるのです。
なにごとも、過ぎたるはなお及ばざるがごとし、というわけですね。
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