レトリーバーでさえ、いきなり泳げるわけではない

犬を水に放り込みさえすれば、どんな犬も犬かきで泳げてしまう……。
というのは間違いです。
犬は水が好きで猫は水が嫌いというイメージがありますが、それもちょっと違うような。

犬は水が好きなものもいるが嫌いなものもいて、猫は総じて水が大嫌い
これが正解ではないでしょうか。

レトリーバー系の犬種でさえ、いきなり泳げるわけではない

レトリーバー系の犬種は、水鳥猟でハンターが撃ち落した獲物を水に飛びこんで回収してくる役割を担っていたのだから、泳ぎが得意なのは当たり前――。
おそらく、多くのかたがそう考えているのではないでしょうか。
実際に、レトリーバー系の犬は泳ぎが得意ですし、お水が大好きな子も他の犬種に比べて多いのは事実。
ただし、初めからそうかといえば、そんなことはありません

レトリーバー系の犬でさえ、今までに泳いだことがないのにいきなり水辺に連れていかれて「はい、泳いでみなさい」と言われても、たいていは水辺をまごまごしながら行ったり来たりするばかりが関の山です
お水に足をつけるのすら嫌がる子も珍しくありません。

実際に、かつて我が家にいたフラットコーテッドレトリーバーもそうでした。
海に連れていっても波打ち際をうろうろするだけで、波が寄せて来るたびに逃げまわります。
池なら波がないので大丈夫ではないかと期待しましたが、なんとか足首までを水につけられるようにはなったものの、お腹にちょっとでも水がつくと逃げだす始末。
この子、本当にフラットコーテッドレトリーバーなんだろうか?と途方に暮れてしまうほど、水に入ることをためらってばかりでした

なんと犬の先生は犬だった!

どうすればフラットコーテッドレトリーバーが泳げるようになるのか。
良い案がまったく思いつかないまま、再び池に連れていったときのことです。

いつものように我が家の犬が水際をうろうろしていると、そこへどこからともなく1匹のコリーが現れました。
コリーはフラットコーテッドレトリーバーの目の前をものすごい勢いで通り過ぎたかと思うと、それは見事に池にダイブしてみせたのです。
我が家の犬といえば、その様子を呆然と見ているばかりでした。

すると、コリーは池からあがってフラットの近くまで寄ってくると、再び池に向かってダイブ。
それを何度か繰り返していると、フラットがコリーのあとについてフラ~っと(ダジャレではありません)池に入っていくではありませんか!
そしてコリーの後を下手な犬かきで必死に追いかけはじめたのです
しばらくそんな状態が続いたあと、コリーは池からあがったかと思うと、いずこへと去っていきました。

まるでウソのように出来過ぎた話しですが、これは実話です。
とは言え、当時の住まいがニュージーランドだったこともあり、公園で犬をノーリードにすることが普通だったからこそ、実現したことではありますが。
なにはともあれ、そのときに確信したのは、犬の最良の教師は犬である、という事実でした。

教師になる犬がいても、効果がない場合もある

さて、そんな都合よく泳ぎをマスターできたのは、我が家の犬たちの中ではそのフラットコーテッドレトリーバーだけでした。
件のフラットコーテッドレトリーバーは、それ以降、水が大好きな犬へと見事に変貌
泳ぐのも好き、たんに水に浸かるのも好き、なんだったら水鉄砲でお水をかけられるのも大喜びするような、お水大好き犬になったのです。

では、そんな犬と一緒にいれば他の犬も水が大好きになるかといえば、そんなことはありませんでした
フラットコーテッドと同時期に飼っていた柴犬は、何があろうと絶対に泳ぐことを拒否。
一度だけ、フラットコーテッドが湖に飛び込むのにつられてしまったらしく、柴犬まで桟橋から湖にダイブしてしまったことがあります。
必死の形相で犬かきというより、むしろクロール並みに前足をバタバタさせて岸に戻ってきたのですが、あれは溺れる一歩手前だったのでしょう。
その後、柴犬はやり場のない恐怖を発散させるかのように、ワンワン吠えまくって湖から離れた場所を爆走。
それ以降、柴犬は泳ぐどころか水辺にすら近寄らなくなりました

水がトラウマにならないよう、楽しく導いてあげるのが一番

犬を泳がせたいと思ったら、なにはともあれ、あせりは絶対に禁物です。
まずはお水に慣らすところからはじめて、お水につかっていると飼い主がたくさん遊んでくれて楽しい、というムード作りからはじめるのがベストです。
間違っても、いきなりプールや池、湖、川、海などに放り込まないでください。

お水がトラウマになってしまうと、それを克服するのは至難の業
荒療治が上手くいくこともありますが、失敗したときのリスクを考えると、やはり飼い主さんが上手にお水に導いてあげるのが一番ではないでしょうか。
そのためにも、放っておいても犬がプカプカと浮くことのできるライフジャケットは絶対に必要です。
安全第一で、楽しくお水へと導いてあげたいものですよね。