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狼爪を切除することは動物虐待なのか?

この記事の目次

犬には狼爪(ろうそう)と呼ばれる指があることをご存知ですか?
狼爪とは前足や後ろ足の内側に生えている、地面とは接触しない指のことです。

他の指と同様にしっかり爪が生えますし、やや貧相ながら肉球もついています。
うちの犬にはないよ?と思われる人もいるかもしれませんが、
その多くはすでに切除済みなのかもしれません。

また、すでに狼爪が退化して
もともと生えていなかった可能性もあるでしょう。

狼爪の切除は是か非か?

狼爪を切除する場合、
その多くは生後5日以内に切ってしまうことがほとんど
です。

この場合、麻酔をしないで切除するため
動物愛護の観点で是非が問われることがあります。

生まれたばかりの子犬は痛みを感じないから…、という理由付けについては
疑問を感じざるをえませんが、切除する意味については
動物虐待であるとは言い切れないものを感じます。

なぜなら、狼爪の切除は単なる見た目を重視するための断耳や断尾とは意味合いが違い、
犬も飼い主もいろいろな意味で楽になれる
からです。

狼爪が伸びすぎると厄介なことになる

狼爪を切除しても、断耳のように一目見てわかることはまずありません。

普通に家庭の犬として暮らしている中で、
狼爪があるかないかを意識するのは、おそらく爪を切る時だけでしょう。

見た目にはまったく影響を与えない狼爪ですが、爪切りの場面では一変します。

狼爪にもしっかりと血管や神経が通っているのに、
地面に接することがないため自然に削れることがない
からです。

そのため、この爪に関しては定期的に人の手によって切るしかありません。
もちろん血管まで切ってしまえば出血しますし、
犬は強い痛みを感じることになるでしょう。

また、毛などに埋もれて普段見えにくく、
そのため気づいた時には狼爪が異常に伸びてしまっていることも珍しくありません。


この場合、まっすぐ長く伸びるのではなく丸まってドーナツ状になることが多く、
時には一周して皮膚に突き刺さることまであるのです。
こうなると爪切りはとても厄介なものに。

強引に切ろうとしたあげく爪の中の血管どころか、
肉球まで傷つけてしまったとしたら、それこそまさに大惨事です。

そう考えると、狼爪はない方が犬も飼い主も楽に暮らせることは間違いありません。

狼爪の切り忘れに注意する

狼爪を切除することについて賛否両論があることは間違いありません。
切除手術のあとの感染症などの可能性を考えれば、
確かに100%安全だとは言い切れないでしょう。

しかし、見た目がかっこよくなるという理由で断耳をすることと、
狼爪を切除することを同列に語ることには
どうしても違和感を感じずにはいられません。

大切なことは、犬には狼爪があるという事実を
すべての飼い主が知ること
ではないでしょうか。

そのうえで、すでに狼爪を切除済みの犬を飼っている人は、
「かつてこの子は痛い思いをしたのかもしれない」と思いをはせつつ、
他の指の爪をチェックしてください。

そして狼爪がある犬を飼っている人は、狼爪の切り忘れがないように、
毎回念入りにチェックすることが大切
です。