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チベタンマスチフを欲しがる意味は?

この記事の目次

少し前に中国の動物園でライオンとして展示していたら、
ワンと吠えたことでチベタンマスチフであることがバレてしまった、
という冗談のような事件がありました。

そのチベタンマスチフですが、
現在最も手に入りにくい高額犬として有名になっています。

その価格は、安くても100万円前後であり、高いものは2億円という値がつきました。
まったくもって見事なまでの高額犬なわけですが、
高くても欲しがる人がいるからそんなとんでもない値段がつくわけです。

しかし、もし金に糸目はつけないと言い切れるほどお金を持っていたとしても、
チベタンマスチフは素人が「カッコいいから」という理由だけで飼ってはいけません。

チベタンマスチフとしての質が固定していない現状

チベタンマスチフというのは最古の犬種の一つにあげられるほど、
古くから歴史に登場する犬です。

その多くはいわゆる軍用犬として扱われ、戦いのために用いられてきました。
当然、攻撃的であり警戒心の強い性格をしています。

そして、体格もライオンを想像させるぐらいに大きなものでした。
しかし19世紀の初めまでにほとんど絶滅してしまったのですが、
それをイギリス人が復活させたものが
現在のチベタンマスチフへとつながっていくわけです。

しかし、そもそもの個体数が少なかったこともあり、
現在においてもチベタンマスチフの特性が固定できているとは言えません。

それは、家庭犬としてある程度許容範囲に入るまでの小さなサイズにし、
性格も比較的温和なチベタンマスチフが作出されたにも関わらず、
世界的に見るとそのような飼いやすさを重視した特性が好まれないからです。

世界的な好みの傾向としては、金持ちのステイタスに利用されるためか、
体格は昔ながらのライオンのように大きなものが好まれます。


そして見事なフサフサのたてがみを持ち、
攻撃性の強いチベタンマスチフほど高値で取引される
のですから、
これでは種の特性が安定するはずもありません。

なんのためにチベタンマスチフを飼いたいのか?

体格をある程度小さくし(それでも充分に大型犬です)、
性格をコントロールできる程度まで穏和にした個体
のことを、
質が悪いチベタンマスチフであるなどと安易に評価することは果たして正しいのでしょうか。

もしも、まだどこかを征服するためにチベタンマスチフが必要なのであれば、
昔ながらの凶暴性を発揮する可能性のある個体が向いているでしょう。

しかし、現代においてはそんな場面があるはずもありません。

桁違いの金持ちが、広大過ぎる家の敷地を守るために
チベタンマスチフを利用する
というなら、それもいいでしょう。

しかし日本においては、それは現実的な選択ではありません。
ましてや見た目がカッコいいからという理由だけでチベタンマスチフを欲しがるのは、
愚の骨頂である
と言わざるを得ないのです。