野生の犬は呆けないのに、飼い犬は呆けることの意味とは

いまや、ペットの犬たちはとても長生きをする時代になりました。
飼い主にとっては嬉しい犬の長生きですが、喜んでばかりもいられません。
人間の長寿化と同じ問題――すなわち、痴呆になる犬が増えているからです。

犬のキバを抜いたのは人間

よく言われることに、「人に飼われた犬は呆けるけど、野生の犬は呆けない」というものがあります。

これって当たり前ですよね。
野生で生きている犬が呆けてしまったら、生き抜けなくなるからです。
逆の言い方をするなら、人に飼われた犬は呆けても生きていくことがきる、ということになるのかもしれません。

なんとも皮肉な話しですよね。
しかし、犬を完璧なる家畜にしたのは人間です。
言うなれば、生き抜くためのキバを抜いてしまったわけですよね。

だったら、人間には犬たちを呆けないように努力をする義務があるのではないでしょうか。

野生の犬にあって飼い犬にないもの

そもそも、野生の犬にあって飼い犬にないものってなんでしょうか。
それは、強烈な危機感です。

たとえば、野生の犬は獲物が獲れなければ飢えて、やがては餓死するかもしれません。
敵が出現したら、なわばりを奪われるどころか、下手をすれば殺されてしまうかもしれません。
つがいとなる相手を見つけられなければ、子孫を残すことができないかもしれません。

そんなふうに、野生の犬は常にさまざまな危機感を感じながら生存しているわけですよね。
これほど強烈な刺激はありません。
だからこそ、野生の犬は呆けている暇などないのでしょう。

これってつまり、呆けないためには「刺激」が必要だということではないでしょうか。

飼い犬にどうやって刺激を与え続けるか

とはいえ、飼い犬に野生の犬と同じ危機感を抱かせるような生活をしろと言っているわけではありません。
野生の犬たちと内容や程度は違うにしても、やはり生活に刺激を与えることが重要なのではないでしょうか。

それは、日々の充実した散歩であったり、週末に連れ出してあげる山や川だったり。
もっと身近なところでいえば、毎日飼い主と楽しく触れ合うことだって、犬の毎日には大いなる刺激になるはずです。

ケージに入れっぱなし、つなぎっぱなし、散歩に行ったとしても近所をほんの数分歩く程度で飼い主はよそ見をしっぱなし……。
これでは、犬が呆けても不思議はないですし、そもそもどうして犬を飼ったのかと聞きたくなってしまいます。

飼い犬にあって、野生の犬にはない刺激こそが大切

野生の犬の毎日は、命にかかわるような刺激で満ちています。
これは、飼い犬にはないものですし、あってはいけないものでもあります。

しかし、飼い主がもたらしてくれる、純粋に楽しくて嬉しいという瞬間は、どんなに野生の犬が欲しいと願っても、絶対に得られないものですよね。

人と暮らす犬にとっての刺激は、人の手によってしかもたらすことができません。
そのことを、私たち人間は絶対に忘れてはいけないのではないでしょうか。