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犬を室内飼育するなら犬の目線に注意

この記事の目次

犬は視力がよくない――。
これはよく知られたことですよね。

もちろん犬種によってかなり違いがありますので、一概に言えることではありません。
しかし、確かに多くの犬はあまり視力がよくないのです。

視力が悪いというより聴覚や嗅覚が発達している分、
人間ほど視力に頼る必要がない
と表現したが正しいでしょうか。

だからといって見えていないかと言えばそういうことではなく、
むしろ動体視力や視野の範囲は人間よりずっと上。
だからこそ起きてしまう悲劇もあるのです。

追いかけてしまう本能がアダに…

あるジャーマンシェパードは顔面を大怪我したことがあります。

そのシェパードは戸建の家で室内飼育されていて、
家の中を自由に動き回ることができました。

その家の一階リビングを改築した際に、採光を良くするために
壁の一部が床から天井まである「はめ殺し」のガラスに取り替えられたのです。

はめ殺し――つまり通常の窓のように開け閉めできるタイプではなく、
ガラスの壁が取り付けられたわけですね。

ある日のこと、シェパードはリビングの床の上でよく眠っていましたが、
はめ殺しのガラスの前を横切る猫に気がついてしまい、
飛び起きるといきなり猫に向かって猛ダッシュしたのです。


そして見事にガラスの壁に激突し、顔面を強打。
ガラスはかなりの厚みがあったので割れたりヒビが入ることはありませんでしたが、
シェパードは悲鳴をあげてのたうちまわり、顔面が腫れあがってしまったのです。

精密検査の結果、頭蓋骨の骨折や脳の損傷などはありませんでしたが、
歯が折れてしまい、顔面の腫れがひくまでには数日かかりました。

その後飼い主さんはガラス部分には
すべてシェパードの目の高さまでレース模様の装飾を貼り付けていましたが、
可哀想なことをしてしまったと後悔しきりだったのです。

強い近視なのに裸眼で歩く家族がいる感覚で

ガラスがあることに気がつかないで、犬が激突してキャンと鳴いた――。
動画にアップしたらウケそうな内容ですが、実際には笑える話しではありません。

犬が室内をうろうろしているということは、
ある意味強い近視の家族が裸眼で動き回っているようなもの。


そう考えたら何かにぶつかったりつまずいたりしても、不思議はありませんよね。
もちろん、室内飼育される犬も屋外飼育の犬も、
基本的にはどんな場所であろうとごく普通に歩きまわることでしょう。

しかしシェパードのケースのように寝ぼけていたり、
なにかのはずみで咄嗟に動いたことが思わぬ事故につながることは、
充分にありえることなのです。

犬との生活は当たり前のように毎日が過ぎていきますが、
それは飼い主によって犬の安全が守られていることが前提となるのかもしれません。