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留守番させると粗相をする犬の心理

この記事の目次

うちの犬、お留守番をさせるとあてつけに変な場所でオシッコをするんです――。
ある飼い主さんがそんな相談をしてきたことがありました。
飼い主さんがお家にいるときはちゃんと犬用のトイレで排泄するのに、留守番をさせて帰ってくると違う場所でオシッコやウンチをしているのだとか。
果たして、これは犬の腹いせなのでしょうか?

粗相をするのは留守番の時間がつらいから

腹が立ったから嫌がらせをする人間は腐るほどいますが、犬をそれと同じに考えるべきではありません。
人間にとっては嫌がらせのよう行動でも、飼い主さんを苦しめようとして変な場所に排泄しているわけではないんです。

とは言え、その行動に何も意味がないわけではありません。
犬にはなにがしか飼い主に訴えかけたい気持ちがあるからこそ、そのような行動にでているのです。
端的に言ってしまえば、置いていかれることが不満だと訴えかけているのではないでしょうか。

「置いていくなといわれても……」という飼い主さんの言い分はわからなくもありません。
しかし、これは犬にとってお留守番の時間が苦痛になっていることの表れであり、留守番の時間を寂しくてつらい時間であると犬に刷り込んでしまったのは飼い主さん自身です。
嫌がらせをされたなどと被害者ぶっている飼い主さんは、自分こそが犬に苦痛を与えている加害者であることを、まずは自覚しなければなりません。
そのうえで、犬が留守番の最中に苦痛を感じないようにしてあげる必要があるのです。

留守番を休息の時間に変える

留守番をしている犬が変な場所に粗相をしたり、部屋の中を荒したりするのは、飼い主が不在であるストレスを紛らわそうとしているからです。
これは防ぐためには、留守番中はケージの中で過ごさせるのが一番。

といっても、部屋の中で粗相やイタズラをさせないために閉じ込めるわけではありません。
この中に入ってゆっくりと休息をとりなさい、という意味合いでのケージです。
そして留守番を休息の時間へと変換させるためには、留守番をさせる前にしっかりと遊ぶなり運動させるなりして、身体的にも精神的にも充足させておく必要があります。

ただし留守番の直前にたくさん遊ばせてしまうと、まだ神経が興奮しているうちにケージに入ることになりますので、これでは効果があがりにくくなります。
留守番させなければいけない時間には、犬が落ち着きを取り戻しているだけの余裕をもたせた状態でしっかりとストレスを発散させておきましょう。
そして、ケージの中に入ったときにのみ渡す、スペシャルなオモチャやオヤツを用意しておきます。
ケージの中で留守番する時間は、あくまでものんびりとする時間だと理解させるわけですね。

犬は本来狭くて暗い場所が大好きな生き物。
ケージに慣れてしまえば、留守番中に入っていることは苦痛にはなりません。
それどころか、ストレスの少ない安心できる場所になるのです。

ケージに入るトレーニング

まずは飼い主が家にいる状態でケージに入るトレーニングをします。
いきなりケージに放り込んで扉を閉めてしまうのではなく、扉は開けたままにして犬が自分から入りたくなるような状況を作りましょう。
たとえば、ケージの中にオヤツやオモチャを置き、犬が自ら中に入るように仕向けるのです。
決して無理強いをしてはいけません。

少しずつ少しずつケージに慣らしていくことで、ケージの中は素敵な空間であるというイメージを刷り込んでいくのです。
そしてケージに自分から入るようになったら、さりげなく扉を閉めてください。
その後は何事もなかったように飼い主さんは振舞うのです。

もしも鳴いたとしても、そのタイミングでは出しません。
「大丈夫よ、静かにね」などと声をかける必要もありません。
むしろ、犬のほうをまったく見ないまま過ごすことが大切です。
そして鳴くのをやめて静かにしたら、扉を開けてもOKです。

短時間で結果を出そうと焦らない

ケージの中はくつろげるんだから、入りなさい!
そう言って愛犬をケージに無理矢理閉じ込めて外出しても、犬はケージを好きにはなりません
それどころか、いきなり訳もわからないままケージに閉じ込められたことでストレスは大きくなり、1日中吠え続けるという最悪の結果にもつながってしまうでしょう。

今まで留守番の仕方を教えてこなかったから、今こうなっているのです。
1日2日で結果がでるなどと甘く考えず、愛犬のためにもじっくりと取り組んであげましょう。