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愛犬が末期ガンで余命宣告をされたとき

この記事の目次

2015年のペット保険会社の統計によると、犬の死因第1位はガンです。
人間の死因もガンが1位、そして驚いたことに猫の死因までもガンが1位。
人も犬も猫も同じ哺乳類とはいえ、なんだか考えさせられる結果です。

愛犬にはいつまでも健康で長生きしてほしい――。
と、どんなに願っても、愛犬がガンになるかもしれないという現実が突きつけられています。
せめて早期発見したいと思っていても、気づいたときにはすでに末期だった、というケースだってあるでしょう。
もしも愛犬が末期がんで余命宣告を受けたとしたら、私たち飼い主は愛犬のために何ができるのでしょうか。

老犬の癌はどこまで治療するべきか

ガンはどんな年齢の犬にも見つかる可能性がありますが、やはり老犬がかかりやすいのは間違いありません。

高齢犬にガンが見つかった場合、治療はおろか検査すらもが体への大きな負担になることがあります。
腫瘍を摘出するにしても麻酔を含め、体にはそうとうの負担をかけることになるでしょう。
もちろん抗がん剤や放射線による治療も同様です。

仮に抗がん剤や放射線で治療ができる可能性があるとしても、経済的な事情によっては充分な治療が難しいことだってあるかもしれません。
人間と違って健康保険が適用されない犬のガン治療は、かなり高額な費用を捻出する必要があるのです。
腫瘍の摘出手術をすれば数十万の費用がかかりますし、放射線治療は1回の施術で3~5万、抗がん剤治療も1回で3万前後はかかるため、できる治療はなんでもしてあげたいと飼い主が願っても、断念せざるをえない場合もあるのです。

看取り治療という選択

抗がん剤による治療は、人間の場合と同様に副作用を伴います。
犬に使用される薬は人間用ほど強い副作用は起こらないとされていますが、それでもやはり嘔吐が頻発し、食欲はなくなることがほとんどです。

たとえば抗がん剤治療を選択しても、余命をほんの少し伸ばせる程度しか期待できないとしたら、続けるべきなのでしょうか。
苦しむ日々を延長させるより、最期のときまでを幸せに過ごさせてあげたいという選択肢があってもいいはずです。

もちろん、何もせずにただ愛犬の命が終わる日を待て、という意味ではありません。
免疫力をあげるためのサプリメントや漢方薬、食材の工夫など、ガンの進行を出来る限り食い止める努力をしながら、苦痛を取り除いてあげるための緩和ケアを考えることで、残り少ない愛犬の生活の質を向上させることはできるはずです。

愛犬には1分でも1秒でも長生きしてほしい。
しかし、それと同時に1秒たりとも苦痛を与えたくないという気持ちもまた、偽らざる飼い主の気持ちではないでしょうか。

大好きだったことを盛りだくさんにして見送りたい

死を恐れている生き物は人間だけだ、と言う人もいますが、いろいろな動物がそのように語ったわけではありません。
本当はどうなのかなんて、誰にもわからないことではないでしょうか。

しかし、少なくともこれだけは言えます。
犬が死を恐れているかどうかはわかりませんが、少なくとも苦痛は大嫌いです。
だとしたら、末期ガンで苦しい思いをしている犬に対して飼い主ができることは、それ以上に楽しいこと、大好きなことでいっぱいにしてあげることではないでしょうか。

犬はいつだって大好きな飼い主と一緒にいたい生き物です。
だからこそ、出来る限り最期のそのときまで、愛犬と一緒にいてあげてください。
大好きな場所に連れていき、大好きな遊びで思う存分遊ばせ、大好きなものを好きなだけ食べさせてあげてください。

私がこんなふうに考えるようになったのは、かつて愛犬のジャーマン・シェパードが腎臓ガンの末期と宣告されたとき、私は積極的な治療と緩和ケア、看取り治療の狭間でオロオロするばかりで、まともに何もしてやれないまま愛犬を失ってしまったからです。
あんなに早く逝ってしまうなら、大好きだったお肉を好きなだけ食べさせてあげればよかったと、もう亡くなってから10年以上が過ぎた今でさえ思ってしまうのです。

犬は飼い主の笑顔が大好きな生き物

定期健診をきちんと受けさせていたとしても、犬がガンになることはあります。
しかも犬のガンは進行が早く、見つけたときにはすでに治療しても効果が期待できないところまできていることも珍しくありません。

もっと早期に発見できていればと悔やみ、愛犬を失ったあとも長い間苦しみ続ける飼い主さんもいます。
しかし、犬は体の不調を隠そうとする生き物。
そしてなによりも飼い主の笑顔が大好きな生き物でもあります。
あなたの愛犬は、大好きな飼い主さんを心配させたくなかっただけなのかもしれません。