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犬の歯茎の色は健康のバロメータ

この記事の目次

今日はなんだか愛犬の元気がないような気がする――。
そんなときは愛犬の歯茎の色を確認してみましょう。
なぜなら歯茎の色は健康のバロメータであり、体調に問題がある場合は変化が表れやすい部位だからです。

健康な犬の歯茎はきれいなピンク色

犬の体調に問題がなく、さらには歯周病などの口腔トラブルもない場合、歯茎は健康的なピンク色をしています。
もちろん、口臭もほとんどありませんし、ヨダレもさらさらしていて臭くありません。
つまり、愛犬が何歳になろうとも目指すべきは、健康の証ともいえるピンク色の歯茎というわけですね。

赤い歯茎は口腔トラブルのサイン

愛犬の歯茎が赤くなっていたら、それは歯茎が腫れているか、もしくはただれているサインです。
原因として真っ先に考えられるのは歯周病。

歯肉にだけ炎症が起きている歯肉炎ならまだいいですが、歯槽膿漏――歯槽(歯の根っこがはまっているアゴの穴の部分)に膿がたまる疾患の場合は、早急に治療を開始しなければなりません。
なぜなら歯列にこびりついている歯垢や歯石には歯周病菌がわんさか繁殖しているからです。
そのまま放置すれば痛みがでてくることから、愛犬はまともに物が噛めなくなるでしょう。
さらには口臭がきつくなってヨダレが粘つくのはもちろんのこと、やがては血管内に入り込んだ歯周病菌によってアゴの骨が溶かされてしまうことに。
そして血流に乗って全身をめぐった歯周病菌の影響で、心臓や肝臓、腎臓といった臓器が機能不全を起こすかもしれません。

良性の腫瘍ができている場合も歯茎は赤くなる

歯茎が赤くなる原因は、歯周病だけとは限りません。
歯肉腫という腫瘍ができている場合も歯茎が赤くなります。
これは良性の腫瘍であり、歯周病が原因になることもありますが、歯周病がなくても体質によってはできてしまうことがあるんですね。

良性の腫瘍は外科手術で切除した場合、再発することはまずありません。
しかし、悪性なのか良性なのかを素人が判断するのはかなり困難です。
見つけ次第、早急にかかりつけの獣医師に相談して対処するようにしましょう。

悪性腫瘍が原因で歯茎が赤くなることも

扁平上皮がんや線維肉腫といった悪性の腫瘍が歯茎を赤くすることもあります。
扁平上皮がんは皮膚がんの一種ですが、口腔内の粘膜にできることは珍しくありません。
それどころか犬の口の中にできるがんとしては2番目に多く、高齢になればなるほど発症率が高まっていきます。

また、線維肉腫は犬の口の中にできるがんとしては扁平上皮がんに次いで多くみられ、高齢の大型犬に発症しやすい悪性腫瘍です。
とはいえ、若い犬がかからないわけではありません。

口の中に悪性腫瘍ができると口臭がきつくなり、さらにはよだれの量が増えたり血が混ざったりと、その症状は歯周病とよく似ています。
こういった症状に気づいたのに、「犬の口なんて臭いもんでしょ」「老犬だから仕方ない」などと軽く考えて後回しにしてしまうと、後悔することになるかもしれません。
まずは口の中をじっくりと観察し、おかしいと感じたら愛犬の年齢にかかわらず、すぐに動物病院を受診しましょう。

子犬の頃から歯茎が黒い

生まれつき、もしくは子犬の頃から歯茎に点々やまだら模様、もしくは線などの黒い色がついている場合は、そのほとんどが単なる色素沈着です。
これは病気ではありませんので、心配する必要はありません。
固いオモチャやオヤツをガジガジしたり、幼い頃から歯ブラシを強めにかけている場合にも、歯茎に黒い色素が沈着することがあります。

では、以前は歯茎の黒い色素沈着がなかったはずなのに、成犬になってからシミらしきものが見つかった場合はどうなのでしょうか。
たんなる色素沈着の可能性もありますが、そうではない可能性もあります。
正体を確認するためにも、発見したらすぐにかかりつけの獣医師に診てもらいましょう。
なんでもなければ安心できる材料になりますし、そうではなかった場合は早期発見につながります。

歯茎に黒いしこりができていたら悪性腫瘍の可能性が高い

単なる色素沈着は歯茎に黒いインクで色をつけただけのように見えます。
しかし、もしも黒い部分が盛り上がっていたり、もしくはしこりのような状態になっていたら、悪性黒色腫――メラノーマである可能性が高いと考えるべきでしょう。

悪性黒色腫は犬の口腔内の腫瘍としては最も多いものであり、さらには進行も早いという恐ろしい腫瘍。
しかも転移する確率が非常に高いため、万が一発見した場合は一刻の猶予もありません。

悪性黒色腫の場合も最初に表れてくる症状は口臭がきつくなる、ヨダレが多くなる、ヨダレに血が混ざるといったように、歯周病と間違えやすいものばかり。
だからこそ、こういった症状に気づいたら、まずは口の中をくまなく観察する必要があるのです。
歯周病の場合、歯茎が黒くなることはありませんので、黒い物体を発見したら迷わず動物病院を受診してください。

歯茎が白い場合は血流に問題あり

歯茎の色が白っぽくなっていたら、貧血の可能性があります。
貧血の度合が軽ければいつもより白っぽく見える程度ですが、重度の場合は歯茎が真っ白になっていることも。
こういった場合は同時に結膜も白くなっているはずですので、とにかく急いで動物病院に向かってください。

体調になにも問題のない犬が、歯茎が真っ白になるほどの貧血を起こすはずがありません。
外傷がある場合はかなりの出血をしている可能性がありますし、目で見てわかる傷がなかったとしても、体の中で出血している可能性があります。
腫瘍や腎不全、ショック症状による血流不全、敗血症など、貧血を引き起こす病気はいくつも考えられますが、いずれも命にかかわる危険なものばかり。
四の五の言わずにとにかく病院へ直行しましょう。

歯茎の色には体の状態が表れている

きちんと愛犬の歯磨きをしている飼い主さんであっても、歯茎や唇の裏側までまじまじと観察することはそうはありません。
毎日とは言わないまでも、時々は愛犬の口の中をすみずみまでのぞいてみましょう。
歯茎の色は愛犬の今現在の体調と連動しています。