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足を失った犬のために飼い主がすべきこと

この記事の目次

愛犬が病気やケガで肢を失ったら、飼い主としてショックを受けるのは当たり前のことです。
しかし、嘆いてばかりいても愛犬の肢が元に戻るわけではありません

そもそも、犬は飼い主が楽しそうにしている姿に何よりも幸せを感じる生き物
であれば、飼い主が肢を失った愛犬のためにできることはただ一つ。

形は変わっても以前と同じような楽しい毎日を取り戻すこと――これに尽きるのではないでしょうか?

犬は人間が思っている以上に順応していく生き物

生まれつき肢が欠損していても、驚くほど普通に歩いたり走ったりする犬は珍しくありません。
それは事故などで後天的に肢を失った犬にも言えることです。

犬は、私たち人間が思っている以上に、体の変化に順応してしまう生き物
飼い主の嘆きをよそに、以前とは違う体で動こうとするものです。

とはいえ、切断した部分を地面に接地させ続ければ断面がこすれて傷だらけになることもありますから、飼い主はただ見ていればいい、というわけではありません
それに足の数が減ってしまった分、たとえ上手に歩いたり走ったりできるように見えても、残された肢にかかる負担は大きくなっています
だからこそ、関節や肉球に負担がかかり過ぎないように気をつけるのは飼い主の役目。
関節ケアを心がけた食事を考え、必要以上に体重が増えないよう細かくチェックし続けることが必要です。
もちろん、肉球や爪をケガしていないか確認し、必要に応じたケアをしてあげましょう。

義足や車椅子が動ける生活を取り戻してくれる

義足や車椅子を利用することで、以前と同じぐらい元気に歩いたり走ったりすることも夢ではありません。

もちろん、義足や車椅子を愛犬の体にフィットさせるためには、オーダーメイドやカスタマイズは必要不可欠。
そして正しいサイズの義足や車椅子を手に入れたとしても、必要に応じてタオルやクッションなどを駆使することにより、より快適に動けるようにしてあげることも飼い主の重要な役割です。

快適な義足や車椅子を手に入れた犬の生活は、劇的に改善されるはず。
3本肢になってしまったとしても、2本肢になってしまったとしても、もしかしたら4本の肢すべてを失うという不幸に見舞われたとしても、愛犬の生活の質を高めてあげることは不可能ではありません。

犬にとって辛いことと人間にとって辛いこと

生まれつき肢の一部が欠損した状態で生まれてくる犬もいます。
生まれてくるときに、母犬がへその緒を噛み切ろうとして子犬の足を噛みちぎってしまうこともあります。
ガンや骨肉腫などの病気で肢を切断しなければいけないこともあります。
交通事故や倒壊など、なんらかの事故によって肢を失うこともあります。

どのような理由にしろ、肢を失った犬に対して人間はどうしても「可哀想」という感想を抱きがち
乱暴な言い方をするなら、おそらくその感覚は見た目の印象に左右されています。

しかし、当の犬にとってみたら、肢を失ったことでつらいのは、見た目が健常でなくなったことではありません
歩きにくい、走りにくい、痛い、痒いといったように、すべては行動や感覚に直結しています。

そこに加えて飼い主が愛犬の不幸をいつまでも嘆いていたら、犬にとってこれほどの不幸があるでしょうか。
もしも愛犬がなんらかの原因で肢を失ってしまったら、もしくは肢を失った犬を引き取ることになったら、飼い主としてすべきことは嘆くことでも可哀想がることでもありません
犬が自力で動きやすい環境を作ること、そして痛みや痒みがある場合は、それを取り除くための工夫をすることに力を注ぐべきです。

切断しなければ余命いくばくもないと宣告された犬が…

以前、ある飼い主さんの愛犬が骨肉腫と診断され、病巣のできた肢を切断しなければ余命は3ヶ月と宣告されたことがありました。
飼い主さんから、「ドッグランを爆走するのが大好きだったこの子が、まともに動けなくなってまで生きたいでしょうか?」と相談されたのです。

私は「動けなくなってまで生きたくない、というより、今現在肢が痛いのが何よりもつらいから、どんな方法であれ痛くなくなれば嬉しいのではないでしょうか。それに3本肢になっても元気に走り回る犬はたくさんいますよ」と答えました。

もちろん、どうするかを決めるのは飼い主さんであり私ではありません。
差し出がましいことを言ったかもしれない、という思いはありましたが、それが私の偽らざる本音でした。

結局、飼い主さんは愛犬の肢を切断する道を選択しました。
そして退院してしばらくした後、ドッグランで再開したその犬は、驚くほど見事な爆走ぶりを発揮していたのです。
もちろん、多少走り方にぎこちなさはありますが、動ける喜びが全身からあふれていました。

飼い主さんいわく「たぶん、病気が判明する前から肢に痛みがあったせいで、気づかないうちにMAXの元気が失われていたのでしょう。それが切断手術をしたことで痛みが消え、かつての元気っぷりが完璧に戻ってきたんです」とのこと。
近々、義足を作る予定だとお話しをされていました。

もちろん再発防止のために抗がん剤治療などは続くようですが、久しぶりに飼い主さんの晴々とした表情、そしてなにより元気いっぱいのワンちゃんを見られたことが本当に嬉しかったです。

犬の生き方はシンプル&パワフル!

私たち人間は、失ったものをいつまでも追いかけて悲嘆にくれたがる生き物。
しかし、犬達はもっとシンプルかつパワフルに生きているんです。